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10年ぶりに再会した幼馴染について誰かに説明したい  作者: Cani
ハルカ、高校一年生
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もうバレンタイン中止ってどうですか

 

 だ、だめだ・・・。

 もう何度目だろうか。

 何度やってもチョコレートが分離してしまう。

 そして残りのチョコレートはもうわずか、外は大雨。


 チョコレートブラウニーを作る予定だったけど新太くん、ゆう、馨くん、都にあげるのにこの量のチョコレートでは足りなそうだ。

 卵、小麦粉、バターはたくさんあるのになぁ。

 卵、小麦粉、バター、卵、小麦粉、バター、卵、小麦粉、バター・・・。

「あっ!」

 クッキーはどうだろう。残っているチョコレートを刻んで、チョコチップクッキーにする!

 ココアパウダーもあるからココア味との2種類にする、いけそうだ!


「私、天才かもしれない・・・」

 無事クッキーを焼き上げることができた。

 丸く焼き上げたクッキー、1つだけなんとかハートに成型した。

「もし運よく、運良く会えたら!」

 ひとりで急いで言い訳する。


 ラッピングをしながら最後に残したハートのクッキーを手に取る。

「会えなかったら自分で食べよ」

 石井先輩にあげる袋にハートのクッキーを入れた。



 ***



「おはよう」

「お、おはよう!ハルカちゃん」

「新太くん、これ」

「あ、ありがとう〜!!大切に!大切にいただきます!」

「やっほー」

「ミヤコ」

 ミヤコが教室に入ってきた。

「ほら、これあげる」

「え!千堂もくれるの?やったー!」

「ホワイトデー2倍返しでよろしく」

「うっ」


「新太の喜びの声が廊下まで聞こえてたよ」

 そう言いながら馨くんとゆうが教室に入ってきた。


「2人にも」

 ミヤコはポッキーを2人に渡す。

「ありがとう」

「あ、私のも!」

 遅れて私も2人にクッキーを渡す。

「美味しいといいんだけど・・・。ミヤコのもあるよ」

「えー!私にも!?ありがとうハルカ。ホワイトデー楽しみにしてて」

 ミヤコは教室に戻っていった。


「クッキー美味しそう」

「チョコじゃないのか」

「何回やっても分離しちゃって、でもクッキーは上手にできた!と思う」

「クッキー焼けるのにチョコレート溶かすのはできないってなんか不思議だな」

 ニヤニヤとしながらゆうが言う。

「いいじゃん、チョコチップクッキーなんだから、一応チョコでしょ!」

「俺は、ハルカちゃんの手作りクッキーが食べられるだけ幸せだ・・・!」

「新太くん大袈裟・・・」

 先生が来たのでそれぞれの席に戻った。

 とりあえず喜んでもらえてよかったな。


 昼休みになっても先輩の姿はなかった。

 自然とキョロキョロ先輩を探してしまう。ドキドキしているのは会ったらあのハート型のクッキーを渡さないといけないからか、ただ会いたいからなのか。

 石井先輩の口に合わなかったらどうしよう、もしクッキーが生焼けだったらどうしよう。


 昼食の後で新太くんはクッキーを一口食べてくれた。

「さっくさくで美味しい!」

「チョコの味、ちゃんとする?」

「するする!美味しいよ」

 たくさん新太くんに褒められて嬉しかったのと同時に、クッキーに問題がなさそうでホッとした。


 5限目は体育だった。

 体育が終わって教室に戻る。

 先輩とは会えないかもしれないな。そう思いながら着替えをする。

 カバンを開けると持ってきていたクッキーが無くなっていた。先輩に渡すために準備した、ハートのクッキーが。


 入れ忘れた?

 いや、朝みんなに渡した時は確かにここに入っていたのに。

 私は急いで着替えてカバンの中をひっくり返し探したが、やっぱりなかった。


「中川さん?何探してるの〜?」

「なんでもない」

 結衣ちゃんが声をかけてきた。

 私は諦めて探すをやめた。


「あぁ〜そういえば〜さっきゴミ箱にピンクの袋に入ったクッキーが捨ててあったなぁ〜」

「え・・・」

 私は急いで教室の後ろにあるゴミ箱の中を見た。

 私のクッキーだ。


「あ、それ中川さんのなんだぁ。ごみと間違われたんじゃない?よかったね見つかって。でも流石にゴミ箱に入ったやつなんて渡せないでしょう」

 結衣ちゃんはニヤッと笑って私に言う。

 きっと結衣ちゃんがやったんだと思う。さっきの体育はお腹が痛いって保健室に行っていたし、授業の間にできるのは結衣ちゃんしかいない、と思うけど、証拠があるわけじゃない。

 私は何も言わずにクッキーをカバンにしまった。

 一生懸命作ったクッキーがボロボロに砕けているのを見て、悲しくて。何も言えなかったのだ。


 しょうがない、先輩とは会えなかったら渡せないものだったんだから。

 ここで泣いたりでもしたら、結衣ちゃんの思う壺だ。

 ホームルームも終わり、私は荷物を纏めて早々と帰ろうとした。



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