甘酒って好き嫌い分かれるよね
「なかなか列進まないな」
「だね」
根気よく並ぶが中々前に進まない。
本当に人が多くて、私はキョロキョロとあたりを見渡した。
人だかりを見つけ何かと思って見てみると、甘酒を配っているようだ。
「ねぇゆう、甘酒配ってるよ!ってあれ?」
振り向くとさっきまで隣にいたゆうがいなくなっていた。
どうしよう、本当に逸れてしまった。
まぁ前に進めばまた会えるかな、なんて呑気に考えていた私の腕を誰かが引っ張った。
「うわっ!」
ゆうが私を見つけて腕を掴んだのだ。
「逸れるなって言われてるのに本当に逸れるやつがいるか」
「ごめん」
ゆうはそのまま私の手を握って前を向いた。
「もう大丈夫だよ?」
「大丈夫じゃない。絶対また同じことになるからこのまま行く」
手袋越しとはいえ、さすがに恥ずかしい。
「は、恥ずかしいよ!」
「だーめ。逸れたハルカが悪いの」
結局そのまま手を繋いで並ぶのだった。
ゆうは手袋をしていないくて、私の手袋越しでも指先が冷たかった。
「手、冷たいね」
「嫌か?」
「嫌じゃないよ、カイロいる?」
「大丈夫」
「手袋片っぽつける?」
「そんな小さいの入らない。っていうか俺のあげた手袋、使ってるんだな」
「うん!お気に入りで外行く時毎日つけてるよ」
ゆうは手が大きくて、私の手を包み込むように握っている。
「ハルカは手までちっちゃいんだな」
ゆうは私の手の大きさを確かめるように繋いでいる手を強く握ったり、力を弱めたりにぎにぎしてきた。
「ゆうは手が大きいね」
「まぁ、男ですからね」
ゆっくりだけれど列が動き出した。
やっと私たちの番になり、お賽銭箱に五円玉と両親の分(十円玉)を入れた。
ゆうと並んで手を合わせ目を閉じる。
去年は色々大変だったけど、健康に過ごせて良かったです。来年も楽しく過ごせますように・・・!
目を開けて隣のゆうをみると、まだ目を閉じて手を合わせていた。
「よし、行くぞ」
「何考えてたの??」
「秘密」
「けち」
「ほら、甘酒もらいに行くんだろ」
「え、なんで知ってるの?」
「逸れた時、嬉しそうに甘酒の看板見てたの見えてたから」
ゆうは驚いている私を見て、ニヤッと笑っていた。
「ハルカはここで待ってて。動くなよ」
ゆうはそういうと甘酒を貰いに向かった。
私は1人参拝者の列を眺めていた。
家族・友達・恋人、みんな楽しそうだ。
「あれ?中川さん?」
「田中さん!」
あったかそうなダウンを着た田中さんがいた。
「あけましておめでとう」
「あけましておめでとう。初詣終わったの?」
「うん、中川さんはこれから?」
「ううん、さっき終わって今ゆうが甘酒取りに行ってくれてるんだ」
「中西くんと一緒なの?」
「うん」
私からそう聞くと田中さんはなんだかニヤニヤしている。
「本当、仲良いよね2人。もう付き合っちゃえば?」
「え!付き合うってゆうと?」
「そうだよ!結構相性いいと思うけど」
「や、やめてよ〜!」
「俺も結構相性いいと思うけど」
「わっ!」
慌てて振り向くとゆうが甘酒を持って立っていた。
「田中、新年早々いいこと言ってくれてありがとう」
「いえいえ、じゃあ私親待たせてるから。2人ともまたね」
田中さんはゆうと話すと颯爽と戻っていった。
「聞いてたの?」
「聞こえたの」
ゆうは持っている甘酒を私に渡した。
「ありがとう。ゆうの分は?」
ゆうは1つしか甘酒を持ってなかった。
「俺、甘酒苦手だもん」
「自分も飲むからついでに取りにいってくれたのかと思った!ありがとう」
私は甘酒を一口飲む。冷え切った体に甘酒が優しく染み込んでいく。
「一口ちょうだい」
ゆうは私が持っている紙コップに口をつける。
こぼさないように気をつけながら私がゆっくりと紙コップを傾け、ゆうに甘酒を飲ませた。
「どう?」
「やっぱそんな好きじゃない」
「相性悪いじゃん」
「甘酒で相性決めんな」
「あはは」
初詣を終えた私たちはゆうの家に向かった。
久々の再会でお酒も進んだのだろう。
「ハルカちゃ〜ん、ゆうのお嫁さんになってくれ〜」
「康二くん、うちのハルカはまだお嫁さんにはあげられませんっ!」
「もうパパ〜飲み過ぎよ〜」
「ゆう、ごめんね!また学校で!」
「いや、うちのが悪い。ちゃんと着いたらメールして」
「了解!」
かなり盛りがったようで、タクシーを呼んだのに全然帰ろうとしない。
結局、完全に出来上がってる両親をタクシーに乗せるところまでゆうは手伝ってくれた。
なんならペットボトルの水もくれた。ありがとう。




