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俺に死ねと?

 ネメアとクレタは受付に向かい、クレタが交渉した例の青年にゴーレムの心臓を渡した。青年は、うやうやしく二人を褒め称えた。


「いやぁ、凄いですね! たった二人でゴーレムを討伐してきてしまうなんて! まさか本当に倒せるなんて思いませんでした。恐れ入ります」


 賛辞を並べた後、青年は揉み手しながらひそひそ声でクレタに尋ねた。


「それで、俺との交渉、覚えてくれていますよね?」


「もちろんよ」


 クレタがそう答えると、青年は心底嬉しそうな顔をした。


「あぁ良かった! それじゃあ、報酬をお渡ししますね」


 本当は、ゴーレムという強力な魔物を討伐した場合、金貨十枚と、銀貨三十枚は冒険者に支払われなければならないのだが、青年はその半分の金貨五枚と銀貨十五枚だけ袋に入れて、クレタに手渡した。


 ネメアは受付係の青年の図々しさにイラッときて、思わず睨み付けそうになる。だが、クレタが約束してしまった事なので、仕方なく受け入れた。

 



 報酬を受け取った二人は、冒険者ギルドを出て昼食を取り、商店街に赴いた。クレタが、次の特訓で向かう場所は、道具を揃えてから行かないと危ないので、買い出しに行こうと言い出したのだ。一体どんな場所に連れていかれてしまうのかと、ネメアは顔を青くしている。


「クレタさん、俺をどこに連れていくつもりなんですか?」


「火山よ。そこで精霊と戦ってもらうわ」


「精霊!?」


 ネメアは、クレタと初めて依頼を受けた時に戦った、巨木の精霊を思い出した。普通、精霊は滅多に会えないはずだが、なぜか彼女は精霊たちの居場所を知っているようだ。


「なんでクレタさんは、そんなに精霊のいる所を知っているんですか?」


「秘密よ、フフフ。時期に教えてあげるけど。そんな事より、聞いた方がいいことがあるんじゃない? 例えば、火山にいる精霊はどんな精霊なのか、とかね」


 話をはぐらかされてしまい、ネメアは腑に落ちず眉を潜めた。しかしクレタの言う通り、戦う相手の情報を集めておいた方がいいので、質問することにした。


「じゃあ、火山にいる精霊って、どんな精霊なんですか?」


「火山の山頂にある、火口湖の精霊よ。火山ガスを発生させる力を持っているわ」


「火山ガスって、有毒なガスですよね。それを吸わないように戦えばいいんでしょうか?」

 

「いいえ、たくさん吸ってもらうことになるわ。死なないように、回復魔法を使い続けてちょうだい」


「えっ!?」


 生命の危機を感じ、ドキリとしてネメアは飛び上がった。それからすぐに、クレタへ抗議した。


「それって、俺に死ねって言ってるんですか!? そんなの酷いですよ」


「さすがに、死ぬまで火山ガスを吸わせ続けたりしないわよ。火口湖の精霊だって、魔物と違って理性があるんだから、ネメアちゃんを殺さないわ」


「えー、本当ですか?」


「疑わないでちょうだい。これでも、私はネメアちゃんを大切に思ってるのよ」


 今度は違う意味でドキリとし、ネメアは渋々納得した。「大切に思ってる」と言われたら、悪い気はしない。


 その後二人は、登山用のブーツや、寒くなった時に羽織る服、行動食などを商店街で買った。精霊がいる火山には、明日行くことになった。

 

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