十
「で? 何で緋乃が泣いて電話かけてくる様な事態になったんだよ」
タオルで髪を拭きながら、千は机の上に置かれた三つのココアを漫然と眺めた。湯気が天井に向かって立ち、熱によって歪んだ空気が《青》の苦笑を霞ませる。
緋乃に「熱いから気を付けなさい」と注意し、自らもココアを一口飲むと、《青》はココアが入ったカップを凝視している緋乃の後ろに腰を下ろした。まだ濡れている緋乃の髪をタオルで拭くのと同時進行で《青》は口を開いた。
「夢を見たらしいのよ。千ちゃんと私が《大蛇》に殺される夢を。それで、そんな夢を見た後にいざ起きたら、私は居たけど、千ちゃんは外出してて居なかった。怖くなっちゃったのね。顔を真っ青にして、目が腫れるくらい泣いて。千ちゃんのこと必死に探してたわ」
一応、説得はしたんだけどね、と《青》は目を細めていった後に、緋乃の頭から手を離した。濡れていた髪は程よく水分が拭き取られ、代わりにタオルがずぶ濡れになっているのが目で見て取れた。自由を取り戻した緋乃は《青》に感謝を告げ、ココアを息で冷まし、一口飲んだ。千もココアを一口飲む。
これまでも緋乃を置いて、家を空ける事はあった。《大蛇》の件があった後も、千か《青》、どちらかが必ず家に残る様にはしていたが、千が家を空ける事は少なくなかった。緋乃が寝ている時に家を出ていく事も多かった。
だから、不思議だった。困惑した。千が外出している程度のことで緋乃が泣いた事実が。
「そういう事か。意外と普通な理由だな。急いで帰って来たっつーのに」
「そうね、そんな理由で緋乃が泣いたことも驚きだけど、私は千ちゃんがすんなりと帰ってきたことの方が驚きなんだけど」
「そうか? ……そうか?」
「何で二回言ったのよ」
「お前が変なこと言うから」
「だって、千ちゃんって自由気ままな猫みたいな習性してるじゃない?」
「そうか?」
「そうよ。自由に外出して、気が済んだら帰って来る。一回、千ちゃんが外に出てる時に戻って来いって言ったら、怒って、しばらく電話に出てくれなくなった事があったでしょ?」
「あったか? そんな横暴な事をした覚えはないんだが」
「あったわよ。むしろ、横暴な事をされた思い出の方が多いわよ。まあその時は千ちゃんが荒れに荒れ狂ってた時だから、無理もないけど。でも、千ちゃんは自由を侵害される事を嫌ってたから、私は帰って来ないんじゃないかって思ってたの。例え、緋乃の頼みだとしても」
過去に思いを馳せているかの様に《青》は瞳を閉じ、千は思い出したくない過去に蓋をするように温いココアに口を付けた。瞳だけを動かし、大人達の会話など何一つ聞いていない緋乃に視線を移す。
気を緩めれば、すぐに脳裏に勝手に映し出される。両手が、眼球が、全身が、感覚を取り戻そうとする。肉を断ち、骨を砕き、吹雪く血飛沫が空に放物線を描き、雨のように降り注ぐ感覚を。かつての日常を今も鮮明に思い出せる。
修羅にも似た激しい慟哭が胸の内でずっと叫び続けていた。血の臭いを嗅いだ時だけ声は鳴り止んだ。血を浴びた時だけ、生きていると実感できた。空虚な心は充実した。怜悧な思考と、静謐なまでに動かない倫理が、数多の命を奪い続けた過去は今も脳裏に蔓延っている。
カップを机に置き、千は緋乃の頭を撫でた。撫でられる理由が分からず、緋乃は首を傾げ、千を見上げた。
「帰って来られる状況だったからな。緋乃にはさっき言ったが、私も常に帰って来られる訳じゃない。帰って来れるときは帰って来るさ」
「あらあら、成長したのね、お母さん嬉しいわ」
「茶化すなよ、真面目に言ってんだから」
