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伝者旅 壱章  作者: 諸星回路
幻想の箱庭編
23/35

何故?何故?

 城は…張りぼてだった。

「エントランス無駄に広っ!」

「衛兵の1人もいねえ!」

「部屋少なっ!」

「3階何もねえ!」

 外映えするだけで中身は空白ばかり。無駄な空間が目立ち、逆に必要なものが無かったりなどしたせいで、マグナムのツッコミが騒がしいほどに冴えていた。ただその分、上の階層に進むのに苦労させられた。

「この奥に最後の住人の反応があるのだが…倉庫みたいだな」

 4階の倉庫と思われる部屋の手前で4人は止まった。ただ、舞はマグナムの背中で静かに眠る。

「…まあ、ただの倉庫じゃないってのはわかるが……」

「とにかく…行くか」

「先に言っておくが、舞おぶってるから戦闘は出来ないぞ」

「頼りない奴だな」

「……これ俺が悪いのか…?」

 シモンがその手で扉を押した。

「これは…」

 彼らの目の前に姿を現したのは、広々とした金色の謁見部屋であった。その奥で1人、王座に座り込んで手をこまねいている者がいる。

「ふふ、待っていたよ。我らが敵達よ」

「敵…か。私達は貴方と話をしに来ただけです」

「1人を除いて、だろう。まあここは謁見の間だ。もう少し近くに寄っておくれよ」

 そうして今度は手招く。

「わかった」

 3人の男は警戒しながらも強気に前へと踏み出す。


 サザンカという先ほどの女性の反応は遠い。そして…随分落ち着いているな。

 シモンはただまっすぐに歩みを進める。


 他に人の気配は無えか。ただ万が一だ。瞬間移動で急に出てくるってこともありそうだしな。

 マグナムは、舞に気をつかって前のめりのまま進む。


 …ちょっと眠いな。

 ェムートは余裕を残した欠伸を溢す。


 王座に座る男の4m程手前。罠の1つも無い。

 案外、話の通じる人間か?

「さて、伝達屋のそなたの話から聞こう」

「…伝達屋だと知っているのですか?」

「我は箱庭の王にして管理者である。箱庭でのそなた達の会話は全て聞こえているのだよ」

「それでは遠慮なく。まずは本人確認を行います。貴方の名前と年齢を聞かせてください」

「リナリアだ。…はて、生きている時間など忘れてしまったようだ」

「構いません。ではレイスの町を出たのは何歳の頃でしょうか」

「それも忘れてしまったな。随分昔のことのように思えるが」

 リナリアという人物への言伝は寝たきりのレナから受け取り、彼の顔は勿論頭に入っている。この時点で言伝を渡しても良いのだが、ついでに一つ聞いておきたいことがある。

「では……レナさんについて教えてください」

「む?何だ。この国に来る前に会ったのではないか?」

「私はレイスの町の、病気で寝込むレナさんについて聞いています」

「はたまたおかしなことを言う。レナは病気になどなってはおらぬ。それに彼女は2人もいない。さてはそなた、レナ・インクムではないレナの話をしておるのだな?残念なことにレナは看板娘の元気な彼女しか知らぬのだ」

 そんな馬鹿な。

 管理者に聞けば謎は消えると思っていたが逆に深まってしまった。

「…本人確認を終了させます。今から言伝の譲渡に入ります、数秒ほど握手してもよろしいでしょうか」

「構わん。ほれ」

 最低限の確認は出来ている訳だ。ここは譲渡しておくことにした。

 リナリアの目の前まで進み、彼が差し出した手を握った。


 甘くもほろ苦い言伝。依頼人、レナ・インクム。受取人、リナリア。

 レナがベッドに横たわり、こちらをじっと見つめて語りかけてくる。話の内容はリナリアに対しての愛の言葉と、帰ってきてほしいという切実な願い。


「…?なんだこれは?何故レナが病で倒れている?何故?何故?」

 リナリアは首を傾げる。何度も。何度も。

「…あはははははは!!もしやからかっておるな?最近確かに帰っておらぬからな!!あははははははははは!!!!」

 狂ったように笑い出す。自分を無理矢理納得させるかのように言葉を吐きながら。

「久々に帰ろうか!!あはははははは!!!あはははははは!!!」

 シモンの手をはねのけて、王座を立ち上がっては出口に向かって不格好に歩き出す。

「おいシモン!何した!」

「言伝を渡しただけだ!内容も混乱させるようなものじゃない!!」

「待ってくれ、僕の話がーー」

 ェムートが横を通ろうとする彼を引き止めようとした。だがーー


「渡すかバァーカ」


 リナリアは体のバランスを崩したかと思えば、一瞬で姿を消した。

「逃げられちゃったかー」

「城の外に移動した!追うぞ!」

 急いで男達は謁見の間を出ようとする。しかし突如天井が爆発し、吊るしてあった幾多ものシャンデリア共々崩れ落ちる。

「ェムート!」

「シモンくんは本当に扱いが荒いねー。消せばいいのかな?」

「頼めるか」

「勿論」

 ェムートは本を開けて、落ちてくる瓦礫に向かって手を伸ばす。

 すると、空に巨大な赤の魔方陣が現れた。

「ばいばい」

 魔方陣から空へ、炎の柱が吹き出る。瓦礫は1つも残らず柱に飲まれて焼き消えた。

「そうか…!あんた“呪術”使いか…!」

「マグナムくんご名答。さて、リナリアくんを追おうかね」

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