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10年ぶりに再会した幼馴染について誰かに説明したい  作者: Cani
ハルカ、高校二年生
113/113

全ては田中さんの手の上で

大変ながらくお待たせしました!年に1回の更新ってどう言う事やねんって一番私が思っています、申し訳ありません!!!!読んでいただけたら嬉しいです。

 

「早川祭後半戦の体育祭の幕開けじゃー!B組いくぞー!」

 あっという間に体育祭になってしまった。新太くんの元気な声が待機しているA組まで聞こえてくる。あれから私は普通にゆうや馨くんとは話している。

「日差しがきついね」

「そうだね」

「晴れてよかったね」

「そうだね」

「・・・」

 嘘です。やっぱり平然を装えていません。最低限の会話のみです。いつも通りにしたいのに私のバカー!

 そして、相変わらずゆうには返事ができていない。けど、ゆうから返事を急かされるようなことはなかった。っていうか急かされるほどの会話ができていない。返事って何かと言うと、あの告白の。


「中川さん。ちょっと作戦会議しよう」

「ありがとう!」

 私は今年も二人三脚に出る。ペアは田中さんとだ。ギクシャクした空気が気まずくて、私を呼んでくれた田中さんに感謝の気持ちしかない。

「作戦会議って?」

「いやいや、最近のあの空気感なに?中西と、川上と」

 ずいっと詰め寄る田中さんに気圧されて、一歩後ろに下がってしまった。

「な、なんのことかな・・・?」

「分からないとでも思ってるの?何かありました!って感じなんだけど。ちなみに後夜祭の後から。もうね、ラブの香りがするのよ」

「ラブですか・・・」

 ラブって、あのラブだよね?だよね?

「いやぁ、何のことだか、あはは…」

「笑えてない笑えてない」

 ラブの香りって何!?一体何!?

「あの、それって田中さんが特殊能力とかで感じてる…?」

「あー、だったらよかったね。これ多分クラスメイトほとんど思ってると思う」

「げ」

 ラブの香りって一体何?そう聞こうとしたけれど、運悪く二人三脚出場者の集合がかかってしまった。

 私は平静を装いながら田中さんの右足と私の左足をロープで括る。

 ・・・括ろうとしたけど、なんだかうまく結べなくてモタモタしてしまった。

「やばいって、全然結べてないって。そんな動揺させるつもりなかったよ。ごめん」

「いや、動揺なんてそんな」

 二人三脚が始まる。息を合わせて走るクラスメイト達をぼんやりとみてしまう。心臓だけドキドキうるさくて、別人のようだった。

 前のチームが折り返して戻ってくる。よーし一旦気持ちを切り替えて、今は競技に集中・・・!


「で、中西とキスでもした?」

「うぇっ!!?」

 右足に鋭い痛み。砂のパサパサした匂いが鼻いっぱいに広がって、そして口には鉄の味。数秒してやっと転んだと理解した。これ絶対唇切った。

「い、いてて・・・」

「ご、ごめん田中さん!」

「いやいや、これは私が悪かった。ごめんね、重いし痛かったね」

 田中さんは私の上に重なるようにして転んだようだった。

「めっちゃ血出てるよ!?これパスしよ!」

 素早く襷を脱いだ田中さんは次のチームに襷を投げた。

「ほんっとにごめんね。私が中川さんからかいすぎたせいだよ」

「私は大丈夫だよ。田中さん怪我ない?」

「大丈夫。ごめんね」

 私たちは謝り合いながら、ヨタヨタとグラウンドの端っこへ捌ける。ちょっと視界に入った右膝は擦りむけていて、だらだらと血が流れていた。

「歩くの痛いと思うから、私救護室で絆創膏もらってくるね」

「ありがとう」

 田中さんも私の道連れになって転んだのに、絆創膏をもらいに救護室まで走ってくれた。


「ハルカ・・・!」

「ゆう・・・」

「派手に転んだな。ほら」

 さっと私に背中を向けてしゃがむゆう。こ、これはひょっとして乗れということ!?

「む、無理だよ!」

「無理って、ばかそんな事言ってる場合じゃないだろ。一旦洗いに行かないと」

「だ、大丈夫だよ。田中さんを待ってるんだから」

「早く洗わないと、ばい菌が入るだろうが」

「うわっ!」

 ゆうは私を抱え上げた。こ、これは欲に言うお姫様抱っこというやつでは!?

「恥ずかしすぎる!おろして!」

「おとなしくおんぶにしておけばよかったのにな」

「ちょっと!」

 恥ずかしすぎる!ど、どこに捕まるのが正解!?っていうか重いよね?


「中川さん、お待たせ!おー!中西やってんね!」

 手に大きな絆創膏を持って田中さんが戻ってきた。

「遅いぞ田中」

「ちょ、田中さんになんてこと言うの!」

 田中さんはニヤっと笑う。

「中川さん大丈夫。元はといえば私が悪かったんだから」

 田中さんは、あとは中西に頼むか、と言いながら私に絆創膏を握らせる。

「ね?私が中西とキスした?なんて聞いたからびっくりしちゃって転んじゃったんだよね?本当ごめんね!じゃあね!」

「なっ!?」

 ゆうの体がびくんと跳ねて、その反動で私のガクンと体が下に落ちそうになる。反射的に慌ててゆうに捕まる。

 耳まで真っ赤になっているゆうの顔が視界に入ってしまい、ますます居心地の悪くなった私は最早お姫様抱っこなんて忘れて絆創膏で隠れもしない顔を隠すしかなかった。

「あー・・・もう」

 思ったより近くでゆうの声が聞こえてしまい、ドギマギする。田中さーん!!


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