「あら、ごめんなさい。でも、ずっと千ちゃんの反抗期を隣で見てたから、少し嬉しくて」
「反抗期か……。人の過去をそんな言葉で片付けるのはお前か、《白》だけだよ」
千には確かに反抗期と呼べるものがあった。思春期の子供が親に教師に社会に喚くだけの反抗期とは程度が掛け離れた反抗期が。《青》が言った千が荒れに荒れ狂った時代、その時に千の隣に居たのは両親では無かった。
ずっと、千の隣で何をする訳でもなく、帰りを待っていてくれたのは《青》だった。帰る居場所を作ってくれたのはかつて同じ時を共有した実験体。当時はそれを鬱陶しいとしか思わなかった。声を掛けられることに殺意しか抱いていなかった。
それでも、千が血塗れで帰って来ると、タオルと薬箱を持って現れてくれた。すぐに風呂に入れる様に浴槽に湯を溜めておいてくれた。小言を言いながら、背中を洗ってくれたのはまだ鮮明に記憶している。
「でも、今は感謝してるよ」
「よしてよ、恥ずかしいじゃない」
気恥ずかしそうに両頬を手で押さえる《青》を見て、一瞬で感謝の念が薄れていく。千は努めて辛辣に言った。
「嘘に決まってんだろ。真に受けんな、ゴリラ」
押さえていた両頬がずるずると下がっていく。嬉々としていた表情が冷漠に変わり、瞳に灯されていた熱が急速に冷めていった。緋乃は相も変わらず、カップを見つめ続けている。
「あー、それで? 成果は何かあったの?」
「童貞の男子高校生に、風俗通いの親父と」
「ちょっと待って。何を調べるつもりで外出てったの、あんた?」
《青》は困惑気味に表情を強張らせながら、石油ファンヒーターの運転延長ボタンを押した。ピッと音が鳴った後に、部屋に奏でられていた陽気な音楽が止まる。
《青》がボタンを押すのとほぼ同時に千は携帯を手に取り、メールボタンを押した。樹が送信したメールを開き、添付された画像を開く。裸の男と宍戸瑠璃が艶めかしく絡み合い、情熱的に性行為している、様にも何も知らない人間ならば思えるのだろう。
実情を知ってしまった今では、脅迫道具にしか千には見えない。この画像一つで人一人の立場は容易に失脚する事が出来る。特に未成年であり、高校という世界に雁字搦めになっている真面目な高校生ならば。
「依頼主も殺害対象も高校生だからな。一目見てやろうって思っただけだよ。それに、高校生の自殺と言えば最高のゴシップネタだ。商店街に来てる主婦はそういう下らない話好きそうだからな。《青》が集めた情報以上の情報が集まると思ったんだ」
「ふーん。で? 集まったの?」
千は宍戸瑠璃が映った画像を表示したまま、携帯を《青》に手渡した。携帯の画像を見た《青》の視線が冷淡なものに変わる。驚いている訳でも、悲しんでいる訳でもない。《青》は冷静に写真を分析していた。依頼書を作成したのも、情報を収集したのも《青》。故に写真を一目見て、状況は大方分かってしまったのだろう。
「援助交際を強要させられていたんだとよ。見た目は綺麗な面してるし、何つっても高校生だからな。多少値が張ってもやりたいって男は大勢いるんじゃないか? まあ高校生にしちゃ、考えたビジネスだな」
「なに感心してんのよ。でも、小遣い稼ぎにしては、少し荒稼ぎし過ぎたわね」
「ああ、限度も知らねえガキが好き勝手にやった結果がこれだ。限度を知らねえのはこいつらだけじゃねえが」
「そうねえ。若さゆえの過ちって奴かしらね、まだまだ青い青い。でも、依頼してきた鹿野華茄って子は、何というかどこかほっとけない感じだったのよね」
「どういう事だ?」
