チームワークがすごい
「おいみんなー!染谷がじょ、女性と一緒にきてるぞー!!」
はっぴぃタピオカ1号店なる看板が見えると、染谷くんのクラスメイトだろう受付の男子が大きな声で叫んだ。ちょ、やめてくれよ、みんな見てるじゃないか。
「みんな!例の人だ!よろしく!!」
「うおおー!」
あれよあれよと言う間に注文を取られ座席に座らされる。なんか飾り付けがピンクでラブリーな感じだぞ。机の上にある立札には『カップルシート』と書いてある。待って待って、他の席あるじゃん!
「そ、染谷くん。これは一体全体・・・」
「えへへ、みんな俺のこと応援してくれてて。やっぱスポーツやっている奴らは情に熱いっす」
キョロキョロと周りを見渡すとみんなチラチラとこちらを見ていて、たまに染谷くんにグットサインを送っている子さえいる。
「それで・・・さっきの話なんだけど」
気恥ずかしくなってきたけど、私は勇気を出して染谷くんに尋ねた。そのためにこのはっぴぃタピオカ1号店に来たんだから。
「俺はハルカ先輩のことが好きです」
「そ、その心は?」
ごくりと喉が鳴ってしまった。
「まず、顔がタイプです」
「あ、ありがとう?」
「ハムスターみたいで可愛いし、あっ先輩なのに可愛いとか言ったら失礼ですか?」
「失礼ではないけれど・・・」
いや、ハムスターに似てるってちょっと失礼じゃないか?私そんな前歯出てないと思うんだけど・・・。
「とにかく仲良くなりたいんです!」
「え、それだけ?」
「きっかけならば十分じゃないですか!?」
ハムスター似の顔がタイプだから好き?初めて言われた言葉にときめきどころかガッカリさえしてしまった。ハムスターって。もっと可愛い子いるでしょう。
「染谷くんとはお付き合いはできません」
「ええ!なんでですか?」
「だって顔がタイプですって言われても・・・。ありがとうね」
「ちょっとちょっと、何終わりみたいにしてるんですか!」
染谷くんが大きな声で話すから、クラスメイトたちがざわついている。むしろなぜイケると思うの。
「始まってもないんだけど・・・」
急に目の前にタピオカミルクティーが置かれた。なんか黒すぎないかい?
タピオカを運んできた男子が私の顔を覗き込む。
「先輩!タピオカ2倍にしましたから、まずはお友達からでも染谷をお願いします!」
「ハルカ先輩!お願いします!」
なぜか染谷くんと一緒に頭を下げるその男子。なんだこの展開は。あれか、購入するまで店を出ることができない詐欺系のやつか。
別に染谷くんが嫌いなわけでもない。かと言って好きでもない。ただその感情を持つほど染谷くんという人を知らないのだ。
「お、お友達なら・・・」
後輩でお友達ってなんかよく分かんないけど。
「よっしゃー!お互いもっと中身も知って、仲を深めていきましょうね!ハルカ先輩」
パチパチとクラスメイトから拍手が送られる。大丈夫?付き合うわけじゃないよ?急いでタピオカを飲んだら咽せ込んでしまった。
***
「なんでハルカがこいつと一緒にいるんだよ」
「また出たな」
自分の教室へ戻るとゆうと馨くんがいた。
「それはお友達だからです!」
「違うでしょ、人探しのターゲットだったからでしょ」
「えーお友達になるって言ったじゃないですかぁ」
「言ったけど・・・」
「え、言ったの?」
私の返事に驚いたのか馨くんが目をまん丸にした。相変わらず不思議なきらめきのある瞳だなぁなんて呑気に思っているとゆうに肩を叩かれた。
「何?」
「なんでこうなった」
「付き合えないって言ったけど、お友達になって欲しいって言われて、それくらいならって」
「ば、か!ちゃんと最後まで断れよ」
「ゆうもはっぴぃタピオカ1号店に行けば分かるよ!断れないから」
「なんだよはっぴぃタピオカって」
「わかりません」
お店の名前の由来は染谷くんに聞いてください・・・。




