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転生したら制作途中の乙女ゲームだった件  作者: 桐生 楓
第一章
3/15

prologue02:目が覚めるとそこは...

 痛みを感じなくなり、ついに寒さも分からなくなった。


 宙に浮かぶようなふわふわとした感覚が長く続いた後、ふと胸に暖かさを感じた。

その熱は全身に駆け巡り、心地よさに微睡んでいたが次第に


 熱い、熱い、熱い熱い熱いーーー



「……ッ」




 その熱さに耐え難くなった私は目を覚ました。


 カッと目を見開き、そのまま視線のみで周囲を見回し、



 そして再び静かに目を閉ざした。



(なんっっか死ぬほど高貴な部屋にいるーーーーー!!!)


 車に轢かれて目が覚めるとお姫様がいるようなベッドに寝ていました。運が良くてICU行きだろうにこれは。


「…もしかして、天国…?」



 天国ならベッドで寝ているだけなんてもったいない、死んで尚何故かだるい身体を持ち上げて改めて部屋を見渡す。


 見るからに高そうな絵画と絨毯、窓から覗く景色には美しい庭園が広がる。美しいレースの掛かった天蓋に、なによりこの…ふっかふかのベッド!!


「私…!もうこのベッドから動かな「姫さま!目を覚まされたのですね…!」…え?」


 私の悠々自適な天国寝たきりライフの始まりに切って落とされた火蓋は、勢いよく部屋に入ってきた女性の声によってすぐさま元に戻された。

 ふわりと広がるロング丈のスカートに、純白のエプロンドレス。動きやすさと可愛らしさを兼ね備えたまとめ髪。まさに私が思い描く理想のメイド姿をした....メイドさんだ!!


「あぁ、よかった!一週間も寝てらっしゃったんですよ!具合はいかがでしょうか?お熱は?」


「えっと..少しだるいけど..大丈夫、です?」


 戸惑いながら私が答えると、メイドさんは私の額に手を当て熱がないか確かめると、濡れタオルで顔を拭ってくれた。


「熱は下がったようですね。本当に良かった..ちょうど今日に目覚めてくださるなんて、日頃の行いが良いおかげですね。私の。」


 そう言って茶目っ気たっぷりに笑った理想のメイドさんは、テキパキと私の身なりを整えていく。目まぐるしく変化する状況についていけないまま、言われるがままに身体を動かす私。

 しばらくするとどこに出しても恥ずかしくない、お姫様ルックになっていた。キュッと締められたコルセットを触りながら、私の中に1つの仮説が生まれる。

 これは。これは、もしかして...。


(死んで目が覚めると乙女ゲームに転生してたってやつかーーーー!)


 私の手を取りどこかへ連れて行くメイドさんの話もそこそこに、私の思考は流れていく。


(これ、なんの乙女ゲームだろ..?定番で言ったら最後にやってたアレだけど、思い入れで言ったら学生時代に寝食忘れてやったあの――)


 メイドさんがなにか喋っているが、今の私はそれどころではない。天国どころか、全霊長類女子の夢である乙女ゲーム転生を果たしたのだ私は!(多分)

まずはゲームタイトルを絞っておかないと、攻略がたてられない。昨今は「悪役令嬢転生」なんてものもあるらしいから、振る舞いに気をつけないと死ぬことも、、


「もう!姫様聞いてらっしゃいますか?!」


「っはい!何でしょうか!」


「やっぱり聞いていなかったんですね・・。いいですか?今から国王様の元に向かいますが、本日魔法使いのお三方がお越しになって、只今謁見中です。」


 ...ん?魔法使い?

魔法使いと....私...、私は...お姫様....?


「えっと、その魔法使いって」


「はい!姫様のお力になりたいと、火の魔法使いアルビレオ様、水の魔法使いベイド様、木の魔法使いファイ様が駆けつけてくれました!もう安心ですね。」


 とても、とっっても聞き覚えのある名前を口にしたメイドさんは、焦る私を気にもとめず玉座の間の扉を開いた。


いよいよ次から乙女ゲーム「7人の魔法使いとお姫様」スタートです!

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