ケンカするほど仲がいいって誰が考えたんだろう
「ダメかも・・・」
「ちょっと、重いよ」
ふらふらと教室に入ってきた新太くんは馨くんに寄りかかった。無事にテストを終えたけど、どうやら新太くんは無事じゃなかったようだ。
「来年もクラス違うかもね」
「嫌だー!!」
「じゃあ勉強しろよ」
「ゆうはオカンみたいなこと言うなよ〜」
「もー重いってば新太」
「ハルカちゃん、俺を慰めて・・・」
馨くんから離れた新太くんは私の方へ歩み寄ってきた。
「もう終わったことだし、今更どうしようもないから元気だそう?」
「うっ、現実的・・・!!」
私は新太くんの頭を撫でようと手を伸ばしたが叶わなかった。
「だーめ」
ゆうに手を掴まれたからだ。
「あっ!もうゆう邪魔すんなよな」
「そんな下心丸出しのやつには俺もう勉強教えない」
「脅すなよぉ」
いいんだな?と新太くんに詰め寄るゆう。
「もう、早く行こうよ。ミヤコ待ってるよ?」
今日はテストお疲れ様会なのだ。いつものファミレスで夜ご飯食べるだけだけど。そしてゆうはいつになったら私の手を離してくれるんだろう。振り解こうとしてみたけど、力が強すぎてダメだ。
「チョップ」
「わっ」
急に馨くんが私とゆうの繋いでいる手に向かってチョップをしたことで私はゆうの手から解放された。
「ナチュラルに手を繋いたままなのやめてよね」
「あーもう馨・・・」
「あれ、ハルカちゃんゆうと手を繋いでおきたかった?」
「え、いやぁそんなことは」
なんならちょっと手痛かったし。
「だってさ。ほら行こう」
馨くんに腕を引かれ教室を出た。
「あ、あの馨くん・・・?」
「うん?」
「馨くんは手を繋いだままなの?」
「うん。ハルカちゃんやだ?」
「い、いやじゃあないけど」
もちろん嫌じゃないけど、別にいいってわけでもなくて、っていうかさっきゆうに手を繋ぐなとか言ってませんでしたっけ?
しどろもどろになっている私をみて、馨くんは微笑んだ。
「僕はいいの。でも他の男と手を繋いでるのを見ると嫉妬しちゃうからだーめ」
「か、馨くん・・・!」
もう、好きなだけ繋いでください。
馨くんって人たらしなんでしょうか・・・!?
「馨ずるい!」
「絶対今日馨のジュースに醤油入れてやる」
「ゆう陰湿!」
「うるさい。俺らも行くぞ」
***
「ちょちょちょ、何何何!?なんで川上と手繋いでたの?」
「私もよく分からない・・・」
ミヤコの姿が見えた瞬間、恥ずかしくなってしまって馨くんに手を離してもらうよう頼んだ。
残念、と言いながらちゃんと手を離してくれるあたり、馨くんはゆうと違ってやっぱり紳士的だ。
平常心を装ってミヤコに声を掛けるが、相手はバドミントン選手。視力が良かったようで私と馨くんが手を繋いでいたことが普通にばれていた。
「あんたたちって結局どうなってんの?」
「どうなってもないよ!」
「もー見てるこっちがヤキモキするのよ!」
「なんの話?」
こそこそと話している私とミヤコの間に新太くんが入り込んできた。
「ちょっと急に何?」
「だってゆうと馨が歩きながらお互いの足踏もうとしてるんだもん。俺巻き込まれたくない」
新太くんの言葉を聞いて私は静かに後ろを向いた。
なるほど、確かにゆうと馨くんは一歩踏み出す毎にお互いの足を踏もうとしている。2人とも涼しい表情をしているけど、今にも足がもつれそうだ。
「な、何あれ、距離近すぎ、無表情すぎ、やってることバカすぎ」
ミヤコは吹き出しそうになっているのを必死に我慢していた。
ゆうと馨くんの戦いはファミレスでも地味に続いていて。
ついにミヤコに怒られてやっと落ち着いたのだった。
「あーあ千堂怒っちゃったね。あ、ハルカちゃん、このいちご食べな」
「2人ともご飯も食べずに小競り合いしてたもんね。こっちのチョコは新太くんどうぞ」
「やったー。ありがとう」
ミヤコに2人が怒られている間、私は新太くんとパフェを半分こにして食べていた。
「そこ!イチャイチャしない!!そういうのがこいつらの火種になるんだから!」
「で、でも俺男同士でパフェ食べたくないよ」
「あ?」
「ご、ごめんなさい・・・」
「み、みんなで食べよう・・・!ね?」
パフェに刺さっていたウエハースをミヤコの口に入れた。
「何これ美味しい」
ミヤコの反応に安堵して、今度はアイスも掬ってミヤコの口に運んだ。
雛に餌をやってるみたいで面白い。素直に口を開けるミヤコがなんだか可愛かった。
「ほらほら、お前らも食べな」
「なんで俺が新太にあーんってしてもらわないといけないんだよ」
「気色悪いね」
「ひど!!っていうかお前らさっきまで小競り合いしてたくせに急に協力体制組むなよな!」
「馨とは意見が合うだけ」
「同感」
なんだかんだ仲の良い3人を見て、私とミヤコは顔を見合わせて笑うのだった。




