変に気が利く友人っていませんか
無事当番の時間が終わり、会議から戻ってきた司書の先生とバトンタッチをした。
「じゃ、じゃあ私、帰るね」
「う、うん。あのさ、中川さん何か困ったら、いつでも言ってね」
「あ、ありがとう」
川上くんと図書室の前で挨拶をして、私はダッシュで下駄箱まで向かった。
「おい」
「はい!ってゆうか」
「遅い」
「待ってたの?」
「別に」
ゆうはそのまま歩いていく。
私は慌てて靴を履き替え、ゆうを追いかける。
「図書当番ってこんな時間まで何やるんだ?」
「貸出とか、返却した本を戻したりするの」
「あいつと2人で?」
「あいつって川上くん?当たり前じゃん。同じ委員なんだから」
「ふーん」
そう、今後も川上くんとは2人で図書委員をやるのだ。
先ほどのことを思い出して、また顔が熱くなるのを感じる。
「ハルカ、顔赤いぞ?」
「え、いや~あはは、大丈夫大丈夫。というか、ゆうは何でこんな時間まで残ってたの?」
「・・・別に」
寮に戻った後も、私は川上くんの握られた指の熱さを思い出しベッドで両足をバタバタとしてしまった。
ドン!と床から音がして、また下の人に迷惑をかけてしまったことを自覚するが、川上くんのキラキラしたきれいな目や、意外に白くて大きくてすべすべしている(ように思えた)手のことを考えると、バタバタすることをやめられなかった。ごめんね下の人。
***
それから私は川上くんを意識しまくっている。
選択授業の歴史のグループワークも、机をくっつける時は真向いにならないようにしたり、目が合った時は思いっきり目を逸らしてしまった。
さすがに不審すぎたのかミヤコにこっそり声を掛けられる。
「ハルカ、あんた川上と喧嘩でもしたの?」
「ちがうちがう!」
ミヤコは感がよさそうだから、ドキドキする。私の中身がすべて透けているんじゃないかと思う。
どぎまぎしながら授業を終える。
「なるほどね」
「ん??ミヤコ??」
「いやいや、なんでもないよ。明日のフィールドワーク楽しみだね」
私たちはこの地域の伝統行事について調べることにしたのだ。
明日、グループのみんなで地元の資料館に言ったり、地元の神主さんに話を聞くことになった。
***
翌日、待ち合わせ場所に行くが、川上くんしかきていない。
「中川さん、高垣くんは先に寄るところがあって、二手に分かれようって連絡きた」
「そ、そうなんだ」
「千堂さんも高垣くんと一緒に行くって」
「え!!そ、そうなんだ」
ピロン!とケータイが鳴る。
『高垣のことはこっちで任せて!川上と二人っきりだね、楽しんで!』
ミヤコからだった。
ご丁寧にハートマークまでついている。
「じゃあ行こうか」
「はい・・・」
「二手に分かれようってなった時、僕が決めたんだ。中川さんと行くって」
なんですと??
「最近、中川さん僕のこと避けてるから・・・」
ぎくりとして固まってしまった。バレてた。そりゃあんだけあからさまならそうか。
「ご、ごめん・・・。避けるつもりじゃ・・・」
「本当?この間のことで嫌われたかと思った」
「この間って?」
「指、触っちゃったから」
川上くんも気にしていたのか。
「どきどきはしたけど、嫌いになってないよ」
「どきどきはしてくれたんだ?うれしい」
「ん?」
川上くんはにっこりと笑って、行こう、と神社の方へ歩き出した。
どういうこと??




