ミツドモエ
「ハルカちゃん、それ頂戴?僕ゴミ捨て行ってくるよ」
「ありがとう」
後夜祭までの時間みんなで片付けを始める。飾り付けが少ないからすぐ終わる。ゴミを纏めていると馨くんがゴミ捨てを買って出てくれた。ありがたい。
「先にゆうとB組の片付けを手伝いに行ってるね」
「うん!追いかけるね」
B組はお化け屋敷だったからきっと片付けが大変だろう。ゆうが廊下へ出て行くところが見えて追いかける。
「ゆう、B組の片付け・・・」
廊下に出てから後悔した。
「あ、あのさ、一緒に後夜祭に行かない?」
他のクラスの女子に後夜祭のお誘いを受けているところだったのだ。確かあの子ってD組からミスコンにでていた子だよね。可愛い。
「俺、もう一緒に行く人決まってるから。無理」
「それって誰なの?」
ゆうは質問に答えないままくるりと振り返ってこっちへ戻ってきた。
「また覗いてんのか」
「たまたまです」
ぽん、と頭に手を置かれる。ちょ、バシバシしないで。
「痛いし髪の毛ボサボサになるじゃん」
「覗きの罰」
「罰って・・・ところで後夜祭誰と行くの?さっきの子断ってたじゃん」
「本当にちゃんと覗いてたんだな。後夜祭はハルカと一緒に行くに決まってるだろ」
「え!初耳なんだけど」
「去年バックれたのは誰ですか」
バックれたわけじゃなくて結衣ちゃんに資料室に閉じ込められていたんですけど・・・。
「今年は誰にも邪魔されたくない・・・ハルカを独り占めしたい」
そこまでいうと、ゆうは何も言わなくなった。どうしたんだろうと慌てて顔を見ると、ゆうが1人で耳まで真っ赤にしていた。
「ちょっと、言いすぎた」
「え」
「ハルカが鈍すぎるから、いろんなことを言わなくちゃいけなくて大変なんだよ!」
急に大きくそういうと、ゆうはB組の方へ向かっていき新太くんからゴミを奪い取って捨てに行ってしまった。
い、今のってどういう意味!?
私を独り占めとは・・・?鈍いとは・・・?そしてどうしてゆうはあんなに照れてるの?
「後夜祭楽しみだねー!」
「いいなぁまゆこは拓也くんと?」
「えへへ」
「後夜祭って本当リア充のイベントだなぁ。私も彼氏欲しい〜」
「後夜祭のラストダンスの時に好きな人と踊ると両思いになる率アップするって言うよねー」
「じゃあラストダンスの時間になったら良さげな男子誘ってみようかなー!」
「誘っちゃえ誘っちゃえ!そして付き合っちゃえ!」
「早く片付け終わらせて、リップ塗り直さなきゃ」
「行こ行こー」
ゆうのせいでいつもなら気にならないようなイケイケ女子の会話も、やけに耳に入ってしまうのだった。
***
あー最悪だ。あんな風に言うつもりはなかったのに。流石に俺がハルカのことが好きって分かったかな。いや、ハルカは本当に鈍い。
「あれ、ゆう・・・」
先にゴミを捨てにきていたのだろう、馨がゴミ捨て場から戻ってきていた。
「どうしたの、なんかあった?」
馨は本当に勘が鋭いと言うか、よく人を見ているから些細な変化でもすぐに気が付く。
「後夜祭、ハルカといる」
「だめだよ。僕がハルカちゃんといるんだから」
俺の言葉を聞いて馨はキラキラとした目を細めて俺を睨んだ。馨もハルカのことが好きだ。そして新太も。お互い牽制しあっているからこそ今の関係性になっているところもある。
「なぁ、ハルカが誰かのものになったら俺たちの関係も変わるのか?」
「さあね。最初は口聞かないかもね。でも僕の恋人になってくれたら自慢しまくる」
なんとも馨らしい。ハルカは馨のことを優しいっていつも言っているけど、こいつも中々の性格をしていることをバラしてやりたい。
「先に言っておくけど、僕はそのうちハルカちゃんに自分の気持ちを伝えようと思っているからね」
「それっていつだよ」
「言うわけないじゃん。ま、焦って自爆しないようにね」
馨はそう言うと先に教室へ戻っていった。
***
「は、ハルカちゃん?」
「え?あ、ああ!ごめんね新太くん」
ハルカちゃんの様子が変だ。片付けの手伝いに来てくれたのに、何もないところをずっと拭いてる。
「あ、そういえば。ハルカちゃんあのさ」
俺はごくりと唾を飲む。そう、この後は後夜祭なのだ。
「後夜祭、俺と一緒に過ごさない?」
「こ、後夜祭!?あ、えっと。えっとね後夜祭は、その・・・」
「うん?」
後夜祭という単語を聞いた瞬間分かりやすく動揺するハルカちゃんに俺が動揺してしまった。え、この反応は、何!?
「その、ゆうと一緒に行くことになってて・・・」
「ええ!!」
まさかの先客!しかもゆうっておい、抜け駆けしまくってんじゃねぇか!しかもハルカちゃんめっちゃもじもじしてて可愛い・・・。




