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伝者旅 壱章  作者: 諸星回路
幻想の箱庭編
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空気は移る

 ルナールより少し遠い商店街で破裂は起きた。

 箱から溢れ出てくる大量の砂粒が周囲の建物の壁を押し潰して、水溜りの道路に巨大な砂の山を造りあげる。

「よかった…脱出出来たみたいだな」

「もどったーーー!!」

 4人はその足元で、尻餅をついて座っていた。

「シモンくん。リナリアくんの位置はわかるかい」

「少し…待ってくれ」

 シモンは立ち上がって周囲を見回す。確かに元の町に戻ってきたが、どこか空気が違う。

「雨が止んでいるな」

「お、そういえばそうだな」

 他の3人も立ち上がってはその違和感に触れる。

 シモンは知っていた。レイスの町では、雨が降り止むことこそが不吉な暗示であることを。

「リナリアは住宅街の方だ」

「よし、今度こそーー」

「待てェムート。手分けがしたい」

「手分けかい?」

「リナリアとの交渉は俺がしよう。瞬間移動に対応しやすい。そして、マグナムと舞は住人の救助に向かわせたい」

「その彼らの護衛をしてほしい、か。僕が殺さないように僕が助けるってのもおかしな話だね」


「どなたをお助けになるおつもりですか?」

 揺れた。いや、正確には揺れていない。無理矢理“繋げられた”。

 景色が移る。商店街の通りから、枯れた花の集まるガーデンの端くれへ。重ねて、鋭い銃声が鳴り響きそこは戦場へ。

 銃弾はマグナムの頬を擦って血を吸った。

「その声は…」

 マグナムは対峙する。アジサイの華に。


「シモンさん!マグナムさんがいなくなっちゃった!!」

 舞が騒ぐ。そして気がついた。

 唐突にマグナムの反応が移った。遠く、ガーデンに居る住人のそばへと。

「しまった!マグナムだけをガーデンの住民の方に瞬間移動させられたか!」

「危険人物ではないんだろう?」

「それはあなたと比べてだ!何が起こるかわからない…!」

「わかった、僕が今すぐガーデンとやらに向かおう」

「ェムートさん!!マイがあんないするの!!」

「よし舞ちゃん!背中に乗って!」

 舞は大きく跳びはね、ェムートの背中にへばりつく。

「舞ちゃんしっかり掴んでねー!」

「わかったの!」

 2人はそのままガーデンに向かって走り出した。

「何だ…嫌な予感がしてならないのは何なんだ………無事でいてくれよ…」

 心配を胸に、シモンもリナリアの元へと動き出した。

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