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遭遇しちゃいました 2

 フリーズしてしまったネメアを置いて、クレタはどんどん前に出ていく。声をかけられたアレス達一行は、彼女の方を振り向いた。アレスは彼女を見た途端、「あっ」と声を上げる。


「お前は、ネメアを引き取っていった……」


「クレタよ。そこにいる受け付け係と話をしたいから、どいてくれないかしら?」


「は?」


 クレタが要望を伝えると、アレスは不機嫌な顔になった。彼の両脇にいるアテネとセレーネも、眉間に皺を寄せる。ただ一人、ネメアと交代で彼らの仲間になったキャンサは、真剣な表情で彼女を見ていた。


 セレーネが、威嚇するような低い声でクレタに尋ねる。


「あんた、ゴーレムを倒したって言ったわね。それって本当なの?」


「本当よ。ね、ネメアちゃん」


 威圧されても物怖じせずに返答し、クレタはネメアの方を振り向いた。そこでアレス達は彼の存在に気がつき、目を丸くした。それから顔を見合わせてニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべながら、三人で彼に歩みよった。


「おいおい、無能なお前がゴーレムを倒すなんて、随分強くなったんだな」


「倒したっていうんなら、証拠を見せなさいよ。あるんでしょ? ゴーレムの心臓」


「駄目よ二人とも、そんなにグイグイ迫ったら。クレタって人が嘘を吐いているんだとしたら、ネメアが惨めで可哀想よ」


 小馬鹿にしながら近づいてくる三人に、ネメアは肩を震わせる。彼は今、自分がどんな感情を抱いているのか分からなくなっていた。アレス達に恐怖しているのか、苛ついているのか、はたまた、ゴーレムの心臓を見せた時の反応が楽しみなのか。歓喜と憎悪が複雑に混ざりあっていた。


 無言でクローバーのネックレスを握りしめ、アイテムボックスを召喚する。中を開けて、吸い込まれるような怪しい紫色に光る宝石を手に取ると、三人の前に掲げてみせた。


「証拠ならありますよ。これを見てください」


 ゴーレムの心臓を見た三人は、ギョッとして後ずさった。アレスは声を出せなくなり、口をパクパクとさせて、セレーネは「嘘だ……」と呟き、目を暗くする。


 アテネは憤慨し、ネメアからゴーレムの心臓を引ったくった。


「何よこれ! こんなの偽物に決まってるわ!」


「あっ、ちょっと!」


 奪ったゴーレムの心臓を、アテネは冒険者ギルドの扉目掛けて投げつけようとした。ネメアが咄嗟に手を出して止めようとするが、彼女からは距離が離れていて間に合わない。そんな時、今まで黙って四人のやり取りを見ていたキャンサが口を開いた。


「そのゴーレムの心臓は本物だよ! 投げつけて破損させたら、賠償金を払う羽目になる!!」


 キャンサの声を聞き、アテネは腕を下ろした。悔しそうに顔を歪ませて舌打ちし、しばらく俯く。


 五分ほど経って、彼女は深く溜め息を吐き、ネメアにゴーレムの心臓を返しながら質問した。


「貴方、どうやってゴーレムを倒したのよ。仲間は、あのクレタって人しかいないんでしょ。二人だけで、Aランクパーティーが倒しにいく魔物を、討伐できる訳がないわ」


「もう一人、協力してくれた人がいるんです」


「それじゃあ、クレタさんとその人が、よっぽど強いって事ね」


 ネメアは悪態をつかれたが、少しも悔しさは湧いてこなかった。今なら何を言われようが、負け惜しみにしか聞こえない。最初はアレス達に対して恐怖を感じていたが、それは綺麗さっぱり消えていた。


 アレス達からすれば、自分達よりステータスが低くて弱いと思っていた奴が、強い魔物のゴーレムを倒してしまったのだ。これは悔しくて堪らないだろう。


 ふと、ネメアはクレタと目が合った。彼女は「うまくいったでしょ」と言うように、ウィンクを飛ばしてきた。彼はそれに応えて、こくりと頷いた。


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