閉ざされる扉
「待ってたわ、ふふふ」
再び焦点は城下町の門前に戻る。そこで待ち受けていた砂漠色のドレスの女性は、日傘を片手に笑う。
「ェムート、マグナム、そのまま直進で行け。サザンカは無視だ。俺が彼女の足止めをする」
「素直に通してくれるか?」
「ェムートなら目眩しが出来るはずだ」
「…んまあ出来るけどーー扱いが雑だよ……」
ェムートはそう言いながらも、29頁を開く。
「それじゃあ5秒目を閉じて……」
すると、本から人魂のようなものが現れては、辺りを光で包み込んだ。
「ちっ、見えない…」
サザンカが目を覆う。これで隙は出来た。
“ドン!” “バタン!”
ェムートとマグナムはそのまま走り抜け、広い砂漠へと難なく突破した。目を開けてすぐ、マグナムは手中に隠してあったサイコロを盾に拡張し、舞を包むように広げた。
「呆気なくすり抜けられたが…なんか変な音がしたな」
「後ろを振り返る暇は無いよマグナムくん。さあ、リナリアくんの元へ行こうじゃないか」
「うーん?マグナムさん…?」
舞が起きたらしく、マグナムの肩を掴んでた彼女の手がそのまま皮膚をつねる。
「痛ぇ!舞つねんな!」
「あ…ごめん…」
舞はマグナムの背中で暴れるように周囲を見回す。非常にやめてもらいたい。
「なんではしってるの?」
「お取り込み中だ。とりあえず掴まっとけ、つねらずにな」
「はーい!」
舞の言葉で緊張感が緩んだ。明らかにこちらも隙を作ってしまったが……サザンカからの襲撃は特に来ない。
「足止め出来たみたいだな」
「こっちはこっちの役割をしないとねー」
「そうだよマグナムさん!」
「舞は何も知らないくせに口を挟むんじゃない」
マグナム達は走り続ける。だが、リナリアの姿も無ければ、あるはずの出入り口の黒い渦さえも見当たらない。
「閉じ込められちゃったかな」
最も考えたくない結論を、ェムートが遠慮なく口にした。
「……。そんな訳…」
否定できない事実がより首を絞める。静かに足がその速度を遅めて、ついに立ち止まる。
「誰かを見つけ出す“術”はないのか?!」
「残念なことに、それが出来ればシモンくんと協力関係なんて作らないさ。それに、彼が箱の外にいればどちらにしろ出られないね」
「…なんてこった…」
出口が無ければ勿論出ることなど出来ない。つまり永遠にこの箱の中で住むこととなる。
「まあ、策はあるけどね」
「本当か!」
「それをやるのであれば、君たちには了承してもらう必要がある」
「え?」
「簡単なことさ。箱を壊せばいい」




