花火の余韻だけじゃなくて
どうしてあのタイミングで言ってしまったんだ・・・。大切に大切にしてきた気持ちだったのに。
花火のせいで気分が昂ってしまったのか。
俺のためにと可愛くしたハルカがいじらしくて。
鈍いハルカのことだから、急に好きだと言われて驚いただけ。そう思った。
すぐに返事を貰えなくても大丈夫だ。ひょっとして、花火の音がうるさくて聞こえていなかったのかも。そんなはずない、少なからず驚いている表情はしていた。
「ゆう、ハルカちゃんは?ちょっと、ゆう!?」
馨の言葉に返事をする余裕もなく、俺はカバンを持って教室を後にした。
「あぁ、わかった。ハルカちゃんに振られたんだ?」
馨は振り向かないままそう言った。
「そうなんでしょ」
「・・・振られては、いない」
「何それ」
そう、振られてはいない、と思う。返事がないだけ。
あのまま一緒にいることが今は辛かった。
追いかけてくれるかも、なんて女々しいことを思いながら教室へ戻ったけど、ハルカは来なかった。
それってそう言うこと、なのか。
「なぁ馨・・・」
俺は馨の方へ歩いて行った。
「何?」
「俺って、振られたの?」
「えっ・・・ほんとに?」
***
「ハルカー!」
ミヤコがニヤニヤしながらこっちに向かってくる。
「なんだかんだ言って中西といい感じだったじゃん!っていうかメイクかわいいね!」
ケータイの画面を見せるミヤコ。花火をバックに手を繋いでいる私とゆうの姿がばっちりと収められていた。
写真だけ見ると、なんだか付き合っているみたいだ。
「ミヤコォ・・・!」
「えー!ちょっとなになに!?」
私はたまらなくなってミヤコに抱きついた。
「好きって言われた・・・」
「え?ええー!?」
大きな声で叫ぶミヤコの口を急いで塞ぐ。私だって今すぐ叫びたいよ!
「誰が、誰に!?」
「ゆうが、私に」
「ええ!!それでっ?答えは??」
「どうしよう・・・!」
「きゃーー!もう今日はハルカの部屋泊まる!!」
ミヤコは私と両手を繋いでくるくる回り始める。
「ミ、ミヤコ・・・!」
ちょ、頭がぐらぐらしてきたよ!!
そのまま本当にミヤコは私の部屋にきた。これって、無断外泊なんじゃ・・・。
「ミヤコ、門限あるでしょ?」
「ふふふ、スポーツはチームプレーですから!!」
詳しいことは聞かないことにしておく。
全てミヤコに話した。全てというのはつまり、馨くんに抱きしめられたこともだ。
話していて思ったけど、私どっちつかず過ぎじゃない?
「気になる同級生・・・振り回す幼馴染・・・!いいねぇ!!」
ミヤコの目がキラキラと輝いているのは気のせいではないでしょう。
「楽しんでる・・・?」
「当たり前じゃん!こんな楽しい話ある!?まさかの川上にも抱きしめられているし!ハルカモテモテじゃん!で、どっちの方がドキドキした?」
「正直、ゆうのせいで、馨くんに抱きしめられたドキドキは飛んでいってしまったよ・・・」
「衝撃デカすぎだもんね。今までは川上が一歩リードしていると思っていたけど逆転したんじゃない?」
積極性ってやっぱり大事だよね、とミヤコは1人で納得してジュースを飲む。
「私って惚れっぽいのかな。どっちにもドキドキしていたなんて、悪い女じゃん・・・」
「もう!前も言ったけど、いいのよ!ドキドキするのなんてタダなんだから」
「これって返事しないとだよね?」
「うーん、でも急がなくていいんじゃない?ハルカの気持ちが一番大事なわけだし」
「そうかな・・・。手を離してゆうは帰っちゃったけど、すぐ返事をしなかったから嫌だったのかな」
「もー!ハルカってば恋愛になるとネガティブなんだから。照れてるだけよ、大丈夫!とことん考えたらいいじゃん。まぁ付き合ってみてっていうのもありだと思うけどね」
ミヤコはパッキンアイスの片割れを私に渡す。2本目だよねと思ったけど、相談料にしては安すぎることに気がついて、何も言わないことにした。




