1年生で得たもの
「あれ、みんな?」
玄関に戻ると、ミヤコ達がいた。
「ハルカが心配で・・・!」
「ありがとう」
「で、どうだったの?」
結衣ちゃんまでいた。
「あ!なんであんたまで残ってんのって思ったけどハルカに絡むためだったのねー!」
ミヤコは今にも殴りかかりそうな顔で結衣ちゃんをみていて慌てて止めた。
「ミヤコ、いいの。結衣ちゃんのおかげで言えたから。ダメだったけど!」
「里中のおかげって、ってえーー!言ったの!?」
「ハルカちゃん振られちゃったの??」
「ねぇなんで新太ってそんなデリカシーないの?」
「川上、こいつにデリカシー求めちゃダメ」
驚いたようでみんな一気に話し始める。
結衣ちゃんだけは何も言わなかった。
「でも、もう悲しくないんだ。ちゃんと伝えられたから、後悔はないよ。結衣ちゃんが背中押してくれたんだ。ありがとうね」
私は結衣ちゃんに向かってそう言った。
「結衣は別に背中押してやったんじゃないし!あ、あんたが頑張ったからでしょ」
結衣ちゃんはそう言うとくるっと振り向いて帰っていった。
「なんか里中さんキャラ変??」
「まぁ今までのことを水には流せないけど、謝ってくれたよ」
「えー!!あの結衣が!?人に謝ったの!?」
私の言動に一番新太くんが驚いていた。
「あ、ちょっとどこ行ってたのよー!」
ゆうがゆっくりと歩いてくる。
「ゆうのやつ急にどっか行っちゃってさー!ハルカちゃんのこと邪魔してないか心配だったんだよ」
「そうなんだ。でもゆうとは会わなかったな」
私たちの方に向かっているゆうの足は止まらず、新太くんや馨くんを通り過ぎミヤコの隣にいる私の方へ向かっているようだった。
「え、なに!?」
ぐんぐん近づいてきたと思ったら、急に視界が暗くなる。
「あー!ゆう!離れろー!!」
思考が追いついてなかったけど、新太くんの大きな声で自分がゆうに抱きしめられているのが分かった。
「ちょ、ちょ!!なにこの展開!?」
ミヤコの声はちょっとだけ楽しそうだった。
ガバッと体を離された。ゆうの顔を見上げると、思ったより近くにあって驚いた。
「ハルカ失恋したんだよな?俺、もう遠慮しないから」
ゆうはニヤッと笑うと私の鞄を持って歩き出す。
慌てて私も追いかけた。
「ストレートに失恋とか言わないでよ!ゆうのばか!」
「ハルカちゃんそこなの・・・!?」
「ねぇ〜!これってどうなるの!?川上!あんたどうするの!?」
「幼馴染って本当にずるい。あんな宣言されたけど僕も遠慮しない」
「お、俺だってーー!」
「きゃー!ねぇ!ハルカと2人にさせてよ!話したいんですけどーー!!」
遠くからミヤコの声が聞こえたけど、ゆうは止まらなかった。
「ハルカ、入学式で俺が男って知ってびっくりしてたよね。今でも女がよかったなって思う?」
ゆうの質問への答えは迷わなかった。
「いや、流石にもう思わないよ。ゆうのおかげで1年生楽しかった。ありがとう」
大好きな日本を離れなくて済んだのもゆうの両親のおかげだし、なんなら小早川学園に進学すると決めたゆうのおかげだ。
10年も会ってなかったから記憶の中のゆうちゃんと、目の前にいるゆうは違う人みたいに感じるのは普通だよね。
まさか男の子だったとはと思ったけど、それももう思わない。目の前にいるゆうがゆうだから。
「ならいい。ほら、行くぞ」
ゆうは振り向いたと思ったら私の手を握った。
「なんで手を握るの?」
「ハルカに俺を意識させたいから」
「は、はぁ!?」
結衣ちゃんじゃなくて、ゆうの方がキャラ変したんじゃなかろうか。
「クラス替え、楽しみだな」
「楽しみっていうかドキドキだよ・・・。ミヤコとは絶対同じクラスになれないし」
「俺とハルカは絶対同じクラスだよ」
「え?」
「だってテスト勉強頑張ってたじゃん。俺のおかげだね〜」
「ちょっと待ってよー!!」
後ろからミヤコが追いかけてくる。
今日もみんなでどこかに寄って帰ろうか。話さなきゃいけないことがたくさんある。
結衣ちゃんの良いところが知れた話もしなきゃね。
あと数日で私たちも終業式だ。1年生があっという間に終わってしまう。
大好きな友達に出会って、大好きな先輩ができて、大変なことも多かったけど今自分を満たしているのは楽しかった感情ばかりだということに私は気がついて、また胸がいっぱいになってしまうのだった。
たくさんの作品の中から出会っていただきありがとうございます。
これにて第一部終幕です。
2年生になるハルカ達の成長や恋の行く末を今後も見守っていてください。
ブックマークや評価・感想などとっても励みになっています。ありがとうございます!
嬉しくて今日は桃を食べます。Cani.




