お土産は旅行の醍醐味である
「あ、いたいたー!」
「ハルカちゃーん!」
おかえりなさいハルカちゃん、と書かれたカラフルな横断幕を持って立っていたゆうのパパとママを見つけるのは本当に簡単だった。ちょっと照れてしまう。
「おい」
声が聞こえて横を見ると、ゆうが壁に寄りかかっていた。
「なんでパパとママと別にいるの?」
「あいつらと関係者と思われたくない」
「ハルカちゃーん!無事で良かった!会いたかったわぁ!」
「よーし今日は僕が美味しいお肉食べさせてやるからなぁっ!」
ゆうのママは私を抱きしめてブンブンと左右に体を揺すった。ちょ、ちょっと酔いそう。
「やめろよ」
「せっかくの再会なのにぃ。邪魔しないでよ」
ゆうはベリッと私の体をゆうのママから引き剥がした。ゆうのママ・・・私は嬉しかったよ。
ゆうはそのまま私の持っていたスーツケースや手荷物を掴んだ。
「荷物持つ」
「あ、ありがとう」
お土産がたくさん入ってあんなに重たかった荷物をゆうは軽々と運んでいった。
あれ?ゆうの腕ってこんなに筋肉質だったっけ?なんだろう、久しぶりに会うからかな?
「あ、ハルカ」
急にゆうが振り向く。
「何?」
「おかえり。あとで写真見せて」
ゆうがあんまり優しい笑顔だったから驚いて胸がドキドキした。
「ハルカちゃん聞いて〜。ゆうったらね、ハルカちゃんに会えない間筋トレとばっかりやってたのよ!」
「うるっさい!」
ゆうだけじゃなくゆうのママとパパにもクオンさんについて根掘り葉掘り聞かれたのはまた別の話。
***
「ミヤコ・・・」
「ハルカ久しぶり!ベトナム楽しめたー?」
「もー!どうして教えてくれなかったのーー!?」
「えへへ」
こんにちは。千堂ミヤコです。
夏休みも終わり学校が始まりました!そんな中、突然ですがハルカが珍しく私にプリプリしているのはなぜでしょうか。
『女子バトミントン個人千堂ミヤコさん全国大会出場』
大々的に掲げられている横断幕。そうです。そうなんです。私千堂ミヤコはこの度、女子シングルス全国大会出場となったのです。
驚かせたくて、登校日まで言わずにいました。
「大会のことあんまり話してくれないから、どうなったのかと聞きにくかったのに・・・」
そんな気を使ってくれていたのね。ありがとうハルカ。大好きよ。
私はハルカを抱きしめて頭をぽんぽんと撫でた。
「朝から何やってんだ?」
そんな私たちを見つけて高垣と川上が近づいてきた。なんだかんだ仲良いよね。
「あ、おはよう。馨くん、新太くん」
「せっかくのハルカとの友情タイムだったのにー」
「友情タイムってなんだよ」
「ハルカちゃんベトナムたのしかった?」
「うん!お土産あるから昼休み渡すね」
「やったー」
こいつらは本当にいつも遠慮なくハルカとの時間に入ってきちゃってさ。遠くに中西の姿も見える。
「ミヤコにはね、選べなくてお土産たくさん持ってきちゃった!」
「えっ。ありがとう」
にこっと笑うハルカを見て、男どもへの負の感情はどこかにいっちゃった。
***
「じゃあみんな横並びになって」
昼ごはんも終わり、ベトナムのお土産を渡す時がきました。みんな私の言う通りに横並びなる。
私は持ってきた袋をガサゴソと漁る。
「まずはこれはみんなにあります。ベトナムのチョコレートとココナッツキャンディです」
横並びになったみんなの前に一つずつお土産を並べる。
みんなパッケージがかわいいだの、珍しいだの、いろいろ言ってくれて嬉しかった。
ベトナムは可愛いものが多くて、ゆう、新太くん、馨くんに選ぶのが大変だった。
「悩んだ末、ボールペンとインスタントのフォーと、向こうで食べて感動したエビのラー油みたいなやつにしました」
口にあうといいんだけど・・・。トントントンと3人の前に順番に置く。
「ハルカちゃん、色々ありがとう」
馨くんはお土産を抱きしめてペコリとお辞儀をする。なんかかわいい。
「ボールペンが異様に描きやすい」
ゆうは食堂の紙ナプキンにぐりぐりとボールペンで円を書いていく。インクの出が良いみたいで良かった。一応ハロン湾の夕日デザインです。
「ハルカちゃんからのお土産なんて、もったいなくて使えないし食べられないよ!俺、飾っとくね」
「いや、ちゃんと食べろよ」
ゆうの鋭いツッコミにみんなで笑ってしまった。
「ミヤコにはこれです」
私はカラフルなプラスチックカゴを取り出した。
「綺麗な色ー!え、なになに、中にめっちゃ入ってる!」
ベトナムは可愛いものが多くて、ミヤコには選ぶのが大変だった。全部あげたくなってしまうくらいカラフルで可愛いのだ。
物価が安くて色々買ってしまいました。
「ココナッツ石鹸と、クレイパックと、刺繍が可愛かった巾着と、それからリップクリームです!」
「きゃー!こんなにいいの?」
「ミヤコに選ぶの本当楽しかったよ!」
ミヤコがきゃっきゃと喜んでくれて嬉しい。
「女子って感じのラインナップ」
「2人とも女子女子してて可愛い」
「クオンさんが一緒に選んでくれてさぁ」
通訳やガイドツアーをするだけあって、クオンさんはベトナムの流行りとかお土産にすごく詳しかった。
「クオンさんって?」
「向こうで仲良くしてくれた人だよ」
馨くんに聞かれて答えると、間髪入れずにゆうがクオンさんは男である情報を付け足す。その情報重要?
「ハルカ、ちょっとその話詳しく教えてよ!」
「僕も聞きたいです」
「俺も!」
急に詰め寄られてドギマギしている私は昼休みが終了する予鈴に助けられ、逃げるようにして教室に戻るのだった。
昨日は久しぶりの更新にもかかわらず、多くの方に読んでいただきありがとうございました!嬉しかったです!Cani.




