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一歩目
旅立ちの日は予定通りあの出会いから1ヶ月後のことだった。
雪雲で覆われた薄明かりな早朝。彼らは町の中央に佇む味気ない7階建ての建物から出ようとしていた。
1人は児童課の部屋にて、眠る子供達を横目にしながら保育士達に見送られて。
1人は足音だけが響く階段にて、真っ直ぐ前方を向いて。
1人は本部長室にて、椅子に座る男とその秘書に感謝の言葉を告げて。
旅人達はエントランスで合流すると、軽く挨拶を交え町の外へ繋がる大通りを歩き出した。
人気の無い大通りは、静寂そのものだった。歩いている途中、3人は特に話をしない。
「本当に…行くんだな」
出口の門の前。最後に3人を見送るのはマルだった。彼は少し涙ぐんでいた。
「心配すんな、また戻ってくるさ」
「…ああ、またこの町で……会おうぜ」
そう言って、マルとマグナムは互いの右手を叩きあう。静かな町に、音は響く。
マグナムは門を出ると、振り返って町全体を眺めてから言葉を綴った。
「遂にこの町ともおさらばか」
彼らの次の目的地、タワータウン。




