次は俺のターンなの
「ゆう」
私はゆうを追いかけていた。
「ゆーう」
ゆうは返事をせずに歩いていく。
時々立ち止まっては振り返って私がついてきていることを確認しているけど、返事はしてくれない。
「もう放っておこうよ。どうせファミレスには行くんだから」
馨くんは呆れたように言った。
「ゆうの機嫌直さないと、面倒くさいよ」
「面倒くさいんだ」
私は走ってゆうに体当たりした。
けど、ゆうはよろけずに私をそのまま受け止めた。
「やけに積極的じゃん」
「やっと話した!」
ゆうはそのまま私を抱きしめる。
「あ、セクハラじゃん」
「ちょっと、離してよ」
「嫌だね。ハルカから抱きついてきたのに」
「抱きついてないよ、ゆうが返事しないから頭に来て体当たりしただけじゃん」
「だってハルカが俺のこと選んでくれないんだもん」
「それで機嫌悪いの?」
「あはは、ゆうじゃなくて僕がハルカちゃんに選ばれたから機嫌悪いんだ。僕が選ばれたから」
「何回も言うな」
「だって慣れてる人の方がいいじゃん」
私はなんとかゆうの腕の中から逃れ、歩き出した。
***
「ちょっと高垣飲み過ぎだよー。やめなって」
「ソフトドリンクだから好きなだけ飲め飲め」
「僕全種類混ぜたの持ってきてあげる」
新太くんはコップに入ったオレンジジュースを一気に飲んで、ドンと机に置いた。
「俺は、俺は!みんなとクラス離れたくなかった!」
「まーだ言ってんの」
「修学旅行一緒に行きたかった!」
新太くんの目は少し血走っていた。
そうか、高校2年生で修学旅行に行くのか。
「あのさ、修学旅行って3ヶ所から選ぶから別にクラス違くても一緒にできるんじゃない?」
馨くんがそう言うと、ぴたりと新太くんの動きが止まった。
「え」
「え?」
「高垣知らなかったの?」
「これで騒がなくて良くなったな。新太」
「い、いや!修学旅行だけじゃなくて、他にもいろんなイベントがあるじゃん!」
「新太くん、大丈夫だよ!クラスが違くてもずっと友達だよ!」
私は慰めるつもりでそう言った。慰めるつもりと言っても本当にそう思ってるからね。
「あはは、良かったじゃん高垣。ずっとハルカと友達だって!」
「ハルカちゃん・・・!嬉しいんだけど嬉しくないって言うか、友達じゃなくて俺はハルカちゃんと付き合い、いってー!!」
新太くんの頭をいきなりゆうが叩いた。
「何、すんだよ!ゆう!」
「いや、新太の見切り発車を友人として止めてあげないとと思って」
「ゆうがやってなかったら僕が止めてたよ。だって僕たちずっと友達じゃん」
「高垣、友達いっぱいで良かったね〜」
「もう!」
「みんな、ポテトきたよ〜」
みんなでポテトをつまみながら、選択授業はどうするとか、なんの委員会になっただとか話す。
馨くんと私が今年も一緒に図書委員会をする話をすると、またゆうは不機嫌になってしまった。
そんな不機嫌なゆうを見て、なぜかミヤコは笑うのだった。
「じゃあまた明日ね!」
「バイバイ」
新太くんと馨くんと別れ、私たちは3人で寮へ帰った。
「じゃあ私はここで。ハルカ、またね!」
「じゃあね!」
ミヤコの寮と私とゆうの住んでいる寮はさほど遠くはない。
「ハルカ」
ゆうと2人きり。急に呼ばれゆうを見ると真顔で私を見ていた。
「何?」
「なんか足痛い」
今まで普通に歩いていたように見えたけど・・・。
「え?大丈夫?」
「1人だと歩けないから、手繋ぐ」
そう言うとゆうは私の手を握ってスタスタと歩き出す。
「ねぇ、本当に足痛いの?」
「ハルカと手を繋いだら良くなってきた」
ゆうは手を繋いだままそう言った。
「じゃあもう手を離していいんじゃない?」
「離したら痛くなりそう」
なんだそりゃ。
手を繋いだままのゆうはどこか上機嫌に見えた。
やけにゆうが変、というか甘えん坊な感じになったのはどうしてだろう。
私はしばらく考えると一つのことを思いついた。
「ねぇゆう、ホームシックなんでしょ!?昨日まで実家にいたもんね。だから今日こんなに甘えん坊なんだ」
「はぁ!?」
ゆうが急に立ち止まるから、私は勢いで前に進んでしまい繋いでいた手が離れた。
「なんでそうなるんだよ」
「だって、すごい甘えてくるから」
「甘えられるの嫌?」
「別に、でもなんか変な感じ」
「俺はね、ハルカにしか甘えないの」
「なんでよ」
「なんでって、本当に鈍いよねハルカチャン」
ゆうは私の頭を撫でた。結構力が強いから髪の毛がぐちゃぐちゃになった。
「やっとあの先輩がいなくなったから、俺も好きにやらしてもらおうと思って」
なんで急に石井先輩?と思って私が何も言えないでいると
「俺が繋ぎたかったから手を繋いだだけでホームシックじゃないの」
とゆうは続けて言って自分の部屋に戻っていったのだった。
4日ぶりに更新できました!
更新のない間もこの作品に出会って読んでくださった皆様ありがとうございます!Cani.




