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今すぐ助けます

 大ダメージを食らった火口湖の精霊は、体がばしゃんと弾けてただの水となってしまい、その場に飛び散った。ネメアはその様子に絶句して後ずさる。まさか、殺してしまったのだろうか?


 しかし、そんな彼の心配は無用だったようで、飛び散った水滴はすぐさま集結し、また人の形をとった。それどころか、背が十歳の少女ほどまで縮んでいるものの、十体に分身していた。一体の分身が彼に向かって手を叩き、称賛を送る。


「おみごと! もうここまで私を追い詰めるなんて、見掛けによらず強いわねぇ。でもここから本番よ、ネメアちゃん」


 十体の分身はネメアを囲い込み、一斉に手の平を前に出した。四方八方から、大量の熱湯が彼を襲う。彼は回復魔法を使い続けることで、猛攻に耐えようとしたが、火傷を回復した先からまた熱湯を浴びせられるため、傷の修復が追い付かなくなった。


「うわぁぁっ!!」


 ネメアは堪らず悲鳴を上げる。身体中がジンジン痛んで、膝を着いてしまった。集団リンチに遭い、もはや反撃することは不可能だ。


 彼が押されている様子に、見かねたクレタは回復魔法を使いつつ、戦いの場に駆け込んで火口湖の精霊を咎めた。


「それはやり過ぎよ、火口湖の精霊さん!! 一人で十人の相手なんて、ネメアちゃんにはまだ無理だわ!!」


 意見を聞き、一体の分身が攻撃を止めて、彼女の方を振り向いた。


「クレタちゃんは、ネメアちゃんの回復魔法の腕を上げたいんでしょう? それなら、これぐらいやらなきゃ駄目だわ」


「そんな!」


 クレタは顔を真っ青にする。火口湖の精霊が、ここまで厳しくネメアに稽古をつけるとは思っていなかった。早く止めなければ、彼が重度の身体障がいを負ってしまうかもしれない。


 呪文を唱え始め、彼女は十体の精霊の足元に木の根を召喚し、体を拘束しようとした。だが、呪文を唱え終わらない内に、九体の精霊が火山ガスを発生させる魔法を発動させた。木の根を召喚する呪文を詠唱する際、回復魔法を途切れさせていたクレタは、思い切りガスを吸ってしまい、口から血を吐いて気絶した。


「クレタさん!!」


 追放された自分を拾い、育ててくれている大切な師匠を傷つけられ、ネメアは悲痛な叫び声を上げた。早く、彼女に近づいて、回復魔法をかけなければ!


 立ち上がり、クレタの元へ駆け寄ろうとする。しかし、濃度の濃くなった火山ガスで頭がクラクラして、歩きだそうとした瞬間、ネメアはうつ伏せにバタンと倒れた。もう、体が悲鳴を上げて動かせない。


 それでもなんとか彼女を助けようと、手を伸ばす。そんな時、ネメアは手の平から熱い力が放たれるのを感じた。


 3メートル先のクレタが、ピクリと肩を動かす。意識を取り戻した彼女は、盛大に咳をしながらも、頭の中で回復魔法を唱え、立ち上がった。

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