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『Holy Nights 』  作者: 弘せりえ
4/40

第4話「大ヒットの予感」

主題歌が決まった数日後。


 益子かれんが、

 事務所を通して、

 純に会いたいとアポを

 入れてきた。



「さすが、肉食系かれん。

 食われんなよ、純」



 洋介はちょっと心配そうに、

 ほぼほぼ愉快そうに言った。



 そんな洋介に、

 純はムッとして答える。



「オレ、バイだからね」


 

 洋介はニヤリと笑う。



「まぁ、何事も芸のこやし、さ」




 大女優かれんの依頼に、

 純の事務所は

 Welcome状態だった。



 互いのスケジュールを

調整して1週間後、かれんは純のいる

大手プロダクションMJ企画にやってきた。




 初めて生で見るかれんは、

30過ぎとは思えないほど

若く美しく、そして何より、

輝かしいオーラを放っていた。


 

純は久しぶりに女性を美しいと思い、

そのパワーに吸収されそうになる。



「益子さん、初めまして」



「かれん、で結構です。

国沢さんは、純さんでいいかしら?」


 

純はかれんより年上だったが、

芸歴でいうとかれんの方が先輩だった。



「は、はい、かれんさん、

よろしくです」




 かれんは純に会いたかった

理由を告げた。



純はびっくりする。


「僕の曲に合った女性像・・・?を、

かれんさんが演じるんですか?」


  

かれんは、台本より、

純の描いた女性像に惹かれたらしい。



「参ったなぁ、台本に沿って

作ったつもりで、それ以上でも、

以下でも困るんだけど」


 

 かれんはくすっと笑った。


 

「岡田ユウジと同じく、

 弱気なんですね」



岡田ユウジとは、純の代わりに、

人気俳優、谷本はじめが演じる、


 ドラマの男主人公である。


「そりゃあ、かれんさんの

 演じる好実このみより強気な男は

 いないでしょ!」


「あ、ちゃんと台本、

読んでくれてるんだ」


かれんのいたずらっぽい微笑みに、

純は自分と同質の異性を見いだす。



ちょっと押され気味の純を、

かれんは逃さない。



「・・・純さんって、

 何で独身なんですか?」



いきなりプライベートに

話しを持っていかれ、

純はあたふたする。



大の男のその姿は、

かれんにはさぞかし

面白かったのだろう。


「やだー、マジメに答えなくて

 いいんですよ。


 ゲイだから、とかで世間には

 通用してるし」


 

 追い打ちをかけるかれん。


 

「ゲ、ゲイじゃないですよ、

 バイなんです」



思わず、洋介に言ったのと

同じセリフを初対面のかれんに


 暴露してしまう純。


 

かれんは声をたてて笑った。


 

「純さん、かわいい!!」


 すっかりかれんの手の平で

転がされている純。


 その時、マネージャーが

お茶を持って入って来て、


 やっと話は仕事のことに戻った。




 かれんの演じる役は、

岡田ユウジの恋人、三浦好実。


 ユウジのあこがれの女性であり、

いっとき相思相愛になる。


 しかし好実はかつての最愛の恋人が

事故死したことを知り、


 恋愛というものにピタリと

心の扉を閉めてしまう。


 本来なら、今つきあっている

ユウジがその扉を打ち開くべきなのだが、


 ユウジにはそれができない。


 

だんだん精神的に弱ってくる好実。


 それをオタオタと見ていることしか

できないユウジ。


 

好実の激しい拒絶に対する

ユウジの優しさと包容力、


 それがメインテーマであり、

恋愛を越えた人間愛を描く

ドラマなのだ。


 

かれんは愚痴る。



「はじめの演技もまずまずなのよ。

なのに、こう・・・お互い感情移入が

できなくて、脚本が悪いのかな、

なんて思っていたら、純さんの

主題歌が届いて、がーん!と・・・」


「がーん・・・と?」



「ああ、そうか、ユウジは

こんな気持ちで好実を想っているんだって


 わかったの。

そして脚本以上にしっかりと

表現された、気の強い好実が内に

秘めているデリケートな心情にも

納得して。


 脚本が悪いわけじゃないけど、

私やはじめと脚本の溝を


 埋めてくれたのが、純さんの歌なの」


 

「それはうれしいけど、

脚本家さんにはともかく、


 ドラマプロデューサーには

噛みつかれそうだな」


 「噛みつかれる? 何で? 

純さんは優勢なのよ。


 それに文句あるなら、

私が噛みついてやるわ」


 

本当にメスライオンくらいに

見えてきたかれんに、


 純はたじたじになる。


 

「僕の仕事は、その、

 裏方のもんであって、


 かれんさんのお話は

 とてもありがたいけれど、


 表舞台の人々のメンツを

 壊すわけにはいかないんです」


                     続

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