申し訳なくて何にも言えない
「おい、何やってんだよ変態!!」
叫んでやろうと大きく息を吸い込んだその時だった。
後ろから大きな声がして驚いて振り向いた。
「ゆ、ゆう!」
ゆうが寮の玄関から飛び出して私たちの方へ走ってきたが、私たちを通り越す。
「えっ!ゆう!?」
「ハルカは早く警察に電話!」
ゆうは振り向かずにそう言った。
「は、はいっ!」
私は言われた通りに警察に電話をかける。ゆうの方を見るとなんとゆうはおじさんに掴みかかっていた。
ちょ!何やってんのー!!
「ごめん!これ代わって!」
「わっ!はい!」
私は自分のケータイを後輩と思わしき女の子に託す。ゆうはおじさんをマジでボコボコにしていた。
「ゆう!もう警察来るから!危ないから離れて!」
後ろから声をかけてもゆうはやめない。ちょ、おじさん鼻血出てるよ!
警察はすぐに来てくれた。
最初おじさんをボコボコにしているゆうが警察に怒られながら止められていて捕まってしまうんじゃないかと慌てたけど大丈夫だった。
おじさんはちょっとぐったりしてたし、ダウンの中の羽が飛び出ていたけど無事警察が取り押さえてくれた。
「こんの!ばか!!」
おじさんを警察に託したゆうは私に詰め寄った。め、めっちゃ怒ってるーー!
***
「何が月見アイスだよ!なんで夜出歩いてんだよ!俺が毎日送ってる意味ないだろうが!!」
「ごもっともです・・・」
だって宿題が、と言い訳をしようとしたがそれなら俺に連絡入れないと危ないだろうとまた怒られてしまった。
警察から学校にも連絡が来たようで、学年主任が来てくれ、近くの警察署までついて来てくれた。
しばらく事情聴取を受けたが、私は本当に巻き込まれ型だったため割と早く終わった。
ゆうも事情聴取が終わり、保護者、つまりゆうのママが到着するまで警察署のロビーで待っていた。
2人で長椅子に座る。ちょっと気まずい。
私はまっすぐと床を見つめていたが急に体がすごい力で締め付けられた。
私は横からゆうに抱きしめられていた。
「ゆ、ゆう」
「本当に焦った」
無事でよかったと言ったゆうの声が少し揺らいでいるのに気がついてしまった。
「ごめん・・・」
「うん」
「ありがとう」
「うん」
「私のメール見て、急いで迎えに来ようとしてくれてたんだね」
「バカだなぁって思ってな」
私はゆうの顔を見たくて体をよじった。
「ちょっと今、見ないで」
私の力をさらに上回る力でゆうに体をホールドされた。
暖かい春の日だ。若干汗ばんできた。そろそろ離れて欲しいけど、心配させてしまったのは私だから中々言えない。
ふとゆうの手が目に入る。
手の甲が赤くなっており、ボッコボコになってたおじさんを思い出した。
「手、痛い?」
「ぜんっぜん」
「あのおじさんがナイフとか何か危ないもの持ってたら・・・」
そこまで口に出したがそこから先が言えなくなってしまった。
もっと怪我していたかもしれない。大怪我じゃ済まなかったかも。
ひょっとしていたら、私の代わりに・・・。
急に恐ろしくなって、私もゆうにしがみついた。
「ハルカ・・・?」
「ゆうが怪我しなくて、よかった・・・っ!」
涙が出てはゆうのTシャツに吸い込まれていった。
泣いている私に気づいたゆうは何も言わずにずっと抱きしめてくれたのだった。
「警察官さん、私この2人の邪魔をしたくないんですけど・・・」
「お母さん、そんなこと言わずに早く連れて帰ってあげてくださいよ」
実は随分と前にゆうのママは到着していて、この一部始終を最初っから見られていたことを知るのはもう少し後でした。
ゆうは「見てんなババア」と暴言を吐き、警察官に怒られてちょっと拗ねていた。
な、なんとPV10000越えました〜!!!嬉しすぎる〜!!
数ある作品の中からこの作品を読んでいただいて、本当にありがとうございます!今後も頑張ります!
Cani.




