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10年ぶりに再会した幼馴染について誰かに説明したい  作者: Cani
ハルカ、高校一年生
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気がつけば溢れていた

 

「中川ちゃーん、ってあれ?いたと思ったのに」

「・・・」

 石井先輩が私の教室を覗き込んだタッチの瞬間で、私は馨くんの机の横にしゃがみ込み隠れてしまった。


「ハルカちゃん、もう先輩行ったよ」

「あ、ごめん」

「どうしたの?」

「えっ?いやーどうもしてないんだけど体が勝手に・・・あはは」

 そうなのだ。体育祭から石井先輩と顔を合わせるのが妙に気恥ずかしいのは気のせいではない。

 先輩の姿を見るとかわいいと言われた先輩の声が頭の中にリフレインするのだ。

 胸がドキドキして、そのまま先輩と話すなんてできそうになかった。


「もし付き纏われて困ってるんだったら言ってね」

「そんなんじゃないの!ご、ごめんね、心配してくれてありがと」

 馨くんは心配そうに私を見ていた。



 私はなぜ私が石井先輩を避けてしまうのか、理由には薄々気がついている。


 私は石井先輩のことが、気になってしまっているのだ。

 正直に言うといわゆる、恋愛的な意味で。


 変に気の利くミヤコのせいで、私は数日前から先輩を急に意識するようになってしまった。



 ***



 放課後ミヤコとパンケーキを食べに出掛けていた。

「ねぇハルカ」

「なに?」

「最近、恋愛面的にはどうなの?」

「ぶっ!!」

 突拍子もない話題に紅茶を少し吹いてしまった。


「どうなのって?」

「えー!あの先輩とかどうなの?体育祭でいい感じだったじゃん」

 石井先輩はその後も会うたびに声をかけてくれて、たまに1年生の教室まで遊びにきたりする。


「会えば声かけてくれるよ」

「ふーん。それで?ハルカ的にはどうなの?」

「そりゃ嬉しいなぁと・・・」

「他には?」

「え?なんか優しいし、大人って感じで素敵だなぁと・・・」

「それで?」

「ええ!?あ、あとはかっこいいな、なんて・・・」

「だよね!あっ!クリームが!」

 ミヤコが急に動いたから、パンケーキのクリームが机に垂れた。

 一瞬焦ったミヤコだったけど、すぐに私の顔を見るとニヤニヤとし始めた。


「なんでニヤニヤするの」

「ハルカ、本当に自覚ないの?」

「な、なんの?」

「先輩のこと、好きなんじゃないの?先輩の話している時のハルカ、すごいかわいいよ」

『中川ちゃんかわいい』

 先輩の眼差し、かわいいと言ってくれた表情、大きくてあったかい手。

 思い出すと胸があったかくなって、ドキドキする。


「私、先輩のこと好きなのかな?」

「あはは!ハルカ、私に聞いてもしょうがないでしょ!でも、第三者的には先輩とハルカ、本当にお似合いだと思うよ」

「ミヤコ・・・」

「ほら!パンケーキ食べて、ニキビできないように今日はクリーム塗って寝よ!」



 ***



 ということで、自分が石井先輩のことを好きかもしれないと自覚をしてから先輩と顔を合わせられなくなってしまったのだった。


 購買に行こうと歩いていると、後ろから急に腕を掴まれた。


「やーっと会えた」

「せん、ぱい」

 私の腕を掴んでいたのは石井先輩だった。


 私は顔がどんどん熱くなり、先輩の目が見れなかった。

「俺のこと避けてたでしょ」

「い、いやぁ・・・。あ!私先生に呼ばれてるんでした」

「先生より今は俺優先。先輩のことを避ける悪い子にお仕置きしなきゃ」

「お仕置きって!」

 慌てて先輩に顔を向けると、にこりとしてる先輩と目があった。

「あはは冗談だよ、やっと俺の目見てくれたね」

「あ・・・」

「また逸らすー。流石の俺でも傷つくんですけどぉ」

「ご、ごめんなさい」

「なんで俺のこと避けるの?」

 なんでかなんて、絶対に言えない。


「ねぇ、中川ちゃん。俺何か悪いことした?」

「いえ!」

「だよね、なのに俺避けられてるのなんで?」

「それは・・・」

「それは?」

「なんか、先輩に会うの恥ずかしくて・・・」

 もうこれ以上は言えない。絶対に言えない。


「俺は全然恥ずかしくないのに・・・。教室に用事もないのに行くのがまずかったかな?でも、俺避けられたら寂しいからちゃんと相手してくれる?」

 先輩は私の肩に手を置いて、顔を覗き込んでくる。

 先輩に見られていると思うと顔に熱が集まって苦しい。


「中川ちゃん。仲良くしようよ。ね?」

「は、はい・・・」

「やったー!俺避けられてるの本当にショックだったんだから。受験生にストレス与えないでくれる?中川ちゃんのおばか」

 次避けたら本当に罰ゲーム考えるからね、と先輩は戻っていった。


「はぁ・・・」

 ずっと私が避けていたから、直接先輩の顔や声を聞いたのが久しぶりな気がする。

 私は心臓が飛び出しそうになるくらいドキドキしているのを感じた。

 石井先輩、カッコよかったな・・・。


 先輩のこと、もっと知りたいな。

 ドキドキしちゃうけど、先輩ともっと話したいな。

 私、先輩のこと・・・。

 教室に戻ろうと歩いていると、また後ろから声をかけられた。


「ハルカ?戻り?」

「ゆう・・・」

「顔真っ赤だけど、体調悪いの?」

「先輩と話してたから」

「はぁ!?どういう意味?」

「私、好きみたい」

「え・・・」

 私は自分の気持ちが抱えきれなくなっていた。



「私、好きになっちゃったみたい。先輩が」




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