ベトナムサプライズ、再び
ホーチミンの日々はあっという間で。
特にメコン川の川下りが冒険って感じで本当に楽しかった。
湿気、熱気、マングローブ、茶色い川に大きな魚。
探検家になったみたいだった。
初めてドリアンを食べてみたり、疲れたお母さんをホテルに置いてお父さんとフォーの食べ歩きに行ったりした。
言葉も全然わからないけどベトナムのいう国に自分がいることがなんだかとっても面白かった。
ただいま、と帰ってきてもそこもベトナムで。
ホーチミンでの思い出を振り返りながらハノイにある両親の家で数日過ごした。
みんなに写真を送ったら、すぐに返事が来て驚いた。みんな一緒にいたみたい。いいな、私も一緒にいたかった。
そしてそろそろ日本食が恋しいな、そう思っていたら昼ごはんはおにぎりと豚汁だった。やった。
***
「ちょっと、高垣ケータイ見せなさいよ」
「な、なんだよ!やめろよ」
「なんか見ちゃいけないものを見ちゃった気がしたのよ!」
「あっ!!ゆうやめろ!」
「なんだこれ、すぐ消せ」
「バレると恥ずかしい・・・!」
「ハルカにメールしよ。た、か、が、き、が、ア、オ、ザ、イ、の、ハ、ル、カ、を、ま、ち、う、け、に」
「やめてーー!!ハルカちゃんには秘密にしてーー!!」
「新太は本当早くプリント進めてよ」
「そういう馨も、見えてんぞ」
「えー!なになに?川上も?」
「ほんっとに油断も隙もない!こんのむっつりすけべ」
「むっつりすけべは心外だな!そういうゆうはどうなの!?」
「俺はバスケ選手だもーん」
「ちっ」
「あーおもしろい、ハルカ早く帰ってこないかな」
***
「ハルカ」
「何?」
珍しくお父さんが真剣な顔をしている。
「ベトナムはどうだ?」
「結構いい所だね。湿気はあるけど慣れてきたし、食べ物も好きだよ」
「そうかそうか」
「ねぇ、パパ・・・」
「うん、ママ、言うよ俺!」
「な、何・・・?」
見つめ合っている両親をちょっと嫌な目で見てしまった。何を言われるの、私・・・。
「高校を卒業したら、ベトナムで暮らさないか?」
「ええ!?日本に戻ってこないの?」
「いや、そうなんだけど、っていうかそうだったんだけど、任期の延長の申し入れが会社からあってですね・・・」
「すぐに決めなくてもいいの。ハルカが進路を考える時にそういう道もあるよってことで」
「こっちに住むって言ったって、私はどうするの?こっちの大学に行けるような語学力ないよ」
英語しかしてないし、なんなら英語だって苦手だ。いや、むしろ日本語だって怪しい。
突然の提案に心臓がドキドキしてきた。
私がベトナムに暮らす?
「人生の中で一回くらい日本以外で暮らすっていうのはいい経験になると思うよ」
「それは、そうだろうけど・・・」
「日本語学校とかでバイトもできそうよ」
「すでに何か将来こうなりたいみたいなイメージはあるのか?」
「それはまだないけど・・・」
普通に日本の大学に進学して、そこで将来何になるのか職業選択して、みんなと一緒に就活して・・・みたいな未来しかまだ考えてなかった。
「まあ大学生ってなったら1人暮らしを始める人だって多いし、日本に居たかったらそれはそれでいいんだけどね」
「う、うん・・・」
「と、いうことで、パパは残念ながら明日仕事になってしまった」
「どんな話の流れよ」
明日はみんなでハロン湾、という所に観光に行くことになっていた。
「ママも行きたかったんだけどぉ、パパが行けないなら家にいようかなって思って・・・」
「しょうがないよ、大丈夫。私も家でゆっくり・・・」
「いや、ハルカはせっかくだから行ってきて!」
「私1人じゃ無理だよ!バスにも乗れないよ」
「大丈夫だ。な、ママ?」
「うん。グエンくんが案内してくれるって」
「ええー!!!」
「大丈夫よぉ。グエンくん日本語ペラッペラだし、良い子だから」
「いやいや初対面なんだよ?」
「グエンくんはすぐに誰とでも仲良くなれるから大丈夫大丈夫」
「娘の心配してよ!!」
この両親時々とんでもないこと言ってくるから本当に驚く。




