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隠れないでください

 ファイヤースネークが生息するのは、居住区から遠く離れた、サボテンの多く生える地帯だ。ネメアとクレタがそこにたどり着くと、背の高いサボテンに巻き付く、赤い鱗の蛇がいた。長さは50センチしかないが、女性の手首ぐらい太い。


「ファイヤースネークがいたわ。ネメアちゃん、行くわよ」


「はい!」


 声掛けを聞いて、ネメアはここへ来るまでに取り出しておいた、切り口を発火させる短剣を胸の前で構えた。クレタは屈伸して、走り出す準備をしている。


 ファイヤースネークはこちらに気がつき、サボテンからスルスルと降りてきて威嚇した。大きく空いた口から、鋭く尖った牙と真っ赤な舌が顔を出す。


 最初に動いたのはファイヤースネークだ。飛び上がって二人に接近し、口から炎のエフェクトがついた硫酸を吐き出す。二人は慌てず呪文を唱えて、自分の四方に盾を召喚した。


 飛び散った硫酸が盾に付着する。クレタの召喚したものは無傷だったが、ネメアが目の前に召喚したものは、ジュワッと音を立てて炎のエフェクトに包まれた。彼は少し驚いたが、壊れなかったので安心した。


 次に動いたのはクレタだ。硫酸を吐かれることなどお構い無く、ファイヤースネークに飛びかかる。彼女の手がそいつの体を掴んだ。しかし、そいつは素早く身体を捻って手の中から飛び出し、砂の中へと隠れてしまった。


「チッ、逃げたわね」


 彼女はよくよく目を凝らして砂の動きを確認したが、ファイヤースネークがどこにいるのか分からない。砂の奥深くまで潜り込んだようだ。


「ファイヤースネークは撤退したんですか?」


 ネメアが問いかけた。すると次の瞬間、砂の中からファイヤースネークが勢いよく飛び出して、大きな硫酸の炎を吹き掛けてきた。あっという間に、彼の前方を守る盾が溶かされてしまう。


「うわっ!?」


 慌てて彼は、次の攻撃に備えて、右側を守る盾を前方に移動させた。だが、ファイヤースネークは彼の動きを見るまで攻撃せず、右ががら空きになった所で、身体をくねらせ足元に硫酸を吐いた。


 焼けつくような痛みが彼を襲う。堪らず悲鳴を上げて、右膝を地面についた。その隙に、ファイヤースネークはもう一発硫酸をお見舞いしようとする。そこへクレタが砂ぼこりを起こしながら駆けてきて、スライディングをした。


 彼女の足がクリーンヒットしたファイヤースネークは、2メートル先へ吹き飛ばされた。


「ネメアちゃん、今の内に盾の召喚と、足の回復をしなさい。すぐに回復魔法をかけると火傷跡が残るから、まずは優しく水をかけて、硫酸を洗い流すのよ」


 クレタから指示を受け、ネメアはこくりと頷いた。まずは呪文を唱えて盾を召喚した後、魔法で出した水で足を洗い流した。いくらか痛みがマシになってくる。それから回復魔法を使い、立ち上がって復帰した。


 彼が体勢を立て直している間に、彼女はファイヤースネークの様子を見に行った。強烈な蹴りをお見舞いしたはずだが、もう身体を起こして、砂の中へ潜り込もうとしている。


 今度は、ただで逃がすわけにはいかない。彼女は魔法で、長い草の蔓を召喚し、ファイヤースネークの身体に巻き付けた。そいつは砂の中へ潜ってしまったが、蔓が外に出ているため目印になり、見失わないようになった。

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