千が首を傾げると、緋乃も千の真似をしてか、首を傾げた。それを見て《青》は微笑み、緋乃のカップが空になっている事を確認。「おかわり、いる?」と聞いた後に、緋乃が首を縦に振ると追加のココアを作るためにゆっくりと立ち上がった。緋乃と自分のカップを手に持って、キッチンへと移動する。
そして、すぐに湯気が立ち込めるココアを持って、《青》は机に戻って来た。机を挟んで、千の前に座り、ココアを一口飲む。「やっぱり、熱いわね。緋乃、気を付けなさい」と舌を火傷したのか右目だけを細め、眉根を寄せた。
それからココアには手を付けず、千に携帯を返却した《青》はカップの中身を見つめたまま口を開いた。
「千ちゃんも言ってたじゃない? どうして未成年の仕事なんて引き受けたんだって」
「ああ、言ったな。今でも思ってる」
「私もね、最初は断ろうと思って、コンタクトを取ったのよ。けど、いざ会って見たら、気の強そうな生意気な目をしててね、どっかの誰かさんみたいな」
千を見て言った《青》の口調はからかう様な口調でも馬鹿にしている訳でもなく、ただ事実を述べただけの様な言い方だった。
「まさか私に似てたから引き受けたんじゃないだろうな」
「まさか、そんな訳ないじゃない。ちゃんと話を聞いてから決めたわよ。話を聞いている内に興味が湧いてきたのよ」
「プロのオネエをその気にさせるとは、どんな話術か聞いてみたいもんだな」
「話術とかそんなのじゃないのよ。ただ、自分の力の無さを痛感してる子に少しだけ手を貸してあげたくなったの。いや、思い出したいのかもしれないわね」
「何を?」
「無力だった頃の気持ちを、よ。想いだけが先行して、結局何も出来なかった自分の気持ちを」
「初心忘れるべからずってか? 私は微塵もそんなこと思わないな」
「あら、珍しく前向きね」
「時間は前にしか流れちゃくれないからな。気持ちも前に向けなきゃ、取り残される」
無力だった頃を思い出そうとは微塵も思わない。無力は今も続いているから。今も昔も無力であると気付いてしまったから、思い出そうとも思わない。力があるなどと妄執し、凶刃を振るい続けた日々に思いを馳せても意味はないと知ってしまったから。
千が沈黙し、それに釣られて黙ってしまった《青》。緋乃はカップを眺めつづけているために一言も喋らず、部屋には居心地の悪い静寂が沈殿し始めていた。千は既に乾きつつある髪を掻きあげた。
「あー話を戻すが、宍戸瑠璃が自殺した原因はイジメで間違いないんだよな?」
「ええ、そう聞いているけど」
「聞いたって誰からだ?」
「鹿野華茄ちゃん本人から。援助交際を強要されてたって話は初めて聞いたけど、千ちゃんが見せてくれた写真が生徒にだけ送信されたって話は華茄ちゃんから実は聞いてたの。そのせいで宍戸瑠璃さんがどんな脅迫を受けてたのかも。その辺の情報は依頼書に書いたと思うけど」
千は依頼書を手に取り、茶封筒から紙を全て取り出した。一枚一枚、じっくりと読み進めていく。すぐに見つけた。千が《青》に見せた画像と同じ写真が依頼書にも添付されている。他にも春宵高校の制服を着た男が四人と裸の宍戸瑠璃が映っている写真や、トイレで腹部を女子生徒に殴られている写真もあった。
また、ほぼ全ての画像に殺害対象の三人の誰かが映っていた。そのどれもがイジメがあったという事実を裏付ける物証に成り得る。
「すまん、興味なかったから深く見てなかった。なあ、これだけ証拠が揃ってて、なんでイジメの主犯が特定できてないんだよ」
「え? 特定できてるわよ。これだけ証拠が揃ってるんだから」
「は?」
