楽しみな日までは長く感じるけど終わるの一瞬だよね
「あの」
「君は中川ちゃんの?」
「ちわす」
俺は石井先輩を待ち伏せして話しかけた。
この人がハルカの好きな人・・・。思わずまじまじと見つめてしまい先輩に訝しげられた。
「ちょっと聞きたいことあって・・・。今いいですか?」
「いいけど、どうした?」
「先輩は里中と付き合ってるんですか?」
俺がそう聞くと、先輩はどこか遠いところを見ているような表情になった。
「あー、君ってあの子の事好きって感じ?」
「いえ、全然」
「ならどうしてそんなこと聞くの?」
「じゃあハルカのこと好きなんですか?中川ハルカ」
先輩は少し驚いたようだったがすぐにニヤニヤとし始める。
「なるほどね」
「なんですか・・・?」
「お前、中川ちゃんのこと好きなんだろ」
今度は俺が驚いてしまった。先輩は意地悪そうな笑みを浮かべている。
「なっ!俺は先輩に聞いてるんです!」
「ノーコメント。想像にお任せします。まぁまぁ、俺はもう受験で引っ込むんだからさぁ。俺のことなんて気にせずに高校生活謳歌しなさいよ」
「はぁ!?」
結局ハルカのことが好きなのか?はぐらかされたことに不満な気持ちが隠せず睨んでしまった。
「そんな怖い顔しないの!まぁ、里中さんだっけ?あの子のことは何とも思ってないよ。何なら鬱陶しいくらい」
「それなのになんで構うんですか」
「君さぁ、中川ちゃんのことが好きならちゃんと守ってやりなよ。今は里中さんが俺に興味を持ってるから適当にやってるだけ」
「なんでハルカのために・・・」
「それはノーコメントって言ったでしょ」
ああ〜!何だこのこいつから感じる余裕は。
俺はもやもやしつつ、どうしてハルカはこの先輩のことが好きなのかさっぱり分からなかったのだ。
***
「それでは、かんぱーい!」
今日は楽しみにしていたクリスマスパーティーだ。
みんなでチキンを食べて、写真を撮ったりあっという間に時間が過ぎた。
「プレゼント交換始めよー!」
それぞれのプレゼントに番号をふってあり、引いたくじの番号のプレゼントを貰えるのだ。
「みんな引いた?順番にくじを開けよう!」
「俺は3番!」
「あ、それ私の」
新太くんはミヤコのプレゼントを引いたらしい。
「時計?」
「目覚まし時計です!爆音でなるから二度寝したくなる冬にぴったりでしょ」
「時々遅刻ギリギリに来るんだから丁度いいじゃん」
「つ、使わせていただきます・・・!」
「私は、1番!」
「あ、それ僕の」
私が引いたのは馨くんのプレゼントだった。
「わ〜!」
「何にしようか悩んじゃって・・・」
ハンドクリームとリップクリームとチョコレートだった!
「よかった、ハルカちゃんか千堂さんに当たって欲しかったから」
「やったー!ありがとう」
ハンドクリームはとてもいい匂いがして、うっとりした。
「次は俺だな。4番」
「あ、私の」
ゆうは私のプレゼントを引いた。
私の選んだものは小さいブランケットだ。誰でも使いやすいかなと思って、色はグレーにした。
ゆうはすぐにブランケットを広げ、肩からかけた。
「あったかい」
「よかった〜」
「次は私!2番〜!」
ミヤコはプレゼントの包みを開けた。
「ふわふわだー!」
「俺のやつ」
ゆうからのプレゼントはふわふわのバスタオルだった。
「もう今日から使う」
「最後は僕だね」
「残ってるのは俺のだな!」
最後は馨くんだった。
プレゼントは新太くんからのもので、マグカップだった。
プレゼント交換の後はみんなでケーキをたべた。
「ケーキ美味しいね〜!」
「うん!」
ひょいっと私のお皿に残していたイチゴが攫われていった。
「あー!最後に食べようと思ったのに!」
モグモグとゆうが美味しそうにイチゴを頬張っている。
「ほら、ハルカちゃん僕のあげるよ。あーん」
馨くんがフォークにイチゴを刺して私の口元に運んでくれる。
「ちょちょちょ、ストップ!間接キス!ダメ絶対!!」
新太くんが馨くんのフォークを握って動きを止めさせた。
「チッ」
「舌打ち!聞こえてんの!」
「本当、男子ってばかだねぇ」
「だな」
「あんたもよ」
あっという間にクリスマスパーティーは終わったのだった。
「じゃあまた学校でね!」
「うん!バイバーイ!」
解散した後は寮が一緒のゆうと帰った。
「じゃあゆうもまたね」
「ハルカ」
階段を登ろうとしたとことで声をかけられる。
「これ」
ゆうはバックからラッピングされた箱を取り出した。
「私に?」
「うん」
はい、と無理やり手に持たされる。
「私、ゆうに何にもないよ?」
「いいんだよ。ハルカには色々悪いことしたから」
結衣ちゃんのことだろうか。
「開けてもいい?」
「好きにしろ」
緑の可愛い包装紙を破り、箱を開けると中には手袋が入っていた。
グレーに白のポンポン飾りが付いている。
「かわいい。ありがとう」
私は急いで両手につけて、ゆうに向かってグーバーグーバーと手を握ったり開いたりしてみせた。
「似合ってる」
ゆうは微笑むとくるりと踵を返して自分の部屋の方へ帰っていった。
ポンポン飾りが可愛くて、私はゆうからのクリスマスプレゼントをとても気に入ったのだった。




