どうして誰も教えてくれなかったの
私は今抱きしめられている。
誰に、ゆうちゃんのママに。
「ハルカちゃん!会いたかったわ~。ママからの年賀状の写真でかわいい女の子になってって思ってたけど、実物はもっとかわいいわ~!!!ゆうのことよろしくね。何かあったらなんでも相談してね!!ハルカちゃんたちが引っ越してからおばさん寂しかったのよ~ずっと女の子が欲しかったから、ハルカちゃんがゆうと仲良くなっていつも遊んでくれたでしょ?その光景を見るのが嬉しくてうれしくて。これからは一緒に洋服選びにいったり、カフェにいったりしましょうね!私夢だったのよ~」
「ウ、ウフフ」
ゆうちゃんママ、パワフル!!!
思いが止まらねぇ。
「もうやめとけよ、ばばあ」
「もー!ばばあって呼ばないでよ!ね!ハルカちゃんからも言ってやって!」
「ヤメナ」
「るせー」
まだ信じられない。ゆうちゃんって女の子だったよね?一緒にお花摘みとかおままごととかしたじゃん。
「ホントウニ、ユウチャン?」
「ゆうちゃんって呼ぶな」
「ナカニシ、クン・・・」
「ユウでいい」
「おばさんねぇ、女の子が欲しかったからよくゆうにスカート履かせたりしてたのよ~。せっかく買ってたからってね!」
それのせいで私は10年間ゆうちゃんが女の子だと思っていました。ゆうちゃんママ!!!!!あんた!!!!!
***
「じゃあおばさん帰るね。元気にやるのよ~!!」
「あ、はい。ありがとうございます!」
「じゃあな」
おばさんは颯爽とママチャリで帰って行った。おばさんは。
「なんで帰らないの?家近いんでしょ?」
「俺、寮だもん」
リョウナノ???
「なんで?」
「なんでっていいだろ別に。それにしたってハルカちゃんは全然成長してないなぁ。特に身長が」
ゆうちゃんは大変意地悪になっている。
「10年前よりは伸びてるでしょ!ゆうちゃんはいろいろ変わったね。その、まさか男だったとはね」
「お前が勝手に勘違いしたんだろ」
「そうでした。あーあ」
「なんだよ」
「ゆうちゃんに賭けてたから、友達作れてない」
「いらねぇだろ」
「いるよ!!転校してから友達作るの大変だったんだから」
「俺でいいじゃん」
「なにが」
「友達。ね?ハルカちゃん。ずっと仲良しだもんね?」
「た、タピオカとか一緒に食べてくれる??」
「やるか、ばか」
女子高生の友達が欲しかった!!