「は? じゃないわよ。特定できてるに決まってるじゃない。学校側もこの画像は知ってるし、イジメがあった事実自体はもう知ってると思うわ。でも、学校ってイジメ問題には消極的なのよ。出来れば、イジメがあった事を認めたくない。宍戸瑠璃が自殺した原因はイジメではなく、家庭内環境か、学校外の交友関係の亀裂から、そんな所に着地させたいんじゃないかしらね」
どういう事だ? どうしてここまで集めた情報と差異が出る。敦久は樹から聞いた情報を基に千に情報を開示したに過ぎない。ならば、樹の得ている情報が間違っているのか。
眉根を寄せながら千は依頼書を読み返した。
「私も話を戻すけど、千ちゃんは一体どんな情報を掴んで帰ってきたの?」
千は依頼書を机に置き、素直に敦久達から聞いた情報を口にした。援助交際を強要されていたこと、イジメの主犯、メールの送信者が特定されていない事。学校側は調査中と称し、いじめ問題を先送りにしている事。
それらを聞いた《青》は顎を擦りながら、首を傾げた。
「もう、ろくに情報収集なんてした事ないくせに下手に調べるから、そんな信憑性の欠片も無い情報を拾っちゃうことになるのよ?」
「……悪い」
《青》は依頼書の一枚を千の前に差し出すと、早く読め、と言わんばかりに指で机をトントン、と叩いた。「ほら、今度はちゃんと読み込みなさい。仕事を引き受ける決心したんでしょ?」「……はい」と弱々しく返事をした後に千は差し出された紙に視線を向けた。
「いい? イジメの主犯はここに書いてあるし、宍戸瑠璃さんが脅迫される直接的な原因になったメールの送信者についてはこっちの紙に書いてあるから」
イジメの主犯、主に宍戸瑠璃をイジメていた三人、鳥居正樹、久保ゆき、北山彰。この三人が主犯であることは最初に依頼書を目に通した時から変わらない。既に知っている情報。
問題はメールの送信者だ。送信した人物を即刻犯人と捉えてもいいのか、それとも偽装されているのか。千は自身の指で《青》が示したメール送信者の名をなぞっていった。
「笹川浩二、森川流斗、小林誠司、田中満、杉田薫子……誰だこいつら」
「誰ってメールを一斉送信してた生徒の名前よ」
「でも、送信者は不明ってなってた気が」
「千ちゃんはネットとかメールとか普段から使わないから知らないと思うけど、匿名でメールを送れるネットサービスがあるのよ。メールアドレスを持ってなくても送れるから、相手に素性を知られたくない場合なんかに使用するのが一般的で、千ちゃんが見たメールもそのネットサービスを利用して送られてきたんだと思うわ」
「へえ、時代は進歩してるんだなあ」
「千ちゃんが停滞してるだけよ」
「でもなんで、メールを送ったのがこの五人って分かったんだよ。というか、犯人は主犯の三人じゃないのかよ」
「全く、斬る事以外に何も興味がないの、千ちゃんは?」
「斬る以外に何も出来ないんだよ、私は」
「開き直り方おかしいわよ。まあ、いいわ。簡単に説明すると、匿名メールサービスのHPにアクセスしたIPアドレスを調べて、送信した人物を特定したってわけ」
「全く分からん。何言ってんだ、お前。緋乃にも分かる様に言えよ」
急に自身の名前を呼ばれたと勘違いしたのか、ココアを飲んでいた緋乃が首を傾げて千を見た。ゆっくりと緋乃から視線を逸らす。
「これでも噛み砕いて言ったんだけど。あーもっと簡単に言うと、駅のホームに現れた人物を監視カメラの映像から一人一人調べて、個人を特定するって感じかしら」
「何となくは分かったよ。とにかく、メール送った奴が分かったって事だろ?」
「ほんとに何となくしか分かってないじゃない。まあでも、その通りよ。メールを送信した生徒の名前は分かった。それとね、イジメっていうのは基本的に個人を多人数で攻撃するのが基本なのよ。今回の場合はメールを受信した生徒が写真を使って悪行三昧しちゃったから、加害者が異常繁殖して事態が悪化したけど、諸悪の根源は変わらない」
「それで、こいつらどうするんだよ? まさか全員殺せってか?」
《青》は表情を変えることなく首を横に振った。
「イジメに関わってた生徒を一々殺してたら、多分全校生徒の半数がこの世から消えるわ。目標はあくまで主犯の三人よ。華茄ちゃん本人からもそれでいいって了承は得ているから」
《青》はカップの取っ手に指を絡め、それを持ち上げようとした所で動きを止めた。指がカップから離れていく。視線がカップから机に置かれた依頼書に向けられ、徐々に視線は上がり、最後には千に向けられた。真剣な眼差し。
緋乃が窺う様に二人を見ている事に気付かないまま、千と《青》は視線を交わらせた。
「一つ聞いていいかしら?」
「何だよ? 真面目な顔して」
「……どうしてそんな探偵ごっこみたいな真似してるの? 前は自分から情報収集なんて絶対にしなかったのに」
《青》が持ってきた依頼書を黙って受け取り、読み込み、段取りを決め、依頼をこなす。そこに小言を言う事はあっても、文句をつける事は無かった。ましてや、自ら情報収集を行い、《青》が調べた情報以上の情報を得ようなどとは以前なら思いもしなかった。
殺害対象がどれだけ強敵でも、十にも満たない子供だろうが、赤子を抱える母親だろうが、それは変わらない。《青》が調べた情報を信じ、疑う事も無く、目標を葬って千は生きてきた。《青》の情報が正しいと思ったから。今も間違っているなどとは露にも思わない。
だが、もう今までと同じような考えで《青》に甘え続ける事は出来ない。
「この生活を守る為に私も変わらないといけないと思っただけだ。言ったろ?時間は前にしか向かないって。時間が進めば、環境も、状況も、関係も変わる。私達の行動次第で未来が変わる。もう無責任じゃいられないんだ」
失敗は許されない。この生活は一瞬で崩れる綻びだらけの生活。些細な失敗が破滅を生む可能性を孕んでいる。そうなったらもう千と《青》だけでは守れない。失ってしまう。環境も、状況も、関係も、生活も、何もかもを失ってしまう。
そんな事には絶対にさせない。私がさせない。
「……慎重になるのもいいけど、慣れない事はあまりしない方がいいわよ。慎重に動くのは私の役割だから、狂暴な鬼には難しいでしょ?」
「私のこと言ってんのか? 狂暴な鬼って」
「私が緋乃にそんな野蛮なこと言う訳ないでしょ?」
「そうか?」
獰猛な獣の様な目つきで千を睨んだ後に、《青》は数回咳払いをして、机の下から足を伸ばし、千の脛を蹴り飛ばした。机が振動した事に首を傾げる緋乃は机の下を覗き込むが、既に《青》の足は存在しない。緋乃はさらに首を傾げた。
「……でも、これだけは忘れないでね、千ちゃん。私達の仕事は依頼を受けて、必要な情報を揃えて目標を殺す。ただそれだけ。深読みも、深追いもする必要は無いの。それが逆に波紋を呼びかねない」
「そうだな。慣れない事するのは逆に危険かもしれないな」
「そうそう。千ちゃんが情報収集する事自体、慎重から掛け離れてるんだから」
千は樹から送られた写真と同じものが添付された依頼書を手に取り、それを《青》に渡した。写真の男はどちらも顔にモザイク処理が施されており、素顔は見えない。
「このモザイクって外せるのか?」
「外せるけど、こういうのは私よりも慧の方が得意なのよね。相談してみるわ」
「お前、自分でやるのがめんどくさいだけだろ」
「さ、遅くなっちゃったけど、お昼ごはんにしましょ」
気付けば時刻は一時を回り、《青》と緋乃の腹が同時に部屋に鳴り響いた。




