人の恋路を邪魔するやつは馬に蹴られてなんとやら
ついに今日は選択授業が始まる日だ。
結局選択授業は歴史になった。
美術は意外にも選ぶ人が多かったらしくくじ引きとなってまんまと外れた。
まさかゆうが美術を選ぶとは思わなかったけど。そして当選していた。
指定された教室に向かうと、すでに何人かきていた。席は自由なようで私は空いていた廊下側の一番後ろをゲットした。
「あなた何組?私、E組の千堂ミヤコ。よろしく」
隣の席にきた女の子に話しかけられた。
「A組の中川ハルカです」
「ハルカね、私はミヤコって呼んで!」ミヤコは茶髪をポニーテールにまとめ、いかにもって感じだった。
いかにもスポーツ科ですって感じの。
「私はバドミントンでスポーツ科来たんだ」
「すごいね」
バドミントンはシャトルを見失っていつも空振りしてしまう。
***
「では、4人グループを作って自分たちで選んだ地域の歴史を調べるように。最終的にはこの授業で発表してもらう」
グループワークか、ミヤコに声をかけてみようか。
「ミヤコ、一緒にやらない??」
「私もハルカに声かけようと思ってた。一緒にやろう〜!!」
「中川さんのところあと2人?」
「あ、高垣くん。そうだよ」
「お、千堂じゃん。久しぶり!」
「高垣も歴史とってたんだ。高垣とは中学校一緒だったの」
「そうなんだ」
「俺らも2人なんだけど、一緒にグループワークやらね??」
「もちろん!私はいいよ!ミヤコは?」
「いいよ、こき使おう。で、もう1人は?」
「川上だよ!おーい川上!グループ決まった!」
すんなりグループが決まりそうで、安心した。
「グループが決まったところから今日は解散でいいぞ」
先生の言葉を聞いて、荷物をまとめて教室を出ようとした。
「ねぇ、新太と一緒のグループがいい〜」
「でた、里中結衣」
ボソッとミヤコがつぶやく。
「あいつも同じ中学だったの。変わらないねぇ」
「結衣ごめん!もうグループ決まっちゃったから、他の人と組んで!」
「ええ〜!誰と組んだの??」
「千堂と中川さんと川上!!」
高垣くんの言葉を聞いてぐんくんと私に近づく結衣ちゃん。かわいいけど、ちょっと圧がね!圧が!!
「中川さん変わってよ〜」
「はぁ?もう決まったから。行こ、ハルカ」
ミヤコが私の手を引いて行こうとする。
「千堂さんは関係ないじゃん」
「わっ!!」
ミミミミヤコサン!?手に力入りすぎなんですけど!!
ミヤコが私の手をぎゅ〜っと握る。いたたた。
「ちょっと高垣!どうにかしてよ!!」
私はおどおどするしか出来なくて。変わったほうがいいのか?でもこれから新しくグループ作るって私にはできないんじゃ。
「結衣ちゃーん!俺らと組もうよー!!」
まだ教室にいる男子グループが結衣ちゃんに声をかける。
「ほら、グループは組めそうだし、結衣は行けよ」
「ごめんね」
一応謝ってみる。
「ひど〜い。中川さんっていじわるだね」
結衣ちゃんは私を睨んだ後泣きながら声をかけてくれたグループへ移動した。
「ごめん、ムカつきすぎて力入ってた」
ミヤコからも解放。手の形変わったんじゃないか私??
「ハルカは1ミリも悪くないし、謝らなくていいんだよ、あんなの」
「中川さん、なんかとばっちりでごめんな」
高垣くんもバツが悪そうに謝ってくる。
「あの、そろそろ戻ろう」
川上くんのひと声でもう次の授業まで時間がないこと分かり、急いで戻った。
背中には鋭い視線を感じながら。