シャープペンの芯が足りない
最近俺は機嫌が悪い。
なんでかって、原因は分かってる。
最近やけにべたついてくるこの女。名前は知らねぇ。
こいつがいるせいで、ハルカと話す時間もない。
というかハルカに俺は避けられている、と思う。
いつの間には朝一緒に学校に行くことも無くなった。
ハルカが朝一で学校に行くようにしたみたいだ。俺との約束を破るなんて生意気だよね。
一言言ってやろうとも思うが、ハルカの表情を見ると何を言おうかと迷ってしまうのだ。
食堂でもこの女が近くに座り俺や高垣に話しかけてくるせいで、ハルカは無言で食べている。
そしてとっとと食べ終わらせたハルカは
「先に戻るね」と言って一人で行ってしまうのだ。
そして最近、ハルカに絡んでいる男子がいる。
E組の横田だ。
1人でいるハルカに何か言っているようだがハルカの顔は浮かない。
あいつはなんなんだ?
***
「ハルカ!久しぶりに一緒に帰らない??」
「もちろん!」
ミヤコとは久しぶりに会った。テストが終わり、バトミントンの練習や試合で忙しくしていたからだ。
「あっ」
靴箱を開けるといつものようにメッセージが。身の程をわきまえろだって。身の程ってなんなのよ、ただの女子高生なんですけど。メッセージなんていうのやめよう。悪口手紙だこんなの。
「どうしたの?」
「なんでもなかった!今行くね!!」
ミヤコに見られちゃうと思って私は急いで靴箱を閉めた。これは明日の朝捨てればいい。
***
「あれ?なんだこれ?」
中川さんの靴箱に何か挟まっている。
ラブレターかな?だとしたらこっそり始末しておこうかな、なんて考えながら僕はその紙を広げた。
身の程をわきまえろ?
なんだこの内容。ラブレターにしては穏やかじゃないね。
最近の彼女は元気がなかった。中西くんと里中さんが教室でもベタベタするから、そのせいかとおも思ったけど、どうやらそれだけでは無かったらしい。
以前図書室に行くときにE組の横田になんだかよくないことを言われていることは知っている。
はっきりと何を言われたかは聞こえなかったけど、彼女の表情がこわばっていたのは見ていた。
僕は紙をぐちゃぐちゃに丸めてゴミ箱に捨てた。
中西くんや高垣くんは知ってるのかな?
きっと知っていれば動いているはず。僕しかまだ知らないよね。僕だけが彼女の味方になれるのか。
***
「あれ・・・?」
あれから靴箱の悪意のある手紙はぱったりと届かなくなった。
飽きたのかな?環境に悪いって気がついたのかな?
どっちにしたって私のストレスはひとつ減ったのだ。ラッキー。
今日は選択授業だ。
ミヤコ・高垣くん・川上くんと私のグループはまとめがほとんど終わっていて、最近は空いた時間で違う勉強をしたり話したりして過ごしている。
「新太ぁ〜結衣もここ教えて欲しい〜」
「お前は自分のことやれよ」
「でもみんながやってくれてるもん」
結衣ちゃんのグループはまだまだ終わっていないけど、なんだかんだ理由をつけて私たちのグループにやってきて、今はは一緒に勉強している。
結衣ちゃんがいなくても同じグループの男子が課題はやってくれているみたい。
そしてその内の1人が、あの男子なのだ。悪口手紙の。
たまに私のことをじっと睨んでくる。
手紙はやめたのに、まだ私に何か言いたいの?
「あ〜どっか行ってくんないかなぁ」
「千堂さんこわ〜い!」
ミヤコはさっきから何回もシャープペンの芯を折っている。力を込めすぎて。
いつか手が出そうだ。
「ミヤコ、ちょっと調べ物があって、図書室行きたいんだけど・・・」
「うん!行こう。今すぐに行こう。ちょっと自販機も寄ろう」
「俺も行きたい!」
「え〜新太が行くなら結衣も!」
「高垣、お前は残ってろ。ジュース買ってくるから」
ミヤコは机にバン!!っと消しゴムを叩きつけ、私を連れて教室をでた。




