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伝者旅 壱章  作者: 諸星回路
出会い、旅支度編
6/35

一歩目

 旅立ちの日は予定通りあの出会いから1ヶ月後のことだった。

 雪雲で覆われた薄明かりな早朝。彼らは町の中央に佇む味気ない7階建ての建物から出ようとしていた。

 1人は児童課の部屋にて、眠る子供達を横目にしながら保育士達に見送られて。

 1人は足音だけが響く階段にて、真っ直ぐ前方を向いて。

 1人は本部長室にて、椅子に座る男とその秘書に感謝の言葉を告げて。

 旅人達はエントランスで合流すると、軽く挨拶を交え町の外へ繋がる大通りを歩き出した。

 人気の無い大通りは、静寂そのものだった。歩いている途中、3人は特に話をしない。

「本当に…行くんだな」

 出口の門の前。最後に3人を見送るのはマルだった。彼は少し涙ぐんでいた。

「心配すんな、また戻ってくるさ」

「…ああ、またこの町で……会おうぜ」

 そう言って、マルとマグナムは互いの右手を叩きあう。静かな町に、音は響く。


 マグナムは門を出ると、振り返って町全体を眺めてから言葉を綴った。

「遂にこの町ともおさらばか」


 彼らの次の目的地、タワータウン。

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