一件落着??
「忘れ物ないわね?じゃあ車に乗っててね」
ゆうのママは最後に先生に挨拶してくると言って行ってしまった。
鍵を受け取ったゆうと一緒に車に向かう。
私は泣きすぎて目がパンパンだった。
「ハルカ、乗って」
ゆうが車のドアを開けてくれる。私が奥に詰め、私の横に荷物を乗せる。
さっきまで抱きしめあっていたわけで、ちょっとは気恥ずかしさがある。
ゆうは助手席に乗るようで少し安心した。
車のドアを閉め、ゆうが助手席の方に回って来た時だった。
警察署からあの後輩らしき女の子がやってきて、ゆうに何かを話している。
私は車の中にいるため何を話しているかはよく聞こえなかったけど、身振り手振りでお礼を言っているのはわかった。
急にゆうが私の方を指差す。
女の子は私の方(窓の加工で私のことは見えていないと思うけど)に向かって2、3度お辞儀をして、後からゆうのママとやってきた学年主任と一緒に帰っていった。
「ありがとうだって。1年生だって言ってた」
助手席に座ったゆうがそう言う。
運転席にゆうのママも乗り込んだ。
「とにかく!2人とも無事で本当によかった。ハルカちゃん、今度から夜出る時は必ずゆうに言うのよ。ゆうも今後も絶対にハルカちゃんを守ってね」
「はい・・・」
大変なご迷惑と心配をおかけして申し訳ありません・・・。
「言われなくてもそうする」
ぼんやりと外を眺め、しばらく車に揺られる。
家に泊まって行くかとゆうのママの提案はありがたかったが、明日も学校だったため断った。
寮に着くと部屋前までゆうがついて来てくれた。
「1人で平気?」
「え、うん」
ゆうは私の頭を撫でた。石井先輩のように優しい手つきだった。
「もし怖くなったり、話し相手が必要だったらいつでも連絡しろよ。電話でもいいから」
「ありがとう」
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」
なんだか妙にゆうが優しくて、ドアを閉めて急に静かになってしまったから寂しくなってしまった。
私は何かをやっていないと気が紛れなくて、宿題をやってシャワーを浴びた。
アイスはすっかりドロドロになっていて食べられる状態じゃなかった。
私はため息をひとつついて冷凍庫にアイスをしまうのだった。
***
次の日学校に行くと、昨日のことはみんなに筒抜けだった。どうなってんだこの学校のプライバシー。
「中川さん、昨日大変だったんでしょ?怪我なくてよかったー!」
「1年生も襲われたんでしょ?」
「中川さん空手黒帯で追い返したって聞いたぜ」
なんだか若干間違った情報が流れているようだけど。
昼休みになってすぐに噂を聞きつけたのだろう。ミヤコと新太くんが教室に飛び込んできた。
「ハルカちゃん!無事!?」
「ハルカー!空手黒帯って本当??」
空手なんてやってないよ、と今日何回目のやりとりだろう。私は笑いながらゆうが来てくれたから怪我もなく大丈夫だったことを伝えた。
「俺はいざと言う時頼りになる男なの」
ゆうは少し自慢気だった。
「自分が役に立てなかったのが悔しいけど、ハルカちゃんが無事で本当によかった。こればっかりはゆうに感謝だね」
「なんで馨に感謝されるんだっつーの」
「え、僕のハルカちゃんを守ってくれたから」
「馨のハルカちゃんじゃないでしょ」
「おーおー男どもはハルカを取り合って醜く言い争ってるよ」
「ちょ、ミヤコ!そんなんじゃないってば・・・!」
このまま食堂に移動しようか、なんて言っていた時だった。
「おい中西ー!なんか後輩だって」
クラスメイトの男子がゆうを呼ぶ。教室の入り口に女子が立っていた。
ゆうは席を立って向かっていった。
「あ」
「ハルカ?」
「昨日おじさんに追いかけられていた子だよ。それに私は居合わせたって感じで」
「なんで中西を呼ぶの?」
「さあ」
2人で何か話している。教室は昼休み特有の騒がしさがあったが、どこかみんな落ち着かない。2人のことが気になっているみたい。それは私も例外ではなかったけど。
珍しくゆうも優しい表情で笑っていた。何を話してるんだろう。
「なんか楽しそうじゃん」
「ゆうなんて置いていって先食堂行こうぜ〜。席取っとこう」
新太くんにそう言われみんなで先に食堂へ向かった。
結局、ご飯を食べ終わる頃になってもゆうは食堂にやってこなかった。
やったー!ブックマークが増えていて嬉しいです!最近毎日更新できずにごめんなさい。これからも見守ってください〜!Cani.




