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10年ぶりに再会した幼馴染について誰かに説明したい  作者: Cani
ハルカ、高校一年生
9/113

高校生だもん、ときめこう

 

「ハルカ、食堂」

「はーい」

 相変わらず、ゆうとは昼ごはんを一緒に食べている。

「俺も俺も!」

 そして高垣くんも。

「高垣、お前は来るな」

「なんだよ!いいだろ中西~」

 そして意外にもゆうと仲良くなっている様子。

 ゆうも口ではそういうけど、結局高垣くんも一緒に食べることを許している。


「最近どうしたの?」

 最近ゆうは私のデザートをとらなくなった。むしろ自分の分まで私にくれるようになった。

 高垣くんもデザートがある時は私にくれるため、多いと3つもデザートを食べる日もある。

「別に」

 相変わらずツンツンで何を考えているのかわからないけど。


 ***


 食事も食べ終わり、下膳していると

「なぁ」

 他のクラスの男子に声をかけられた。

「結衣ちゃんのこといじめるとか最低だな。なんでそんなことすんだよ」

「え?」

 戸惑っていると、男子は去って行った。

「ハルカ、どうした?今の奴誰?」

 先に食器を片付けていたゆうが戻ってきた。

「なんか、私も何が何だか・・・」

 結衣ちゃんをいじめるなとは??




 ***




 もやもやしつつ放課後になる。

 今日は初めての図書当番である。委員会で説明は受けていた。

「中川さん、行こう」

「うん」

 川上くんと一緒に図書室へ移動する。

 移動中前から、食堂であった男子がくるのが見えた。

 少し気まずくて、目を逸らす。

「次は違う男か」

 ボソッとつぶやいたのが聞こえた。何この人、どうしてこんなこと言うの?


「中川さん・・・」

 川上くんが心配そうに、立ち止まった私を見ている。

「大丈夫!なんだろうね~あの人。昼間から変なことばっかり言っててさ~」

 なるべく明るい声で返事をする。

 開いている窓から風が入り、川上くんの長めの前髪を揺らす。

 あれ、川上くんって、眼鏡でよくわからなかったけど、ぱっちりした目が―

「きれい・・・」

「えっ?」

「あ、いや、川上くんって目がきれいだな、と思って・・・って急に変なこと言ってごめん」

 川上くんは目を見開いた後、うつむいてしまった。

 ごめんね、急に変なこと言って、さっきの男子レベルで不審だよね。

「ちょっと・・・恥ずかしい」

「うぅ、ごめんね川上くん」

「いや・・・」

 気まずい、気まずすぎる。軽率な私の言動で川上くんに辱めを与えてしまった。


 無言で図書室に着いた。

 18時までカウンターで書籍の貸し出しをしたり、返却された書籍を棚に戻したりするのだ。

 2人でカウンターで並んでいるのはなんだか気まずくて、私は書籍を戻すため図書室内をうろうろしていた。



 ***



「ふぎぎ・・・」

 高い棚になぜこんな重たい辞書を置くことになっているんだ。

 脚立もあるにはあるのだが、ぎりぎり届きそうな位置だったためなんとかチャレンジしているが、なにしろ辞書が重たすぎてうまくいかない。


 指がつりそうに、いや、つった。

「いててて!うわっ!!!」

 すごく分厚い辞書が私めがけて落ちてくるのがスローモーションで見えた。

「間に合った」

 辞書は私にぶつかる前に、空中に浮いていた。川上くんがキャッチしてくれたのだ。

「大丈夫?危なそうだなって思って」

「ありがとう、指がつっちゃって。いてて」

「見せて」

 川上くんは私の指をすぐに握り、手背の方に向かって筋を伸ばしてくれた。私の指を握って。私の指を握って。

 握られたところから川上くんの体温を感じ、私の心臓どころか全身がドキドキと脈打ち始めた。

 これはときめきというやつなのでは・・・!!

 指がつったとかもはやそれはどうだってよいのだ。急に川上くんへのドキドキが止まらなくなっている。

 顔が熱い。


「大丈夫?ってごめん、急に触っちゃって・・・」

 何も言えず真っ赤になっている私をみて、川上くんはばっ!っと私の指を離し、(ほぼぶん投げられた)うつむいてしまった。


 2人の間を流れる無言。

「あのー!貸出お願いします!」

 カウンターの方から声がして、2人で走ってカウンターまで戻った。


やっとラブ要素が!!Cani

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