親友の定義
「ついに来たぞーー!体育祭!」
「高垣くん気合入ってるね」
「ね、すごいね」
文化祭は一年生の部で2位だった。(1位はA組の占い屋敷だった)
今日は小早川祭の後半戦、体育祭だ。
私たちは体育祭も合わせて3位以上になれば入賞で賞品が貰える。
気合十分な新太くんを横目に私は馨くんとゆうと話していた。
「僕は運動苦手だからちょっと憂鬱だなぁ」
「馨くんは何出るの?」
「足の速さとかあんまり関係ない障害物競走。ハルカちゃんは?」
「私もあんまり運動得意じゃないから、玉入れと二人三脚!田中さんとペアなんだ」
「二つも出るんだね、えらい」
「俺は玉入れとリレー、高垣はリレーとパン食い競争と、玉入れと、二人三脚出るって言ってた」
「新太くん、すごすぎ」
***
『二人三脚に出場する生徒は集合場所まで来てください』
「よっしゃー!ハルカちゃん行こうぜ!」
「うん」
「転ぶなよ」
「応援してるね」
二人三脚が始まった。
「田中さん、よろしくね」
「うん。頑張ろう。でも私ついてないなぁもう一回走るなんて」
「走り終わった後すぐ休んで体力回復しなきゃだね」
二人三脚はリレー形式で行われる。
なぜ田中さんが2回も走るのかというと・・・。
『1年女子パン食い競争ヨーイ、ドン!』
「結衣ー!がんばれ!」
「結衣ちゃーん!」
「ああ〜!結衣ちっちゃいから上手くできないよ〜!」
結衣ちゃんはパン食い競争に出ていた。
上手くできないのはしょうがないよね、結構難しそうだしって思っていたけど、どうやら彼は違ったらしい。
「何やってんだよ結衣!そんな高い位置にあるメロンパンじゃなくて!右端のしたの方に垂れ下がってるカレーパン狙えよ!みんなの勝利がかかってんだぞ!ちゃんとやれ!!」
「あ、新太くん・・・」
「高垣くんって一体何者?あの人いつも優しいくせに急に熱血じゃん」
「新太くんジャンプで上手にアンパンとってたね」
「あはは、高垣〜厳しいぞ〜!」
「結衣ちゃん、高垣の言うとおりに紐の長い下の方のやつ狙いなよー!」
単刀直入に言おう。多分結衣ちゃんは新太くんの熱血指導とそれに賛同するクラスメイトが気に入らなかった様子だった。
「新太が大きい声出すから、びっくりして結衣足捻っちゃったぁ。歩けない〜。おんぶして連れてって!」
「俺もう出番だから先生呼んでくる」
「ちょ!新太ぁ!」
と、いうことで、結衣ちゃんは足が痛いため見学にシフトしたのだ。
そして彼女の穴を埋めるべく、1種目しか出る予定がなかった田中さんに白羽の矢が立ったのだ。
私はというと、結衣ちゃんとは冷戦状態、というかなんともなってない。
結衣ちゃんのすごいところは本当に何もなかったかのように振る舞うところだ。ただ、お互い存在は無視しているに近い状況だった。
『ヨーイ、ドン!』
前のペアが順調に戻ってくる。
「せーので真ん中から足出そうね」
「うん!」
タスキをもらい、私と田中さんは走り出した。
「ハルカーがんばれ!」
「中川ー!田中ー!いいぞー!」
もう少しで抜けそうだというところで、次のペアにタスキを繋いだ。
「中川さん、ありがとう。じゃあ私鈴木さんのところに行ってくる!」
「うん、がんばってね!」
無事私は出番を終え、田中さんもしっかりと役割を果たし二人三脚は1年生の部で3位で終われたのだった。
スポーツ科もいる中で3位以内に入れるのは割とすごいことなのだ。
「ハルカー!見てたよ」
「ミヤコ来てくれたんだ!」
「当たり前よ!二人三脚ハルカのペア結構早くて、うちのクラスのみんな感心してたよ」
「えー!本当?」
「うんうん!あ、私次借障害物競走出るんだった!行ってくるね〜!文化祭は負けちゃったけど、体育祭はこっちが有利だから!負けないよ!」
ミヤコはそう言うと颯爽と集合場所へと向かっていった。
「じゃあ僕もいってくる」
「馨くん頑張ってね!」
「期待しないで」
障害物競走のコースはこうだ。
まずはネットをくぐって、次に平均台。それをクリアしたら袋に両足を入れてジャンプで進む。
最後に置いてあるカードを拾ってカードに書かれているお題に沿ったものを持ってゴール。
「もう始まるね」
「川上、初っ端出番か」
「俺、色々貸せるように持ってきたんだ!うちわでしょ、ペンでしょ、あとメガネでしょ」
「高垣、お前すごいな」
「俺、初めて中西に褒められた!」
『ヨーイ、ドン!』
1年生の部がスタートした。
「馨くんがんばれー!」
「川上ー!」
馨くんはネットくぐりと平均台は割と他の生徒と同じくらいのペースで進めていた。
準備された麻袋に両足を入れてジャンプして進む。
その時、馨くんのメガネが落っこちてしまった。
慌てて眼鏡を拾って掛け直した馨くんだったが、周りの人は気がついていた。
私は何度も言っているけど、馨くんは本当に綺麗な顔をしているし、特に目なんてキラキラしていて不思議な透明感があるのだ。
メガネが外れたほんの一瞬だったけど、やはりイケメンに女子は敏感なのだった。
「ねぇねぇ、今メガネ落ちちゃった子みた?顔可愛くない?」
「見た見た!目がぱっちりしてて、綺麗な顔立ちだったよね」
「メガネない方がイケメンじゃない?」
「えーよく見るとあってもイケメンかも!」
みんなが注目している種目ということもあって、同じ学年のみならず、先輩までざわざわしていた。
「元々俺らは川上の顔よく見てたから慣れてたけど、やっぱあいつイケメンの部類に入るんだな」
「川上モテモテだなー!うらやましい」
私から見ればゆうも新太くんも十分イケメンだしモテモテだと思うんですけど。
「ね、カードのところまで来れたよ!」
馨くんはなんとかジャンプを終え、息を切らしながらカードをめくった。
「え、なんか固まってね?」
「ほんとだ。お題なんだったんだろう」
馨くんはお題を見た瞬間フリーズしていたが、動き出した。
「え、なんか俺たちの方きてね?」
「ほんとだ」
小走りで馨くんは私たちのところまできた。
「高垣と中西、来てください・・・」
「え、俺ら?」
「お題なんだよ」
「いいから!早く来て!」
もうC組とF組がゴールした。それぞれお題は「サンダル」と「先生」だった。
「中西とにかく行くぞ!」
「ったくしょうがないな」
馨くんはゆうと新太くんを連れ、ゴールした。
『お題は・・・親友でした!熱い友情をありがとうございました!』
戻ってきた馨くんは顔が真っ赤になっていた。
「俺たち親友なんだって」
「馨ちゃん、俺たち親友なんだな」
「もー!やめてよ!いいじゃんキャンプとか行ったでしょ!」
「高垣、俺ら親友だってな」
「川上、いや馨いつも冷たいから知らなかった」
「やめろー!」
馨くんの顔が赤いのは、走ったからだけではなさそうだった。




