どっちが子供なんだろうか
「つ、疲れた・・・」
母は本当にたくさん買っていた。本当に全部ベトナムに持っていくつもりのようだ。
「あとはデパ地下でおせち買ってホテルに戻ろう」
有名シェフ監修とかのおせちをベトナムから予約していたらしい。下準備がすごい。
ホテルに戻ってみんなでおせちを食べた。
さすが有名シェフ監修といったところだろうか、栗きんとんからシナモンの香りがした。
「これこれ!ネットで見てたやつ〜!美味しいね!」
「俺はこのハムも好きだな。オレンジソースがかかってる」
父と母はビールやらワインやら好きなように飲み始めた。もう今日は出かけなさそうだ。
特番を見つつ、冬休みの宿題に手を付ける。持ってきていてよかった。
ケータイが鳴り画面を見てみるとミヤコだった。
私はケータイを持ってベッドルームへ行った。
「もしもし?」
『ハルカ!あけおめ!!今年もよろしく〜!』
「あけましておめでとう!こちらこそよろしく」
お互いどう過ごしているのか話をしている内にあっという間に時間が経ってしまった。
ミヤコとの電話を終えリビングルームに戻ると父と母が私のことをじっと見ている。
「な、何?」
「長かったわね、誰と電話?」
「誰って友達だよ!」
「本当かー?彼氏じゃないのか?」
ニヤニヤしながら聞いてくる。あーもう本当親ってこういうの嫌だよね!!
「違うよ!ミヤコ!学校で一番仲良くしてくれているスポーツ科の子!」
「スポーツ科なのか」
「そうだよ、バドミントンの大会とかじゃんじゃん出てるすごい子なんだから」
「そんなすごい子と友達だなんてハルカもすごいじゃないか」
「私は何にもすごくないよ」
「そういえばゆうちゃんは?バスケで高校入ったの?」
「ああ、ゆうはバスケはもうしてないんだって。でも普通科の特待生だからめちゃくちゃ頭いい」
「あら、バスケの大会でMVPとるくらい活躍してたってママから聞いてたから。やめちゃったの勿体無いわね〜」
「勉強までできるなんて文武両道ですごいな!」
ゆうはバスケはお遊びでやってただなんて言っていたけど、それでMVPをとってしまうなんて本当にすごいじゃないか。
私はなぜバスケでスポーツ科を受けなかったのかと聞いてしまった日のことを思い出していた。
あの時のゆうの表情、一瞬だったけどこわばっていて、それ以上聞いてくれるなとでも言いたげだった。
まぁ自分のやりたいことをやればいいよね。
「さ、私はもう少しで終わるから宿題やっちゃおう〜」
「じゃあパパたちは飲み直そう〜」
「ほどほどにしてよね!」
「お正月なんだからいいじゃない!」
夜ご飯はホテルのレストランでショーを見ながら食べた。獅子舞が出てきたりよく知らないけど演歌歌手がきてなんかおめでたい感じに盛り上げてくれた。
部屋に戻る頃には父も母もほろ酔いで機嫌が良かった。
ほっぺとほっぺをくっつけて、楽しかったね、ハルカ〜!と言ってくる母の口がお酒臭かった!だから酔っ払いって嫌!
ただ、父と母が楽しそうにしている姿を見て今日ぐらいは大目に見るかと思うのだった。
「もう仕事をしている限り一生ベトナムにいるの?」
「いやいや、まぁ一応任期は3年くらいって言われてるから、終われば戻ってこれるかな〜」
「次はどこかしらねぇ」
普通は父だけ単身赴任するのでいいんじゃないの?と思っているけど、ラブラブな2人を見て言うのはやめた。
***
「準備できた?今日寒いからあったかくね」
「うん!」
この日は初詣に行こうと朝から準備をして出発した。学校の近くの神社だから帰りに軽く学校の案内もする予定だ。
学校は開いてないだろうから私の寮と門の前だけね。
「今日は特に寒いなぁ」
「ハルカの手袋あったかそうね」
私はゆうからもらった手袋をしていた。本当にあったかいんだけど、今日は手袋の中にカイロも仕込んでいるからとてもあったかい。
ゆうからもらっただなんて言ったらきっと面倒くさい反応をするだろうから黙っておく。
「さすがに混んでるね!」
「逸れないようにな」
初詣に訪れた人で溢れていた。並ぼうと最後尾を探して移動する。
「あら!?ハルカちゃん!?」
急に名前を呼ばれて振り向くと、ゆうとゆうのパパとママがいた。
私の母も気がついてすごい勢いで中西家の皆さんに近づいていく。
「あらあら康二くんに由美ちゃん!」
「里香ちゃん久しぶり!」
里香ちゃんというのは私の母だ。
偶然の再会にしばし盛り上がる両親たち。
「よくこんな人混みでハルカに気がついたな」
「ゆう、あけましておめでとう」
取り残された私たちは少し離れたところから盛り上がっている両親たちを眺めていた。
話終わったのか、くるっと急に私たちの方を振り返る。
「これからパパたちは再開を祝して康二くん、中西家にお邪魔するから、ハルカとゆうちゃん、あ、ゆうくんは2人で初詣してきてくれ!」
美味しいお酒があるんだとゆうのパパが楽しそうに言った。
「ゆう、人が多いからハルカちゃんと逸れないようにね」
「え、みんなは初詣しないの?」
「うん!私たちの分まで2人で初詣して!よろしくね〜!!」
初詣をサボる欲深で神様に恩知らずな両親たちはとっとと行ってしまった。
「しょうがねぇな。行くか」
「う、うん」
取り残された私とゆうは列に並ぶのだった。五円玉足りるかな・・・。
評価をしてくださった方、ありがとうございます!今気がついてとっても嬉しかったです!!アイス食べます!
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Cani.




