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伝者旅 壱章  作者: 諸星回路
幻想の箱庭編
24/35

閉ざされる扉

「待ってたわ、ふふふ」

 再び焦点は城下町の門前に戻る。そこで待ち受けていた砂漠色のドレスの女性は、日傘を片手に笑う。

「ェムート、マグナム、そのまま直進で行け。サザンカは無視だ。俺が彼女の足止めをする」

「素直に通してくれるか?」

「ェムートなら目眩しが出来るはずだ」

「…んまあ出来るけどーー扱いが雑だよ……」

 ェムートはそう言いながらも、29頁を開く。

「それじゃあ5秒目を閉じて……」

 すると、本から人魂のようなものが現れては、辺りを光で包み込んだ。

「ちっ、見えない…」

 サザンカが目を覆う。これで隙は出来た。


 “ドン!” “バタン!”


 ェムートとマグナムはそのまま走り抜け、広い砂漠へと難なく突破した。目を開けてすぐ、マグナムは手中に隠してあったサイコロを盾に拡張し、舞を包むように広げた。

「呆気なくすり抜けられたが…なんか変な音がしたな」

「後ろを振り返る暇は無いよマグナムくん。さあ、リナリアくんの元へ行こうじゃないか」

「うーん?マグナムさん…?」

 舞が起きたらしく、マグナムの肩を掴んでた彼女の手がそのまま皮膚をつねる。

「痛ぇ!舞つねんな!」

「あ…ごめん…」

 舞はマグナムの背中で暴れるように周囲を見回す。非常にやめてもらいたい。

「なんではしってるの?」

「お取り込み中だ。とりあえず掴まっとけ、つねらずにな」

「はーい!」

 舞の言葉で緊張感が緩んだ。明らかにこちらも隙を作ってしまったが……サザンカからの襲撃は特に来ない。

「足止め出来たみたいだな」

「こっちはこっちの役割をしないとねー」

「そうだよマグナムさん!」

「舞は何も知らないくせに口を挟むんじゃない」


 マグナム達は走り続ける。だが、リナリアの姿も無ければ、あるはずの出入り口の黒い渦さえも見当たらない。

「閉じ込められちゃったかな」

 最も考えたくない結論を、ェムートが遠慮なく口にした。

「……。そんな訳…」

 否定できない事実がより首を絞める。静かに足がその速度を遅めて、ついに立ち止まる。

「誰かを見つけ出す“術”はないのか?!」

「残念なことに、それが出来ればシモンくんと協力関係なんて作らないさ。それに、彼が箱の外にいればどちらにしろ出られないね」

「…なんてこった…」

 出口が無ければ勿論出ることなど出来ない。つまり永遠にこの箱の中で住むこととなる。

「まあ、策はあるけどね」

「本当か!」

「それをやるのであれば、君たちには了承してもらう必要がある」

「え?」

「簡単なことさ。箱を壊せばいい」

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