冬休みって案外短いよね
「じゃあハルカ、元気にやるんだぞ」
「すぐには来れないけど、何かあったらすぐに連絡するのよ」
あっという間に両親はベトナムに帰っていき、私は寮に戻ってきた。
案の定、買い物をしすぎた母は飛行機に乗るときに追加料金を支払う羽目になったが、あくまでも買ったものは全部持ち帰るらしい。すごい根性だ。
ギャーギャー騒がしい両親と別れ、1人寮に戻ってくると静かすぎる部屋になんだか落ち着かなかった。
引っ越ししてたの日みたいだ。
テレビをつけてなんとなく音がするようにしてみた。
今日はもうすぐ終わる宿題をやってしまおうか、なんて思っていると馨くんからのメールに気がついた。
メールの内容を見て、私は急いで身支度を整えると寮を飛び出した。
***
「馨くん!あけましておめでとう」
「ハルカちゃん、急に連絡してごめん」
「ううん!五右衛門くん〜会いたかった〜!!」
馨くんは愛犬、五右衛門くんの散歩で学校の寮近くまで来てるんだけど合流するかとのメールを送ってくれたのだ。
フッカフカの五右衛門は相変わらず人懐っこく、尻尾をたくさん降っている。
「あはは、五右衛門興奮しすぎ」
「五右衛門くん、かわいいです。それにあったかい!」
「ね、犬ってあったかいよね」
寒い時はいつも五右衛門くんにくっついて暖をとるんだと言う馨くんが本当にうらやましかった。
「五右衛門はどんどん大きくなっていくんだ。別に食事を増やしているわけじゃないのにね」
力も強いから引きずられないように馨くんは私と一緒にリードを持ってくれた。
グッと五右衛門くんに引っ張られても、馨くんがしっかりとリードを持って制してくれるから、私が引きずられることはなかった。
「馨くん、力強いんだね」
「まぁハルカちゃんよりはね。あとは五右衛門がこっち行きそうだなぁとか分かるからね」
「すごい」
どんなお正月を過ごしたか話しながら五右衛門くんと馨くんとのお散歩を続けた。
家族写真を見せてくれたけど、馨くんのお母さんとお姉さん超絶美人でした。
おじいちゃんがラテン系の人って言ってたね。
お父さんもイケメンだった。馨くんとお姉さんは見事に美形のDNAを受け継いでいた。
「すごい美形家族だね!」
「あ、ありがとう。そんな面と向かって言われると、流石に照れちゃうな」
「本当だもん、本当に美形!」
興奮してついつい声が大きくなってしまい、ワン!と五右衛門くんが吠えた。
「五右衛門、吠えないの」
「ごめんごめん。私がはしゃぎすぎちゃった」
私は五右衛門くんをよしよしと撫でた。
「ハルカちゃんは宿題終わった?」
「あと数学のプリント1枚だけ」
「新太が終わってなくて、明日手伝いに行かされるんだけど一緒にどう?」
「え、いいの?」
「もちろん。むしろ来てくれると嬉しいな。新太と2人っきりなんて僕の身が持たない」
「あはは、念の為ミヤコにも声をかけていい?あの人も宿題終わってるか怪しい気がする」
「確かに、千堂さんも新太も同じようなタイプだからね」
「ゆうにも一応声かけてみる」
「じゃあ明日12時ごろね」
「うん!」
もう冬休みなんのイベントもない私にとって馨くんのお誘いはとても嬉しかったし、楽しみで両親のいない寂しさが紛れるようだった。
***
「ハ、ハルカちゃん、今年もよろしく・・・っ!」
翌日ファミレスへ向かうとすでにゆうと新太くんと馨くんがいた。
新太くんの様子がおかしく、よくみると少し涙ぐんでいた。
「え、どうしたの?」
「自力でやってきたのこの化学のプリントだけなのに、全部解答欄ずれて書いてるからやり直しなの。あと全部やってないってどう言うこと?今日ここに泊まる気?」
「バカだな」
「ご、ごめんなさい」
「解答欄ずれてるのに気が付かないってどう言うこと?君、見直しって習慣ないの?今時小学生すらやってるよ」
「はい」
馨くんとゆうに叱られている新太くん、どんどん体が小さくなっているような・・・。
「わ、私消しゴムかけするから、他の課題進めなよ」
「ハルカちゃん・・・!」
「ハルカちゃん、新太のことは僕たちでなんとかするから、今のうちに自分のやつやっちゃいな。千堂さんきたらハルカちゃんはそっちが大変になるよ」
馨くんの予想は大当たりで、ミヤコは英語と化学のプリントは仕上げてきたが、数学が壊滅的だった。
馨くんの言う通り、先に数学を終わらせておいてよかった、とミヤコに解き方を教えながら思った。
みんなで協力しながら、なんとか宿題のプリントたちを片付けたのだ。
ミヤコと新太くんは帰り際ちょっと顔がやつれていたのは気のせいじゃないと思う。
またまたブックマークが増えていることに気がつきました!ありがとうございます、嬉しいです!アイス食べます!Cani.




