俺と同じなんですね
戦いが終わると、倒れたネメアの元にクレタとケネイアが駆けつけた。クレタが回復魔法を彼にかけ、ケネイアが体を起こして立ち上がらせる。
ネメアはくたびれた目をして周囲を見渡し、自分の両脇に積み上がった土の塊を見て、ポツリと呟いた。
「討伐、できたんですよね?」
問いかけに対し、クレタは微笑みながら「そうよ」と言い、ケネイアは静かに頷いた。二人の反応を見て、疲労の浮かんでいた彼の顔が、たちまち輝いた。
「やった! Aランクパーティーでないと倒せないような魔物を、俺が倒せたんだ!!」
自分が誇らしくなって、ネメアは思わず叫んだ。ステータスが平凡で役に立たないと馬鹿にされた自分は、もはやいなくなったように思えた。
クレタがネメアのズボンのポケットを指差し、声をかける。
「ステータスがどうなったか、確認してみましょう?」
「はい」
言われた通り、ネメアはズボンからステータスカードを取り出した。クレタとケネイアは、両脇からそれを覗きこんだ。
『ネメア・レオ』
攻撃力 70/100
防御力 69/100
素早さ 75/100
武器を扱う技術 70/100
魔力 62/100
身体能力 64/100
「攻撃力と武器を扱う技術が、70まで上がりました!」
「おめでとう!」
嬉々としてネメアが報告すると、クレタは彼に拍手を送った。対してケネイアは、ネメアのステータスをじっと見つめて、思った事を口にした。
「次に上げるなら、魔力のステータスが良さそうだね。まだまだ伸び代がある」
「そうね」
意見を聞いたクレタは頷いた。だが、ネメアはげんなりと眉を潜めた。
「えー、この前アンデッドと戦って、上げにいったばかりじゃないですか。またあんな大変なことをしなくちゃいけないんですか?」
死にかけた事が脳裏によぎり、彼は嫌そうに肩をすくめた。クレタもその事を思い出して、難しい顔になる。それから「うーん」と頭をひねって、彼女はポンッと手を叩いた。
「そうだわ! 回復魔法を強化しに行きましょう。せっかく、副作用無しで回復できるんだから」
「その修行は、死にかけたりしませんよね?」
怪訝そうに彼が尋ねると、彼女は不敵な笑みを浮かべた。
「どうかしら? まあでも、戦う相手はアンデッドと違って、知性があるから大丈夫なはずよ」
回答を聞いて、ネメアはうへっと舌を出した。
二人のやり取りが終わったのを見計らって、ケネイアは口を開いた。
「ネメア君も、回復魔法を副作用無しで使えるんだね」
「ネメアくんも?」
小首を傾げて、ネメアは聞き返した。
「あぁ、クレタも副作用無しで使えるんだよ。ネメア君もそうだなんて、さすがは……」
ケネイアが言おうとした事にギョッとして、クレタは彼の口を手で覆った。
「その事は秘密にして! まだネメアちゃんに話すときじゃないの」
「ごめんごめん」
注意を受け、ケネイアむごむごと口を動かして謝罪しながら、ペコリと頭を下げた。ネメアは、彼が何を言いかけたのか気になったが、それよりも引っ掛かる情報があった。
「クレタさんも、副作用無しで使えたんですね」
話しかけると、クレタはケネイアの口を塞いでいた手を外して、こくりと頷いた。
「そうよ」
ネメアは「へぇー」と声に出した。やっぱり、全てのステータスが100に到達してる人は違うんだなぁと感心した。思い返せば、巨木の精霊と戦った時や、先ほど回復魔法をかけてもらった時も、気持ち悪くならなかった。
副作用無しで回復魔法を使える者は少ないと聞いたのに、案外身近に同じような人がいるのだなぁと、ネメアは不思議に思った。




