合流はしましたけど、流石にテンションは上がりませんよね
「先輩、やっぱり私もういいです」
「何言ってんの〜これから盛り上げるのに、もったいないよ」
本当に会場はとても盛り上がっていて、今更どんなテンションで行けばいいのか分からない。
それにこんな広い会場でゆうを見つけられそうにない。石井先輩に連れられて外に出たから、ケータイはまだ教室の私のカバンの中だ。
「ほら!行こう」
「わ!」
石井先輩は私の手を取ってぐんぐん進み始めた。
あったかくて大きくて、ゴツゴツした先輩の手にドキドキした。
「せ、先輩、手・・・!」
「ごめん!ついつい」
先輩はパッと私の手を離した。
「なんか、中川ちゃんほおって置けなくて。今日会ったばっかりなのになんか気になっちゃうんだよね」
「え」
「あはは」
あははって作り笑いで誤魔化したけど、自分の顔が赤くなっていくことに気がついていた。気になっちゃうって、それって一体どういう意味ですか、石井先輩!
「ハルカちゃーん!」
「あ、新太くん」
少し離れたところから新太くんが走ってくる。
「大丈夫?ハルカちゃん、何があったの?」
「それがですね・・・」
どうしよう、また新太くんに心配をかけてしまう。
「ミスコンでてた女の子に資料室に閉じ込められてたんだよ」
「なーにー!」
「中川ちゃん、事実はちゃんと伝えないと。心配かけるかもしれないけど、今後も同じことがおこる方がもっとみんな困るからね」
石井先輩はまた私の頭をポンポンと撫でた。
「それで、石井先輩が助けてくれたんだ」
「そうだったのか。先輩!ありがとうございました」
「元気があってよろしい。じゃあ、中川ちゃんのことよろしくね。俺は行くね」
「あ、石井先輩!ありがとうございました」
先輩は少し行ったところで振り向き手を振ってくれた。
「あーー、ハルカちゃん、そんな怖い思いをしてたのに俺が助けに行けなくてごめん」
新太くんは眉毛をハの字にしている。
「ケータイ教室にあってみんなに連絡取れなかったの。迷惑かけてごめんね」
「迷惑じゃないよ。でも心配した。無事でよかった」
新太くんはケータイを取り出し電話し始めた。
「あ、川上?ハルカちゃん見つかったよ。校舎の入り口近くにいる」
「馨くん?」
「結衣になんかされてるって分かったから川上と中西と分かれて探してたんだ。ちょっと中西にも連絡入れるね」
やっぱりいつまで待っても私が来ないから、心配してくれていたんだ。
「あ、中西?ハルカちゃん見つかったよ。やっぱりっておい、もういいってなんだよ?あ!」
切られちゃった、と新太くんがケータイをしまった。ゆう、途中で電話を切ったみたい。やっぱり約束してたのにすっぽかした状態になったから、怒ってるよね。
「ハルカちゃん!」
「わっ」
馨くんが来るなり私の両頬を掴み、顔を左右に向かせた。
「大丈夫?怪我してない?何されたの?」
「きゃおるきゅん、どぁいどうぶどぁお」
「川上、ほっぺ離せよ。というかベタベタ触るなよ!」
新太くんは馨くんの腕をバシッとはたいた。
「資料室に閉じ込められちゃったから後夜祭行けなかったの、ごめんね」
いつの間にか実行委員長の挨拶になっている。
「ハルカちゃんが無事なら後夜祭なんてどうでもいいよ。僕元々こういうの苦手だし」
「俺今回のことは我慢できない。結衣のところ行ってくる」
私のことを思って新太くんが言ってくれていることもわかる。けど・・・。
「待って!新太くん、これは女同士の戦いだから大丈夫だよ。気持ちだけ受け取るね」
新太くんと馨くんは私に止められたことが不満みたい。表情が曇っている。
「私もね、今回のことは本当に逆恨みだと思ってるから。でもこれで何か仕返しとかしたら相手と同じことをしちゃうことになるから今回はこのままでいくよ。いつか結衣ちゃんが謝ってくれるまで許さないけどね」
「ハルカちゃん・・・」
そう、今回は直接結衣ちゃんにやられている訳で。自分勝手な理由すぎて同情もできないし、許すつもりもない。
だからといって嫌がらせの仕返しなんてことはしない。
結衣ちゃんには効果ないと思うし、そんなことにパワーを使いたくないから。
***
ムカつく。
なんで中川ハルカって結衣の邪魔ばかりするの?
資料室からどうやって出たのよ。
新太もあいつばっかりかまうし。川上あたりとさっさとくっつけばいいのに。新太のことも、ゆうのこともキープして気に入らない。
でもさっきのゆうの顔、傑作だった。ショックだよ〜って表情にでてた。
なんか色々タイミングが良かったみたい。ゆうはもうあいつのこと嫌いになっちゃったかもね。
2人が仲悪くなれば結衣がゆうの隣にいれるかもしれないでしょ。
中学校では女子の嫉妬のせいで嫌なこともいっぱいあったけど、新太が側にいてくれるようになって周りのことなんてどうでも良くなった。
高校も新太と一緒にいれるって思ったのに。
かっこいいゆうとも付き合って、常にカースト上位の結衣はみんなに憧れるはずだったのに、ゆうはハルカハルカって結衣のこと見向きもしない。
中川ハルカのせいで、全部台無し。最近新太まで離れそうになってる。
それに、さっき一緒にいた先輩って誰?なんであんなかっこいい人とあいつが一緒にいて手なんて繋いでたの?
結衣もあの先輩と仲良くなりたい。
中川ハルカばっかり良いことばっかりでずるい。
「結衣ちゃーん!写真とろーよ!」
「うん!いいよぉ!」
こんな名前もわかんない雑魚な男子なんてどうだっていいの。
結衣はかっこいい男子しか興味ないんだから。




