表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/180

救出しにいきます

「ネメアちゃんは、捕まっている人を助けにいって! 私はウォータースパイダーの注意を引き付けるわ!」


 指示を伝え、クレタはウォータースパイダーの群れの中に突撃していった。次々と放たれる糸を、目にも止まらぬ速さで交わしている。


 メスのウォータースパイダーも糸をはいた。それはとても大きく、一回当たっただけでも、身動きがとれなくなりそうだ。


 クレタは二体のウォータースパイダーの頭を掴み、大きな糸に向かってぶつける。二体はそれに絡めとられ、地面に張り付いた。


 上手く立ち回りだしたクレタに対し、ネメアはどう攻めていこうか悩んで、動けずにいた。


 自分はクレタのように俊敏な動きはできないし、あの群れの中に足を踏み入れたら、たちまち糸でグルグル巻きにされるだろう。下手な行動はできない。


 それに、捕らえられている人は天井からぶら下がっているが、全力でジャンプしても、爪先にすら届かなそうだ。どうやって、助けにいけばいいんだろう?


 悩んでいると、クレタがまたメスのウォータースパイダーから吐き出された糸を、二体のウォータースパイダーを投げつけることによって防いだ。


 偶然、先ほど地面に張り付いたウォータースパイダーの上に、その二体を絡めとった糸が重なる。


 それを見た途端、ネメアの頭の中に、閃光のようにアイデアが落ちてきた。


 メスの糸に絡まったオスを上手く重ねていき、それに登って頂上でジャンプすれば、届くかもしれない。


 しかし群れの中に入っていくには、どうすればいいだろう? 拘束されずに済む方法はあるだろうか。


 先ほど十二体のウォータースパイダーと戦った時は、糸が水に流されていた。体を水に濡らした状態にしてみよう。


 ネメアは呪文を唱えて、頭から水を被り、ウォータースパイダーに捕まった男性を助けに向かった。十体のオスが彼の方を見る。素早く足を動かし、ワラワラと迫ってきた。


 彼はそいつらを引き付けつつ、メスの視界に入る場所へと駆けた。背中に三本の糸が放たれたが、水が粘着力を奪い、ドロリと溶ける。


 メスがネメアの気配をとらえ、振り向いた。大きな糸が吐き出される。ネメアは自分を追ってきたオス二体を素早く殴り、凍りつかせた状態で投げつけた。メスの糸が包みこみ、丸い糸玉ができる。彼はそれも殴って凍りつかせ、回収した。


 糸玉を、二つ重なっているものの上に置いた。ちょうど氷が溶けて、三段重ねになる。あと七つあれば良さそうだ。


 彼は同じ行程をもう一度行った。その様子を見たクレタは、彼が何をしようとしているのか気付き、協力し始める。あっという間に、糸玉が十段重ねになった。


 ネメアは再び呪文を唱えて、頭から水を被り、手足に糸が張り付き過ぎないようにしながら、糸玉を登り始める。クレタはその下で、彼を狙いにきたウォータースパイダーを蹴散らした。


 頂上に立ち、彼は深く息を吸って目を閉じる。集中力を高め、左足を踏み込み、右足を宙に浮かせた。


 飛び上がったネメアは、天井から吊り下げられた男性に向かって手を伸ばす。爪先を掴むことに成功した。体を前に出したり後ろに引いたりして、振り子のように動かす。男性を吊るしている糸が、ブチブチと音を立ててちぎれだした。


 メスが異変を察知し、彼めがけて糸を発射する。避けることができず、当たりそうになった。その時、何者かが召喚した火の玉によって、それが燃やされる。視線を上に向けると、男性と目が合った。


「ありがとうございます!」


 助けてくれたお礼を言い、ネメアはいっそう強く体を振った。


 糸が切れ、二人は地上に落ちていく。男性はクレタが受け止め、彼は体を丸めて受け身をとりつつ着地した。足の骨が折れてしまったが、すぐに魔法を使って回復する。


 ドッと疲労感に襲われ、頭がクラクラした。それでも立ち上がると、目の前にメスのウォータースパイダーが立ち塞がっていた。

 

前回からかなり間が空いてしまい、申し訳ございません。気長に待ってくださった方々、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