表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴン・ファンタスティック  作者: 白魚
第3章  リバースと炎の魔女
16/46

  7

「それで紫苑は魔導士の未来よりも家族を優先した。そして、涼音ちゃんの正体というのが厄介なものでね。神懸かり。それも女神・メーティス。ギリシャ神話に登場する目が見であり、『叡智』や『思慮』及び『助言』を意味する知性の神だったんだよ」


 そう、これは紫苑から聞かされた話だ。


 メーティスの事についてはそれ以上聞かされていなかったと思う竜二に、サーシャが微笑む。


「それにしても神懸かりは相当なレアな存在なの。普通の人間に神が選ぶわけじゃないのだけれど、メーティスは表舞台に現れるような神ではない。時々、体を借りて、意識を乗っ取り、助言をするだけ……」


 それでも、なぜ、メーティスは涼音の体の中に取り憑いたのだろうか。


 そして、サーシャは話を徐々に戻していく。


「つまり、紫苑がわざと竜二君を送った理由は涼音ちゃん、いや、メーティスがそう言ったのだろうと思うよ。そして、彼はこの地を訪れてはいけないとでも言われたのでしょう」


「でも、サーシャさん、そんな事が起こるの? そして、炎帝竜はいつ、どこに姿を現すんですか?」


 口を挟むミラに、サーシャは待て待てと言いたそうに微笑みを向けた。


「そうな。場所はこの近くと言ってもいいわ。いつその炎帝竜が現れるのかはわからない。竜というのはふらっと現れ、ふらっと姿を消す。竜が過ぎ去ったその地は、跡形もなく消し飛んでいくでしょうね」


 竜というのは、人々にとっては厄災であるのだろう。


 話を聞きながら、少しずつ理解していった竜二は頭の中で話を整理する。


「私は昔、二体の竜を魔法学校時代に紫苑たちと見たことがあるんだよ。一体は炎を纏いし竜、そして、もう一体は風を纏いし天空の竜。二体の竜は互いに相手の様子を窺いながら戦っていた」


 昔の記憶を思い出しながらサーシャは深呼吸した。


 彼女の様子が少しおかしい。さすがに竜の話にもなると思い出したくもない話でも思い出してしまうのだろう。額に手を当てる。


「くっ……。すまない……。この話をするのは久しぶりでな。私の記憶も少しとび抜けているところがあるんだ。竜はその昔、おおよそ五百年前に滅んだ古代の生物。現代に生きていること自体、おかしなことなんだ」


「風と炎の双竜。それでその後、竜は?」


「どこかに消えていったよ。山は火山のように燃えてなくなり、竜巻は大きくなりすぎて、対処しきれなかった。私達は竜殺しの魔導士(ドラゴンスレイヤー)を探した。なにせ、魔導士の中でも数人しかいないからね……」


 つまり、再び炎帝竜が現れたのはその前触れなのかもしれない。もしかすると、彼らは自分たちの力を受け継ぐ者を探していたのかもしれないと竜二は思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