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10年ぶりに再会した幼馴染について誰かに説明したい  作者: Cani
ハルカ、高校二年生
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はじめまして、ですよね?

 

「もうすぐ文化祭だね」

「なんだか夏休み終わってから早いなぁ」

 私は馨くんと一緒に図書室のカウンターに座っている。今日は久しぶりの図書室当番なのです。

 今年の文化祭は人探しをすることになった。その人の特徴を書いた紙を渡して、校内のどこかにいるその人を見つけてくるというやつだ。

 大掛かりな準備も必要なく、去年と比べると随分楽に感じる。


「文化祭、体育祭が終わったらすぐに修学旅行だし、2年生もあっという間だよね」

「本当だね」

 もう来年は3年生かぁ。受験、受験、受験・・・。まだ先だというのにうんざりしてしまう。頭の端っこにベトナムの景色がちらつく。みんなと同じように日本の大学にいくという道の他に私にはベトナム行きがあるのだ。

 今決めることでもないか。私は気を取り直して返却図書の整理を始めた。


「僕、棚に戻しに行ってくるよ。こっちの貸出カードを新しくしていてくれる?」

「わかった」

 馨くんは返却図書を棚に返しにいってくれた。

 私は黙々と与えられた仕事をこなす。


「あのー」

 不意に声をかけられ俯いていた視線を持ち上げると、長身の男子がカウンター越しに立っていた。

「あ、はい」

「あ、あの俺、1年E組の染谷隼也です」

 背がすごく高いけど、一年生なのか。最近の子の成長はすごいなぁ。染谷くんは真っ直ぐに私をみたまま何かを言おうと口を開けては閉じる、と繰り返している。

「あ、あの・・・?」

 なんだかこの時間が気まずさを感じ、声をかけてみる。

 染谷くんは意を決したように深呼吸をしてから口を開いた。


「先輩のことが、好きです」

「わっ」

 私はガタッと椅子から転げ落ちそうになった。動揺しているのが丸わかりで顔がどんどんと赤くなっていくのがわかる。


「い、言っちゃったー!けど、本当です。俺先輩のこと好きです!食堂でよく見かけてて、それで可愛いなぁーって・・・」

「わ、わかった、わかったからちょっとストップ!」

 私は慌てて染谷くんの口を塞ぐ。カウンター越しで腕がつりそうだけど今はなりふり構っていられない。図書室では静かにって習ってないのかな。突然の告白が図書室全体に聞こえてしまっているのではないかとドキドキする。


「図書室で騒いだから、お前出禁な」

「え?い、いやです!」

「強制退室でーす」

 急に現れた馨くんが染谷くんの首根っこを掴んで廊下へ引きずっていった。


 え、染谷くんって私のこと好きなの?私1ミリも染谷くんのこと知らないけど??

 頭がパンクしそうだ。え、本当に私のこと好きなの?

 去年司先輩に告白した自分を思い出して、全然知らないけど染谷くんが勇気を出してくれたことだけはわかった。


 馨くんは戻ってくるとピシャリとドアを閉め、ものすごいスピードで私に詰め寄ってきた。


「ハルカちゃん」

「は、はい」

「何もされなかった?」

「あ、はい」

「あんのクソガキ・・・」

 いつもの優しい雰囲気はどこかにいって、馨くんは眼光鋭くドアの向こうを人睨みした後、どこかピリピリしたまま図書室当番を続けたのだった。



 ***



「ハルカちゃん帰ろうか」

「うん」

 図書室当番を終える頃には馨くんはいつもの優しい馨くんに戻っていて安心した。

 2人で玄関に向かうとゆうの後ろ姿が見えた。

「残念。今日はハルカちゃんと2人っきりで帰りたかったのに」

 ゆうの姿を見た馨くんは拗ねるように唇を尖らした。いつもクールなイメージな馨くんのその表情がなんだか可愛く思えてクスクスと笑ってしまった。

「ハルカちゃん今バカにしてる?」

「してないしてない!可愛いなってちょっと思っちゃっただけだよ」

「僕は可愛いよりかっこいいがいいんですけど・・・」


「ハルカ」

 私たちの話し声に気がついたのかゆうが振り返る。のと同時に下駄箱の向こうから人がこちらを覗き込む。

「ハルカ先輩!」

「あ」

「さっきのクソガキ・・・」


 私たちの反応を見てゆうも染谷くんの方を見る。

「こいつ何?」

「1年E組染谷隼也です!」

「元気いいな」

「そういう問題じゃないから」

 ずいっと馨くんが染谷くんに詰め寄る。

「さっき言ったよね?ハルカちゃんにちょっかい出すなって」

「はぁ?ちょっかい?」

 馨くんの言葉を聞いて、ゆうの顔色が変わった。

「俺は、ハルカ先輩が好きです!」

「あ、また言った」

「ちょ、ゆう!?」

 ゆうは何も言わずに私の手を掴み、引っ張るようにして玄関を出た。

「あー!置いていかないでよ」


「ハルカ、あいつと付き合うの?」

「今日初対面だよ!」

「また余計な奴が出てきた」

 振り向くと馨くんの向こう側に子犬のような顔でこちらを見つめる染谷くんが見えたけど、私はすぐに前をむいてしまった。

 ゆうの歩くスピードが早くて転ばないようについていくのに必死だったからだ。


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