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俺の姉さんは……

「…………はい、そうです。俺の姉さんは、伝説の冒険者、オリーブ・ヘリクルスです。


 そして俺の本名は、ネメア・ヘリクルスです。本当の名字を名乗ると目立ってしまうので、今まで叔母の名字を名乗っていました」


 俯きながら、ネメアは告白した。それを聞いたクレタは、ニヤリと笑う。


「やっぱりね。貴方、魔法のコントロールがとても正確だから、強くなれる素質があると思っていたのよ。オリーブと血が繋がっているなら、強くて当然よね」


「えっ、俺ってそんなに上手く魔法をコントロールしてたんですか? 今まで意識したこと無かったです。


 それに、姉さんは強かったかもしれませんが、俺なんて凡人ですし、姉弟なのにどうしてこんなに差が出るのかって、ずっと悩んでたんです」


 クレタに言われたことに驚き、ネメアは目を丸くした。


「そんなに自分を卑下しなくていいのよ。貴方、回復魔法を使った後、頭痛が起きたことある?」


「いいえ、ありませんよ。頭痛なんて起きるんですか?」


 鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、首を傾げた彼に、彼女は思わず吹き出した。


「ブッ、フフフ! 貴方って、自分のことに関しては鈍感なのね。副作用を起こさずに回復魔法が使える人は珍しいのよ。私の元仲間の魔法使いだって、魔力ステータスが200なのに、回復魔法の副作用を抑える事はできないわ。


 これはもう、努力じゃどうにもならないことよ。元からそういう才能がない限り、魔法のコントロールは上手くいかないの」


「えぇ!?」


 自分の隠れた才能を知り、彼は仰天して上半身を起こした。その反動で、体の節々に激しい痛みが走り、悶絶してしまう。しかし、痛みが癒えると彼は破顔した。


「あは、ハハハッ! 俺にそんな才能があったなんて知らなかったです。嬉しいなぁ……


 自分の長所がなんなのか分かれば、もっともっと強くなれるって、前にクレタさん言ってましたよね。俺、それが分かってよかったです」


「ウフフ。ネメアちゃんにはきっと、魔法のコントロール以外にもいろいろな才能があるはずだわ。これからどんどん見つけていきましょう」


 そう言って微笑むと、彼女は彼に覆い被さった。眼前に胸が迫ってきた彼は、驚きと興奮でむせてしまう。彼女はズボンのポケットに手を入れてまさぐった。


「さて、お楽しみのステータス確認タイムよ」


 ネメアのステータスカードを取り出し、彼女はそれを突きつけた。




『ネメア・レオ』


攻撃力 65/100


防御力 63/100


素早さ 72/100


武器を扱う技術 67/100


魔力 60/100


身体能力 62/100




「わぁ! 魔力のステータスが、52からいっきに60に上がりました!」


「本当? 見せて」


 ステータスカードをネメアに渡すと、クレタは彼の上から退いて、横からカードを覗いた。確かに、魔力のステータスが一気に上がっているのを見て、彼女はパァッと顔を輝かせる。


「凄いじゃない! まさか、こんなに上がるなんて思わなかったわ。今回戦ったアンデッドはやけに強かったから、そのおかげかしら」


「そうかもしれませんね。あのアンデッド達は、元々冒険者だったようですから」


 彼の発言に、彼女は目をしばたたかせた。


「あら? どうしてそんな事が分かったの?」


「俺が気絶してる時、話しかけてきたんです。魂と体が離れていく感覚があったんですけど、その人達が押し戻してくれました」


「そうだったのね。私からも、アンデッド達に感謝しておかなくちゃ」


 両手を合わせ、彼女は祈りを捧げた。

 

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