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10年ぶりに再会した幼馴染について誰かに説明したい  作者: Cani
ハルカ、高校二年生
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勉強合宿の始まり

 

「ハルカちゃん」

「ん・・・」

 いつの間にか眠ってしまったらしい。首が少し痛む。

 目を開けて横を見ると近距離に馨くんの顔があった。あ、まつ毛抜けてる。

 私は何も考えずに馨くんの顔に手を伸ばした。


「え、ハルカちゃん・・・?」

「まつ毛」

 馨くんの目元にひっついていたまつ毛をとる。抜けてるまつ毛さえ長い。

「取れたよ」

 馨くんを見ると耳まで顔が真っ赤になっていた。

「ハルカちゃん、ヤメテ・・・」

「え、ごめんごめん」

「いや、急に触られたからびっくりして・・・」

「いつまでひっついんてんだ」

「ぎゃっ」

 前の座席から急にゆうが腕を伸ばし、私を窓の方へ押してきた。

 って・・・!

「か、馨くんごめん!私寄りかかって寝ちゃったんだ!」

「気づくのおせぇよ。目覚めてんのにいつまでひっついんてんだと思った」

 ほら新太も起きろ、とゆうは新太くんの肩を叩いた。

「う〜ん、あと5分だけぇ」

「置いてくからな」

「ちょ、ごめんごめん」

 荷物を持って先にゆうと新太くんはバスから降りて行った。


「じゃ、じゃあ僕たちも降りよう」

「うん」

 慌てて立ち上がるとパサ、と何かが落ちた。パーカーだった。

「あ!ごめん」

 急いで拾ってパタパタと振る。寝ていた私に馨くんがかけてくれたのだろう。寝心地が良かったわけだ。

「馨くん色々ありがとう」

 荷物を下ろしてくれていた馨くんに声をかけるとニコッと笑ってくれた。

「僕はハルカちゃんの寝顔が見れて嬉しかったよ」

 今度は私の顔が赤くなる番だった。よだれ垂れてなかったかな・・・。


 ***


 保養所に着くとまず割り振られた部屋へ自分の荷物を運び入れる。お弁当も配られ、休憩兼自由時間だ。

 部屋は2人で1部屋で事前に申請しておけば組みたい人と一緒の部屋になれるのだ。

「疲れたねー!」

「私眠ってたからあっという間だった」

 私は田中さんと同じ部屋だ。田中さんから声をかけてくれてとっても嬉しかった。


 部屋はベッドと机と椅子と小さな冷蔵庫、とシンプルな造りだった。

 トイレと洗面台は共用で横に大きな鏡の前でみんなで横並びになって歯ブラシができる。

 ここだけ学校みたいで面白く感じた。

 私と田中さんは荷物を片付けお弁当を食べた。

 その後は自販機の位置やお風呂の位置を確認しに部屋を出た。

 施設の中を散策している内にあっという間に時間が過ぎ、集合場所の講堂に向かう。


 講堂では施設の説明・注意事項を聞き勉強合宿で使う教材が配られた。

 2泊3日でこの量やるのか・・・。

 基本は自習スタイルで部屋に先生がおり分からないことはすぐに聞けるようになっている。

 あとは選んだ教科の小テスト、その解説を聞いてまた復習。

 食事と入浴の時間は決まっていて、全員は入れないから食事と入浴で前半・後半と分かれている。

 19時からは自由時間だが、21時には消灯。

 勉強漬けだし、顔ぶれは学校と一緒、勉強するってことも学校と一緒だけど環境が違うだけでなんだかワクワクしてしまう。


 そのまま配られたプリントに書いてある多目的室に向かう。

 同じ部屋の生徒同士は大体スケジュールが一緒のようだった。田中さんの隣に座る。

 少し離れたところにゆうがいることがわかったが、まずは勉強。私は机に向かったのだった。


 ***


「疲れたね・・・」

「ね、疲れた・・・」

 休憩時間を挟みつつ、あっという間に夕方になった。

 あんなにやったのに今日のノルマのページまでまだ8ページもあった。田中さんはなんとか終わらしていた。

「講堂は21時まで空けて先生も待機しておくから、残ってやっていきたい奴は講堂に移動な」

「私ご飯までまだあるから講堂でやって行っちゃうね」

「わかった。ファイトだ中川さん」

「うん!」

 私は田中さんと別れ荷物を持って講堂へ向かった。


「ハルカ、講堂行くの?」

「あ、うん。終わらせちゃおうと思って」

 後ろからゆうに話しかけられた。

「俺もいく」

「ゆうも終わらなかったの?」

「終わってる」

「終わってるならご飯まで自由時間だよ?」

「ハルカといる」

「え、なんで?」

 聞き返されると思っていなかったのだろう。ゆうは少し驚いた後にむすっと不機嫌そうな顔をした。

 だって終わってるなら一緒にくる意味ないと思うんだけど。

 ゆうは一歩私に近づいた。

「別にいいだろ」

「勉強するだけだから一緒にいてもしょうがないと思うよ?」

 他の生徒たちが移動している中、私たちだけ立ち止まったまま話す。

 ゆうは少し考えるような表情をして、意を決したように口を開いた。

「俺がハルカと一緒にいたいの」

 いつもだったらじゃあ一緒に行こう、なんて言えたと思う。でも今は言えなかった。なんで急にそんなこと言うの?最近一緒にいることなんてほとんどなかったじゃん。


「ずっと梢ちゃんと居たくせに?」

 自然に出てしまった自分の言葉に驚いて私は立ち尽くしているゆうをそのままに講堂に急いだのだった。



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