黄珠妃の怒り
⒊黄珠妃の怒り
男について行くと、その先にはもう怖いくらい本当にもう、もう‼凄く怖いくらいニコニコした黄珠妃が立っていた。
(ヤバイ‼黄珠妃はニコニコしている時が一番怖いんだよ。)
「黄珠妃、見つけてきましたよ。」
「ありがとう。沙迅。」
どうやらこの男は沙迅という名前らしい。
「梨凛、最近帰ってきてませんでしたよねぇ。」
お説教のはじまりはじまり~だ。
(あぁ~。怖いなぁ。)
「は、はい。」
渋々梨凛が答えた。
「何をしていたのですか?」
またニッコリと黄珠妃が問いかける。
「え~っと、働いていました。」
(一応私は働いてはいた。)
梨凛はそう自分に言い聞かせた。
「沙迅。」
「はい。この侍女は占いをしていました。」
(うわぁっ‼こいつ言いやがった‼それでなくても、黄珠妃が椅子から立つことなんて珍しいのに!)
梨凛はこの男を絶対に呪ってやると決めた。
「占い師といえば…違法ではありませんか~。あぁ、私の顔が泥まみれ~。」
(このお妃様絶対に知ってたな。)
「しかし、私の侍女ということで、今からの説教で許して差し上げます。」
(結局そうなんですね。それじゃぁ、その前のやつは嫌味ってことですね。ハハハ。)
それから三時間ほど説教が続いた。もちろん、梨凛はずっと正座させられていた。
(はぁ、足が……)
「ということで、これからは気を付けて下さいね。」
「…はい。」
(占いで稼げなくなるなぁ。次は何で稼ごうか。呪ったりするのはどうだろう。)
ちなみに呪ったりするのも、違法だ。
こんな感じで、梨凛は反省するどころか、またまたろくでもないことを考えていた。
「あっ、ちなみにお前、次また違法をしたら即牢屋行きだからな。」
「チッ‼」
梨凛はクソッ!と思い、ついつい舌打ちをしてしまった。
「おっ、おいお前、今舌打ちしただろ。」
(ヤバイ‼一応こいつ結構お偉いさんなんだった。ごまかすしかない。)
「いえ、親切に教えて下さった沙迅様にそんなこと私がするはずないでしょう。」
「…そうか。」
沙迅はまだ少し疑っていたが、それ以上何も言わなかった。
(ギリセーフってとこかな。)
※この作品は現在の分かりやすい言葉に直しています。