消し飛びなさい
最近書けてなかったので、設定忘れてないか不安。
さて、これからどう攻めましょうか…
警戒すべきはあの筋力、それと使えるか分かりませんが精霊術。
精霊術は若返りの方に力を集中させている様なので、使えないと本当にありがたいのですが。
魔女は笑うと周囲に黒い魔素の玉を生成し、こちらへ投げてきます。
「そう都合良くはいきませんか…」
はい、使ってますね…思いっきり、そこは使えないで欲しかったです。
バンバン使ってるじゃないですか…
テュファネはその場からすぐに離れ、逆に私は魔女の方へ全力で突っ込みます。
魔女の放った黒い玉は私に当たる直前に全てテュファネの魔素を纏った矢によって撃ち落とされます。
やっぱり優秀な相棒がいると安心して戦えますね。
魔女の目の前までたどり着いた私は首に向けて剣を振ります。
魔女は先ほどより鋭い一撃を警戒したのか、紙一重でかわし、後方へ飛びます。
「逃しません!」
私は即座に手のひらに炎系の魔法を発動し、魔女へ投げる様に放ちます。
魔女は円形の黒い影を盾の様にし防ぎますが、すぐに背後から迫っていた矢が肩に突き刺さります。
「背中がすっきだっらけ〜♪か・ら・の…」
矢は一瞬赤く光り輝き大爆発しました。
「どっかーん!なんちゃって」
「うわぁ…」
テュファネは舌を出してテヘッとでも言いそうな顔をしています。
とりあえずこれで隙ができたので、私は即座に剣を魔女に向けて投げます。
魔女は即座に盾に使っていた影を剣に変形させ振り上げるように私の剣を真上へ弾きます。
「胴体がガラ空きですよ」
私は全身に強化魔法を使用して母から教わった、対変質者用の技を繰り出した。
「母直伝の必殺技!ぶん殴りによる内臓破壊!」
私の拳は魔女の腹部に突き刺さる様に入り、吐血しながらヨロヨロと後方は下がります。
「私、体術も得意なんです」
「うわっ、こわ…」
怖いとは何ですか、怖いとは。
私はくるくると真上から落ちてきた先ほど弾かれ剣を掴み、すかさず魔女の首へ剣を振ります。
が、魔女は体勢を立て直し影の剣で私の攻撃を受け止めます。
「くっ…!」
拮抗した剣がギリギリと火花を散らします。
内臓破壊による傷は完全に癒えていないはずなのにこの強さとは、恐れ入ります。
ですが、先へ進むためには貴方は邪魔です。
「はあぁぁぁぁ!」
私は全力の身体強化で剣を押し切ろうとしますが、魔女も魔物の魂による強化を行い、抵抗します。
そしてお互いの剣が弾かれ、衝撃で後方へ吹っ飛び距離が開いてしまいます。
仕留めるには今が絶好の機会、ここで失敗するわけにはいきません。
「テュファネ、離れていてください」
私は密かに練習していた技を使うことを決め、両手を魔女へ向けます。
「精霊さん準備はいいですね、やりますよ」
私の服の中からひょこっと出てきた精霊さんは左手に乗ります。
「アルの精霊、何気に初めて見たかも…」
軽い精霊術なら精霊を召喚せずとも使えますからね。
私は左手に魔素、右手に魔力を集めます。
この同時作業がまだ精霊さんの補助なしでは完全には行えないので、要練習です。
両手の魔素、魔力を完全に同じ量に調整し、一つにくっつけます。
その瞬間、反発する二つの力に手を弾かれそうになりますが、抑えつけ慎重に二つを混ぜ込みます。
これは名付けるならそう、精霊魔法です。
魔女も何かを察したのか、両手を前方へ向けて魔物の魂を集めます。
若返りに使っていた力もそちらに回しているようで、どんどん体にシワが増えていき完全に元の状態に戻ります。
向こうも本気ということが分かります。
そして魔女は全力の一撃をこちらへ放ちます。
迫り来る攻撃を目の前に私も完成した精霊魔法を放ちます。
「消し飛びなさい」
私の放った一撃は、そのまま一直線に魔女の攻撃もろとも魔女を飲み込みました。
そして跡形もなく消し飛びます。
「ふぅ…疲れた」
やはりこの技は疲れます。
「アルアルアル!なに今の!すごいよ!」
後ろで見ていたテュファネは目をキラキラと輝かせ私の肩を掴んでぶんぶんと振ります。
あ、やばい、ただでさえ体力が底を尽きてるのにそんなに降られたら…!
「ちょっ、やめてください、あ、やばいやばい、乙女として出てはいけないものが出てきそうです!」
「ね〜!教えてよ〜!」
テュファネめ、興奮で全然私の言葉を聞いていない!
戦闘に加え、先の精霊魔法による疲労で、テュファネに振り回され気分が悪くなってきました。
「あっ」
ーーーーー乙女の事情で割愛。
「ごめんって、怒らないでよ〜」
「……」
44層と45層の間にある階段で、私はふて寝していました。
例え同性とはいえ、見られたくないものもあります。
「許してよ〜」
少し涙目になっているテュファネを尻目に私は疲れによる眠気に抗えず眠りに落ちてしまいました。
目を閉じる直前、先ほど見た時より顔の輪郭がハッキリした黒いモノが見えたような気がしました。