表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/180

イモ臭くないです!

 火口湖の精霊は柔らかい笑みを浮かべながら、クレタに歩み寄った。


「あらあらクレタちゃん、久しぶり~。私に修行のお手伝いをしてほしいのねぇ。今日は何をするの? 熱湯に耐える特訓? それとも、火山ガスに耐える特訓? それか、火山を噴火させて、火砕流から逃げる特訓?」


「火山ガスに耐える特訓でお願い。それから、貴方の修行を受けるのは、私じゃなくてこの子よ」


 クレタは、隣に立っているネメアの腰に手を回し、前に押し出した。彼を見た火口湖の精霊は、「まぁ!」とすっとんきょうな声を上げ、口元に手を当てた。


「クレタちゃん、恋人ができたの!? 随分とイモ臭い男ねぇ」


 火口湖の精霊にクレタの恋人と間違えられたネメアは、ドキリとして顔を赤くした。だが、そのすぐ後にイモ臭いと罵倒され、顔を歪めた。


「俺はイモ臭くなんかないです!! それに、俺はクレタさんの恋人じゃなくて、弟子ですよ!!」


 ネメアが抗議すると、火口湖の精霊は自分の頭をコツンと叩いて、ちょこっと舌を出した。


「あらあらそうだったの。私、早とちりしちゃったわ。お弟子さん、名前はなんて言うの?」


「ネメアです」


「ネメアちゃんねぇ。それじゃあさっそく、特訓を始めましょう。私は火山ガスを発生させるから、それに耐えつつ、戦ってね。さあ、武器を用意して」


 優しい桃色をした火口湖の精霊の瞳が、全てを焼き尽くす赤色に変わった。ネメアは鋭い緊張感を抱き、ブルリと肩を震わせる。アイテムボックスを召喚し、彼は殴ったものを凍りつかせるグローブを取り出した。 


 巨木の精霊と戦った時は、切り口を発火させる短剣を使ったが、今回は火口湖の精霊なので、炎は水で消されてしまうだろうと思い、グローブにしたのだ。


 アイテムボックスを四つ葉のペンダントの中に封印し、ネメアはグローブをはめた。それから羽織っていた外套をクレタに預けた。戦いの準備が整った。クレタは光の球をその場に置いて、ネメア達から離れる。


 火口湖の精霊が短く呪文を唱えた。戦いの場に火山ガスが発生し、卵の腐ったような臭いが充満する。ネメアはゴホゴホと大きく咳き込んだが、すかさず頭の中で回復魔法の呪文を唱え、苦しさを和らげた。


 このまま呪文を唱え続けなければ、最悪の場合死んでしまうため、ネメアは呪文の詠唱に集中した。火口湖の精霊に攻撃しにいきたいが、それどころではない。


 しかし、火口湖の精霊はそんな彼の隙を狙って攻撃を仕掛けてきた。手の平を彼の方に向け、熱湯を発射する。攻撃されたことに気がついた彼は、熱湯を殴り付けて氷漬けにし、攻撃を防いだが、呪文の詠唱を途切れさせてしまった。


 鼻から火山ガスを吸ってしまい、ネメアはえずく。吐き気が込み上げて目に涙が浮かんだ。そんな彼のことなどお構い無く、火口湖の精霊は次々と熱湯を発射してくる。


 肺が苦しくて堪らないのを我慢しながら、ネメアは体をひねったり飛び上がったりして、何とか熱湯を避けた。しかし、毒に蝕まれた状態で全ての攻撃を避けることはできず、右頬に熱湯がかかってしまう。ジュワッと鈍い痛みが広がって、彼は呻き声を上げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