絶対ケンカしないようにしようと決めた日
「結衣ちゃん!!だ、大丈夫だよ。俺がついてるから中川に一緒に伝えよう。嫌がってる中西や高垣を解放しろって!仲間外れにしたことを謝れって!」
横田くんは慌てて結衣ちゃんの方へ向かうが、結衣ちゃんはゆうにピッタリとくっついている。
「結衣そんなこと言ってないよ〜。何これこわ〜い。ゆうもう行こうよぉ〜」
「えっ?」
私は何も言えなかった。結衣ちゃんの口元が笑っているように見えたからだ。
「だ、だって結衣ちゃん中西や高垣が中川に付き纏われて可哀想って言ってたじゃん!中川さんに仲間外れにされたって!助けて欲しいって言ってたじゃん!」
「え〜なんの話かわかんない」
「そんな・・・!結衣ちゃんのために俺、今日だって中川に・・・俺・・・」
「わかんない、わかんない〜!もういいじゃん、こんなやつ。行こうよゆう〜新太ぁ〜!」
横田くんは興奮からか最初は顔が赤かったけど、今は真っ青になってる。信じられないような目で結衣ちゃんを見ていた。
どういうこと?横田くんが勝手に勘違いしたってこと?
なんだか横田くんが可哀想になってきた。
「ハルカ、可哀想とか思ってないよね?」
いつの間にかユニフォーム姿のミヤコが教室の入り口に立っていた。
ツカツカとミヤコは横田くんの方へ向かってきた。
「な、なんだよ千堂」
「横田、私のハルカに有る事無い事で嫌がらせしたって?」
ミヤコは怒っていた。
そしてミヤコは止まらなかった。
「こんな女にうつつを抜かして?バドの練習もサボり?この女の代わりにハルカに嫌がらせするなんてあんたバカなんじゃないの?そんなんだから万年レギュラー入りできないんでしょ、この雑魚が」
「バドミントンは今関係ないだろ!!千堂は引っ込んどけよ」
「あ???誰に向かって口聞いてんの?話終わってないんだけど。あんた日本語わからないわけ?自分が何やったかわかってんの?」
「あ、はい、すみません」
ミヤコの後ろに般若が見える・・・。
「やべーなんだか俺まで怖くなってきた・・・!」
ミヤコのあまりの迫力に、高垣くんまで後退りしている。
横田くんはどんどん小さくなっていき、
「中川さん、大変申し訳ありませんでした」
と最終的には自分の膝に額がつくくらい深いお辞儀をして謝罪をしてきた。なんならちょっと泣いてた。
「も、もういいよ」
「ハルカ優しすぎる。あとでこの雑魚の体に目掛けてスマッシュ打っとくから」
「ヒッ!!!」
横田くんはガバッと自分を抱きしめるようにして震えていた。
ミヤコはそんな横田くんを無視し、結衣ちゃんの方へ向き直った。
「で?あんたは?」
「だから結衣は何にもわからないって言ってるでしょ!ゆう〜千堂さんがこわい〜!」
結衣ちゃんはゆうの後ろに隠れた。
「あのさぁ、あとはもう俺たち関係ないから」
ゆうはそういった。
「だよねぇ!いこ!」
結衣ちゃんは嬉しそうにゆうの腕を引っ張り教室を出ようとした。
けど、ゆうは動かなかった。
「は?何言ってんの。お前は残れよ」
「えっ・・・」
「俺とか高垣がハルカに付き纏われていて困ってる?なんでそんなこと言ったんだよ」
ゆうは結衣ちゃんの顔も見ずに言った。
「だ、だから結衣は言ってないってば!信じてくれないの??」
「なんで俺がお前を信じることになってんの?」
「え・・・?」
「横田はお前にそう言われたって言ってんじゃん。あとは2人で話合えば?で、俺はお前みたいなやつに付き纏われるのが一番迷惑なわけ」
ゆうは結衣ちゃんを振り払った。
「ゆ、ゆう!待ってよ!そんなひどいこと言わないで!」
「なんだ?今度は俺にいじめられたとかいうんじゃないだろうな。勘弁してくれよな」
「あ、新太助けてよ!」
結衣ちゃんは今度は高垣くんに縋り付いた。
私は川上くんと何も言わないままその光景を見ていた。ミヤコはあくびをしていた。
「自分でどうにかしなよ結衣。俺もちょっと混乱とドン引きしてるからお前の味方になれないよ」
「新太までひどいよ!!もう知らない!!」
高垣くんにそう言われると結衣ちゃんは教室を走って出て行った。
「追いかけないの?」
川上くんは横田くんに行った。
「こんな状況で追いかけると思うか?俺、信じてもらえないかもしれないけど本当に結衣ちゃんに言われたんだよ」
「あんたが自分だけの考えでこんなバカみたいなことするって思ってないわよ」
横田くんはミヤコからそう言われて俯いた。
「あ〜それにしたって千堂怖すぎ〜!」
「はぁ?あれくらい怒って当然でしょ。っていうかあんたたちハルカと同じクラスのくせに何やってんのよ。あ〜ハルカ!大変だったね!」
ガバッとミヤコに抱きしめられ、背中を撫でられた。
「ミヤコ、ありがと」
「ごめんね、全然気がつけなくって。高垣から電話きて練習抜けて吹っ飛んできたよ。でもハルカに頼ってもらえなくて、私はショックだった」
ミヤコは悲しそうだった。
「ごめんね、横田くんと同じクラスだったし迷惑がかかると思って」
「迷惑なんて考えなくていい!友達でしょ」
「ミヤコ・・・」
私はミヤコの真っ直ぐな言葉に胸がいっぱいになってしまった。
「とにかく!今度から困ったこととかすぐに相談してよね!」
「うん。ありがとう」
ミヤコはもう一度私を抱きしめ、横田くんを引きずって(本当に)練習に戻っていった。
***
「千堂さんに良いところ全部取られちゃったな」
「川上くん・・・いろいろ本当にありがとう」
「いえいえ。中川さんが悲しいのは僕も嫌だから」
「何格好つけてるんだよ。ハルカに怪我させたくせに」
「え!中川さん怪我したの??」
「怪我じゃないよ、横田くんに腕掴まれただけ」
「川上が遅いせいだろ」
「それは中西くんもでしょ」
「別に大丈夫だから、もう大丈夫。みんなもありがとう。もう帰ろう」
「だな、行くぞハルカ」
「わっ!!!」
ゆうはいきなり私の手を取って走り出した。
「あ!ずるーい!!」
「ちょっ!中西抜け駆けか!!」
私は転ばないように必死にゆうと一緒に走ったのだった。
この後横田くんは素振り500回やらされました。Cani




