最後に話したのは何のことだっけ?
朝から下駄箱のところでミヤコが待っていてくれた。
「ハルカ、体調大丈夫?」
「うん、色々ありがとうね」
ゆうがうどんを作ってくれた話をしたら驚いていた。
クラスメイトみんなから声をかけてもらって(って言っても結衣ちゃんは除く)ちょっと恥ずかしかったけど嬉しかった。
「ハルカちゃん」
「馨くん、ジュースとかありがとう」
「本当は直接お見舞いしたかったんだけどね」
「ハルカに負担がかかるだろ」
「自分は来たくせに」
「俺はいいの」
「へぇ、ゆうはハルカちゃんの部屋に行ったんだね。弱ってる女の子の部屋に行ったんだ・・・」
何もされなかった?と馨くんに聞かれ、うどんを作って冷えピタを貼ってくれたことを伝えた。
「僕が看病したかった・・・」
「馨くんのジュース、本当に助かったよ!」
「馨みたいな下心のある男にハルカは絶対看病させない」
「何言ってんの。下心関係なく自分以外の人間は許さないくせに。新太が聞いたらひっくり返るだろうね」
「そういえば新太くんはまだ来れないの?」
「うん、身体は元気みたいだよ。インフルエンザだから最低でもあと3日は来れないよ」
「そうなんだ」
「暇を持て余しているみたいで僕にたくさんメール送ってくるよ」
「俺にも」
「返信してる?」
「してない」
「僕も」
誰も返事をくれなくて落ち込んでいる新太くんが簡単に目に浮かんで笑ってしまった。
***
「病み上がりなんだから、帰ってよかったのに」
放課後、図書室へ馨くんと向かう。今日は当番なのだ。
1人でも大丈夫だから帰るように馨くんから言われたけど、私だって図書委員だ。
「もう体調いいから大丈夫だよ。馨くんだけだと大変でしょ」
「今日はカウンターから出ないでね。棚への返却とか雑用とかは僕がやるから」
「ありがとう」
図書室はいつもよりずっと人が少なかった。
「なんか最近ずっと人が多かったからこんなに少ないのは不思議な感じだなぁ」
「3年生が勉強してたからね。もう来ないから当分はこうやって図書館に来る人が少ないと思うよ」
「そうなんだ」
「進路が決定した人から自由登校になるからね」
「えっ来ないってそういうこと?学校に来ないってこと?」
「え?知らなかったの?」
知りませんでした。
卒業式まで3年生が来ないと聞いて真っ先に思い浮かんだのは石井先輩だった。
もう石井先輩と会うのは卒業式だけってこと?
最後に先輩に会ったのはいつだったっけ?
「ハルカちゃん」
「あ、な、なに?」
馨くんがじっと私のことを見る。
「あの先輩のこと考えてたんでしょ」
「あ、えーっと・・・」
「すぐ顔にでるんだから」
はぁ、と珍しくため息をつく馨くん。
馨くんの綺麗な瞳は、簡単に私の考えていることなんて透けて見えてしまうんだろう。
「流石に妬いちゃうな」
「馨くん?」
「僕と一緒にいる時は違う男のことなんて考えないで・・・って、僕は何言ってるんだ」
忘れてと言って馨くんはさっさと返却された本を棚に戻しに行くのだった。
じっと私を見つめた馨くんの瞳は少し揺れていた。
忘れてって、どうしたら忘れられるっていうの!?
微妙に気まずい時間が流れつつ、なんとか図書当番が終わった。
「ハルカ」
「あ、ゆうだ」
馨くんと玄関まで行くと、そこにはゆうがいた。
「やっと終わったか」
「なんでいるの?」
靴を履きながらゆうに聞く。
「どっかの誰かさんが倒れてないかの確認で」
「僕がいるのに」
「俺がいいの」
「本当、ゆうって過保護だね」
「もう大丈夫だってば」
「ハルカの大丈夫を俺は信用してない」
「ゆうってば、ひどいこと言うなぁ」
「せっかくハルカちゃんと2人で帰れる日だったのに」
「悪かった」
「全然思ってないよね!?顔笑ってるし」
「ほらハルカ行くぞ」
「僕も寮の近くまで行くからね」
「俺がいるからいいの。馨はまっすぐ家に帰りなさい」
「絶対行く」
「帰れ」
「行く」
「帰れ」
「行く」
「帰れ」
言い合っている2人を置いて、私は歩き出す。
ケンカするほど仲がいいって言うけど、本当にそうかも。
意外にゆうと馨くんて仲良い気がする。今は言い合ってるけど。
「あ」
ケータイが小さく震え、見てみると新太くんからメールが来ていた。
馨くんとゆうが返事をくれなくて寂しい、だって。
私は2人と違ってちゃんと新太くんに返信する。
すぐにまた返事がきて、本当に暇を持て余しているのかも、なんて思ってしまうのだった。
わ〜またまたブックマークが増えていて嬉しいです!アイス食べます!Cani.




