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10年ぶりに再会した幼馴染について誰かに説明したい  作者: Cani
ハルカ、高校二年生
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早い者勝ちです

「ハルカ、次移動だって」

「うん」

 なんだかこの数日、ゆうと気まずい。っていうか多分私だけ。

 ゆうはなんとも思ってないと思う。会話もなんだか減っている気がする。

 結局あれからも私が梢ちゃんと一緒に帰ることはなかった。

 そしてゆうと一緒に帰ることもなくなった。

 なんで一緒に帰らないの、とは聞けなかった。

 正直、梢ちゃんばっかりにかまっているゆうを見ていると、なんだかもやもやしている自分がいて、その感情に戸惑っている。いつからそんな心の狭い女になったんだ。ゆうは私のものなんかじゃないんだから。

 でももう前みたいに一緒に過ごせないのかなぁ。


「これってさぁ、女子あるあるの仲良しだった子が違う子と仲良くしてるのが面白くないっていう現象だよね」

 幼い頃、引っ越しのせいで友達作りに苦労したあの日の思い出が溢れてきた。

 仲良くなった!と思ったら他に親友がいて・・・切なかったなぁ。なんだか目頭が熱い気がする。

 ミヤコはコーラを飲み干し口を開いた。

「それ、まじで言ってる?」

「え?」

「いやぁ、オッケーオッケー。あのさ、つまりハルカは中西ともっと一緒にいたいってことだよね?一緒に帰りたい、一緒にご飯食べたい、一緒にチューしたいって」

「ちょちょちょ、最後の何」

「ごめん勢い余っちゃった」

「勝手すぎない?私」

「いーのいーの!女の子は勝手でいいの!私なんて横田の顔見るとお尻ぶってるよ」

「中々ハードなことしてるんだね」

「あんなにハルカにべったりだったのに、急に引かれたら戸惑うの当たり前じゃん?中西も何考えてるか分かんないし素直にハルカの気持ちを言ったり、聞きたいこと聞いていいんじゃないの?」

 ミヤコはそう言うとコップに入っていた氷をガリガリとかじった。

「ゴールデウィークの勉強合宿参加するんでしょ?」

「うん」

「2泊3日、邪魔する後輩はいないわけだし、存分に中西と話して来なよ。私は行かないけど応援はしてる」

 カラン、と私のコップに入っている氷が溶けて鳴った。


 ***


「雨かぁ」

「雨だね」

 ゴールデンウィーク初日、私たちは学校に集まった。

 私たち、と言うのは勉強合宿の希望者だ。

 成績上位のA組は参加費が半額ということで参加する生徒も多い。

 B組も割と多かった。新太くんは最初参加しないなんて言っていたけど、ゆうと馨くんも参加すると知ったらすぐに参加を決めていた。

 その他の組、特にスポーツ科なんかはやっぱり参加者は少ない。ミヤコはバドミントンの練習試合があるから参加しない。


「大きく分けてA組B組のものは1番のバス、その他の組は2番のバスだ」

 バスは自由席だった。

「ハルカちゃん、海の近くを通るらしいから窓際に座りな」

「ありがとう」

 馨くんは私の荷物を持って窓際の席に座るように促した。

「僕、ハルカちゃんの隣に座ってもいい?」

「もちろん」

 私がそういうと馨くんはにっこりと微笑んで座った。

「あー!馨に先越された!」

 新太くんがバスに乗り込んだ瞬間大きな声でそう言った。結局新太くんは外にいたゆうを引っ張り込んで私と馨くんの前の席に座った。

「ハルカちゃん飴いる?いちごでしょ、ももでしょ、色んな味があるよ」

「あ、ありがとう」

 新太くんは振り返って私に飴を渡す。

「飴配りおじさんか」

「まだ高校生!」

 ゆうが新太くんをからかう。座席の隙間からバチっと目があった瞬間、私は目を逸らしてしまった。ゆうから。

 丁度バスも動き出し、急いで外を見るフリをする。


 勉強合宿は学校が所有している保養所を使うようだ。近くに海があるらしく晴れてくれたら散歩に行きたい。

 そしてなんと温泉がある。まぁメインは勉強なんだけどね。


 ***


 急にころんと音がして足に何かが当たった気がした。

 僕は足の方を見ると飴が落ちていた。新太がハルカちゃんにあげた飴だ。

 僕は飴を拾ってハルカちゃんに渡そうと顔をあげる。

 ハルカちゃんは目は開いているけどトロンとしていて今にも眠りそうだ。

 飴を握っていたのだろう。手は力なく開いていて座席に何個か飴が散らばっていた。


 僕は飴を拾って、かけてあったハルカちゃんのカバンに仕舞った。

 今にも眠りそうなハルカちゃんに僕のパーカーをかける。

 ウツラウツラとしているハルカちゃんの姿勢がちょっと辛そうだ。

 勝手に体に触るのものな、と僕はただハルカちゃんの隣に座っていたけど、しばらくすると肩にずしりと重さを感じる。

 驚いて隣を見るとハルカちゃんが僕の肩に寄りかかるようにして眠っている。

 いくらかハルカちゃんの姿勢が楽そうに見えて安心した。


 大好きな子が僕に寄りかかって休んでいる。こんなに安心し切った表情で。そしてなんだかいい匂いがする。

 そう自覚すると急に恥ずかしくなってしまって、僕はハルカちゃんのことが見れなくなった。

 視線を前に戻すと、座席の隙間から新太とゆうが覗いており驚いて心臓がバクバクした。


「馨、席変わって」

 ゆうが口を尖らせて言う。

「静かにしてよ、ハルカちゃんが起きちゃう」

「俺帰りは絶対ハルカちゃんの隣がいい」

「だめ、俺が座る」

「うるさいってば」

 2人は保養所に着くまで振り返っては席を代わるように要求して来たけど、僕が代わるわけないじゃない。




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