遭遇しちゃいました 3
ネメアが本当にゴーレムを倒せたのだと知ったアレス達は、キャンサがいる所まで大人しく引き返すことしかできなかった。アレスは、苛立ちのこもった声で、キャンサに質問した。
「キャンサ、なんであいつの持ってる紫の石が、ゴーレムの心臓だって分かったんだよ?」
「強い魔力を感じたからだよ。アテネも、あの宝石が偽物じゃないって事、分かってたでしょ」
指摘を受け、アテネはバツが悪そうにそっぽを向いた。キャンサに言われた通り、彼女はネメアからゴーレムの心臓を奪った瞬間、そこから溢れる魔力を察知していた。けれど、馬鹿にしていたネメアがゴーレムを討伐したという事実を、認めたくなかったのだ。
アレス達に、重苦しい沈黙が訪れる。その間に、キャンサはネメアの方へ向かっていった。
「貴方がネメアくんだね。私、君の事を探してたんだ」
「えっ?」
自分とは関わりがないと思っていた人物から話しかけられ、ネメアは目を見開いた。
「俺に何か用ですか?」
首を傾げて尋ねると、キャンサは耳打ちしてきた。
「ネメアくんは、伝説のSランクパーティー、オリーブパーティーのリーダー、オリーブ・ヘリクルスの弟でしょ。私、彼女に頼まれて君を探してたんだ」
「えぇっ!?」
突拍子もなくとんでもないことを言われ、ネメアは仰天した。彼の様子を見て、キャンサはこくこくと頷く。
「その反応、やっぱりオリーブの弟なんだ」
確信がついたキャンサは、先ほどよりもさらに声を潜めて耳打ちを続けた。
「私、オリーブの元仲間なの。今は偽名を使ってて、ステータスカードも偽造して正体を隠してるから、この事は誰にも言わないでね」
畳み掛けて凄い事を言われ、ネメアはしどろもどろになった。
「えっ、えっ、え?」
「困惑するのも無理ないよね。だけど、今は私の話を信じて。オリーブが、貴方も冒険者になったと知って、心配だから様子を知りたいと言っていたの」
耳打ちをやめ、キャンサはネメアに微笑みかけた。
「オリーブの心配は不要だったみたいだね。私のつくったゴーレム、倒してくれてありがとう」
これまた度肝を抜く事を伝えられ、ネメアは口をポカンと開けることしかできなくなった。そんな彼を放置して、キャンサはアレス達の元に戻っていく。
アレス達は、キャンサがネメアと話している間に、何か相談していたようだ。彼女が戻ってきたタイミングでちょうどそれが終わったようで、彼らはネメアにきつい視線を向けた。
「おいネメア! ゴーレム一体倒した程度で調子に乗るなよ! 俺達はお前達より、もっと沢山の強い魔物を倒してやるんだからな!」
アレスはそう宣言すると、仲間を引き連れて冒険者ギルドから出ていった。これで一件落着だ。
キャンサから聞いた話があまりにも衝撃的で、気が遠のいていたネメアだったが、アレスの声で正気に戻った。彼らは本気で、自分達に対抗心を抱いたようだ。せっかくリードできた一歩を越されないようにしなければと、ネメアは気を引き締めた。




