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足手まといにはなりません

 互いの自己紹介を済ませたところで、ケネイアはクレタに質問した。


「クレタ、君たちはどうしてこの町に来たんだい?」


「ゴーレム討伐の依頼を受けたのよ。ネメアちゃんの攻撃力のステータスを上げる特訓のためにね」


 クレタが答えると、ケネイアは静かに頷いた。


「なるほど。ゴーレムは耐久力が高いから、ダメージを与えるには一苦労する。良い特訓になりそうだ。ただ、今回暴れているゴーレムはあまりにも強い。ネメアくん、ステータスカードを見せてくれるかい?」


「……はい」


 気乗りしないものの、ネメアはステータスカードをズボンのポケットから取り出した。


 クレタさんの元仲間となれば、ケネイアさんも相当ステータスが高いはず。そんな人に、平凡よりちょっとマシな程度のステータスを見せたら、馬鹿にされるかもしれない。


 自分のステータスカードを手に取ったケネイアを、ネメアは不安そうに見つめた。


 彼のステータスをざっと目で追ったケネイアは、「うーん」と微妙な声を上げる。カードを彼に返すと、ケネイアは顎に手を当てた。


「素早さは中の上といった所だね。でも、それ以外のステータスは特段高い訳じゃない。他の町のゴーレムだったら、クレタにサポートしてもらえばなんとか勝てただろうけど、この町のゴーレムは無理だ。


 ここは特に主要な港町だから、他の主要な町と比べても、警備を厳重にしておく必要がある。だから、ゴーレムが普通のものより大きく強く造られているんだ。危険だから、君はここに残ったほうがいい」


「えっ」


 遠回しに戦力外通告を受けて、ネメアは青ざめた。薄々そう言われる予感はしていたが、実際に言葉にされるとショックだった。アレスにパーティーを追放された時の光景がよみがえってくる。


「お前、ステータスが平凡すぎるんだよ。攻撃力も、素早さも、防御力も普通。剣も魔法も武術も、並みにしか使えない。


 俺達がBランク冒険者だった頃までは、お前も役に立ってたよ。だけどな、俺達がAランク冒険者になってから、お前が足手まといになってきたんだ」


 あの時アレスに言われた事を思い出して、ネメアは手の平をギュッと握り、歯を食い縛った。


 もう俺は、足手まといにじゃない。俺には俺にしかできないことが、きっとある。だから、ゴーレム討伐の役に立つことだってできる!


 ネメアは椅子から身を乗り出して、クレタを挟んだ先にいるケネイアに、強く反論した。


「俺は戦えます! ステータスが低いからって、舐めないでください!」


 大きな声で怒鳴られ、ケネイアは呆気にとられた。だが、ごほんと咳払いすると、彼に向かって冷ややかな目を向けた。


「私は、自分の力量を顧みずに突っ走って、わざわざ死ににいくような者とは一緒に戦えない。クレタ、君も彼の力量を見誤っているのではないか? ネメア君にゴーレム討伐は早すぎる」


 凍えるような冷たい態度で、ケネイアはネメアを突き放した。今度はクレタが反論する番だった。


「いいえ、ネメアちゃんなら戦えるわ。この子は、瞬時に機転をつくる利口さがある。エリュマのように、力でなくても頭で戦えるのよ」


 元パーティーメンバーであり、優秀な司令塔だったエリュマの名前を出され、ケネイアは途端に興味を引かれた。口元がゆるりと弧を描く。


「ほう。ネメア君は彼女ほど洞察力に優れているというんだね。ならば、あのゴーレムと有効に戦うための作戦を考えてもらおうか」


 ケネイアはネメアに向かって、挑発的な笑みを浮かべた。


「いいですよ。十分もあれば思い付きますから」


 眉を釣り上げてそう宣言し、ネメアはケネイアの挑発に乗ってしまった。




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