五右衛門ってネーミングセンスどうなってんだ
「ただいま帰りました」
「ハルカちゃん!おかえりなさい。どうだった?デートは楽しめた??」
「はい!とっても楽しかったし、癒されました」
「遅い!!」
ゆうがリビングのソファから勢いよく立ち上がりこちらに向かってくる。
「もう〜いつも自分の部屋にずっといるくせに、夕方近くになったらリビングに出てきてずっとハルカちゃんのこと待ってたのよ。ゆう!しつこい男は嫌われるわよ」
「別に待ってないし!で、何しに行ったんだよ」
「五右衛門くんと遊んだの」
「五右衛門くん?」
誰だそれ、とゆうは呟く。
「馨くん家の犬だよ!柴犬で人懐っこくてかわいいんだ」
「お散歩デートだったからジーンズにしたのよね」
「散歩とかジジババか・・・」
ゆうは呆れたようにソファに寝っ転がった。
「五右衛門くんにおやつとかあげたよ。楽しかった!」
「それだけ?」
「うん、五右衛門くんに会うのが本当に楽しみだったんだぁ」
「そうかよ、犬っころに会えてよかったな」
「ほら、ハルカちゃん手洗いうがいしてきちゃいなさい」
「はい」
洗面所で手洗いうがいをしてふと鏡を見ると、ゆうがいた。
「うわっびっくりした、どうしたの?」
「馨ってまさか川上?」
「そうだけど」
「はぁ?なんで下の名前呼んでるんだよ」
「いいじゃない、馨くんと下の名前で呼び合いっこしようってしたんだから」
「よくねー!気に入らないんだよ、ただの川上の犬に会いに行くだけであんなにはしゃいで、下の名前で呼ぶほど仲良くなって」
「別にゆうに気に入られなくっていいもん」
「こーいーつー」
ゆうに頭をぐわっと掴まれ、力を入れられる。
ぐぎぎ、と頭蓋骨が軋んでいると感じるくらい。
「痛い痛い!やめてよ」
「ハルカが生意気すぎるの」
「やめてよ〜」
「ほら2人ともぉご飯よ」
「命拾いしたな、ハルカ」
「もういやー!」
***
ハルカが家を出てからというもの、俺は気が気ではなかった。
川上はハルカに惚れている。絶対に。
そして中々顔もいいし、ハルカは単純だからちょっと優しくされたらいい気分になるに違いない。
『今日の中川さんとってもかわいいね。僕に会うためだけにこんなにかわいくしてくるなんてね』
わざわざ俺に連絡してくるあたり、川上は中々腹黒いやつだろう。
そしてハルカはそんなこと気がついてない。
川上、ハルカに変なことでもしてみろ・・・。
約束の17時を過ぎてもハルカは帰ってこない。
何回も連絡しているのに返信もなければ折り返しの電話もない。
一体何をしているんだ。
「あらあら、ゆうの顔が怖いわねぇ」
悶々としている俺を見て、ババアがからかう。
ハルカにメイクとか余計なことしやがって!
やっと帰ってきたハルカは楽しかったと笑顔で報告している。
川上本人じゃなくて、川上の犬と遊んだことが楽しかっただなんて、ちょっとだけ川上に同情した。
なんだか少しホッとしてしまい、ハルカが川上を馨と呼ぶのに後から気がつくことになってしまったのだった。
ハルカを抱きしめた時も、あいつは全然俺にドキドキしていなかったと思う。まぁ勢いというか、俺が一方的に抱きしめただけだけど。
ずっと一緒にいようねだなんて言ったのも小さい頃だし、そもそもハルカは俺のことを女だと思っていたし今だって同じ屋根の下に住んでいるけど俺のことを少しも意識していない。
騒がしい両親がいるからというのもあるが、もはや幼馴染の俺はハルカにとっては家族的な立場になっているのか。
じりじりと距離を詰めてくる川上に少しの焦りを感じていることに思わず笑ってしまった。
またまたブックマークをありがとうございます!とっても嬉しいです。嬉しくって今日はプリン食べます。Cani




